ガス灯
[Wikipedia|▼Menu]
造幣局創業当時(1871年)のガス灯

明治時代に入ってから本格的な西洋式ガス灯の照明器具が用いられるようになった。日本で最初に西洋式ガス灯が灯されたのは1871年(明治4年)、大阪府大阪市造幣局周辺においてで、機械の燃料として用いていたガスを流用する形で工場内および近隣の街路にてガス灯が点灯された。その時使われたガス灯の器具は造幣局内に現存する。

翌年の1872年(明治5年)9月1日に、実業家高島嘉右衛門とフランス人の技師プレグランの尽力により、神奈川県横浜市に最初のガス灯が造られ、日本におけるガス利用に先鞭をつけた[6]。伊勢山下石炭蔵跡(現在の横浜市中区花咲町・本町小学校あたり)に横浜瓦斯会社が造られガス灯が一般事業として運営されるようになり、同年9月29日にガス灯が横浜の大江橋(桜木町駅近く現在の国道16号橋)から馬車道本町通界隈に設置された。横浜市立本町小学校内にガス灯が保存されている。翌1873年には、銀座にもガス灯が建設された。当時、これらのガス街灯の点灯・消灯をする業務にあたる人を点消方(てんしょうかた)といった[7]。1880年11月、2世新七の歌舞伎「木間星箱根鹿笛」(このまのほしはこねのしかぶえ)初演(新富座)で、幽霊の出没にガス灯を使用した[8]

配管・配線による供給が難儀し、一般家庭や店舗の門灯・軒灯はまだ石油ランプが一般的であった[6][7]



電灯の普及とその後

ガス灯には、煙の臭いがする、および火災の危険性という欠点がある[1]電灯の発明と配電システムの普及により、屋内用の照明としてのガス灯は、これらの欠点のない電灯に需要を奪われた[9]。早くも1913年(大正2年)には、東京市内から姿を消している[10]第二次世界大戦後の一時期には、国内の電力需要がひっ迫、連日のように停電が続くようになると夜間営業を行う飲食店などがガス灯に切り替える例[11]や、電球入手の困難さから家庭内で使われる卓上のガス灯が販売された時期もあったが、電力が安定すると共に再び電灯が寡占した。

煙の臭いや火災の危険性などの欠点があるガス灯は屋内照明としては廃れていった[1]。屋外では観光や趣のある景観の街灯としての使用がみられる。なお、ガス灯の燃料としての都市ガスの供給設備などのインフラは、調理用や暖房用のガス器具への燃料供給設備としてその後も整備が続けられている。
ガス灯が設置されている地域・場所.mw-parser-output .ambox{border:1px solid #a2a9b1;border-left:10px solid #36c;background-color:#fbfbfb;box-sizing:border-box}.mw-parser-output .ambox+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+link+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+style+.ambox,.mw-parser-output .ambox+.mw-empty-elt+link+link+.ambox{margin-top:-1px}html body.mediawiki .mw-parser-output .ambox.mbox-small-left{margin:4px 1em 4px 0;overflow:hidden;width:238px;border-collapse:collapse;font-size:88%;line-height:1.25em}.mw-parser-output .ambox-speedy{border-left:10px solid #b32424;background-color:#fee7e6}.mw-parser-output .ambox-delete{border-left:10px solid #b32424}.mw-parser-output .ambox-content{border-left:10px solid #f28500}.mw-parser-output .ambox-style{border-left:10px solid #fc3}.mw-parser-output .ambox-move{border-left:10px solid #9932cc}.mw-parser-output .ambox-protection{border-left:10px solid #a2a9b1}.mw-parser-output .ambox .mbox-text{border:none;padding:0.25em 0.5em;width:100%;font-size:90%}.mw-parser-output .ambox .mbox-image{border:none;padding:2px 0 2px 0.5em;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-imageright{border:none;padding:2px 0.5em 2px 0;text-align:center}.mw-parser-output .ambox .mbox-empty-cell{border:none;padding:0;width:1px}.mw-parser-output .ambox .mbox-image-div{width:52px}html.client-js body.skin-minerva .mw-parser-output .mbox-text-span{margin-left:23px!important}@media(min-width:720px){.mw-parser-output .ambox{margin:0 10%}}

この節は検証可能参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方
出典検索?: "ガス灯" ? ニュース ・ 書籍 ・ スカラー ・ CiNii ・ J-STAGE ・ NDL ・ dlib.jp ・ ジャパンサーチ ・ TWL(2022年11月)

ガス灯は電球の発達によって廃れていったが、現在都市景観や店舗エクステリアのアイテムとして用いられたり、レトロブームにより復元されたり、モニュメントとして照明にガス灯を使用している地域がある。

以下に、ガス灯が設置されている日本の主な場所を挙げる。日本ガス協会ビル

北海道釧路市 幣舞橋

北海道釧路市 釧路港設置

北海道釧路市 港文館設置

北海道小樽市 小樽運河

北海道函館市 旧函館区公会堂設置

北海道札幌市 サッポロビール園

北海道札幌市 北海道庁旧本庁舎設置

北海道旭川市 中原悌二郎記念旭川市彫刻美術館

北海道旭川市 井上靖記念館設置

岩手県盛岡市 中の橋袂、盛岡城堀跡、郊外の松園ニュータウンなど。寄贈した岩手県都市ガス協会による説明板付き。

岩手県釜石市 鉄の歴史館前。日本で最初期にガス灯をともした大島高任の記念として岩手県都市ガス協会が寄贈したもの。

宮城県仙台市 仙台駅西口 - ガス灯数は110基で全て英国製。自動点灯装置付き。設置されている道は東五番丁通り青葉通り駅前通りなど。

山形県尾花沢市 銀山温泉

茨城県日立市 東京ガス日立支店前に2基設置

群馬県前橋市 駅前や市役所前、前橋文学館前など市内の複数の箇所に設置されている。

千葉県四街道市 JR総武本線四街道駅南口・めいわガス灯通り - 自動点灯装置付き。2016年3月31日、228基のうちの6基を「メモリアル」(記念物)として残し、残る222基は全てLED化された[12][13]。デザインは現代調。LED化以前の全長2238mは世界最長。228基は日本最大であった[14]

千葉県浦安市 東京ディズニーシー内、アメリカンウォーターフロント。20世紀初頭のニューヨークというテーマ性に基づいている。

千葉県大多喜町 天念ガス記念館前に3基設置。

埼玉県春日部市 春日部市役所前に3基設置(灯火運用は停止されている)

埼玉県さいたま市大宮区 株式会社サイサン本社前の国道17号歩道

東京都新宿区 新宿区役所正面に設置されている「平和の灯」は、数少ない裸火式のガス灯である。

東京都港区 日本ガス協会ビル前

東京都港区 新芝運河沿緑地 旧東京ガス用地前の運河沿い遊歩道に二灯式のガス灯10基が設置されている。

東京都港区 芝浦公園 東京ガス用地だった場所が公園となっており二灯式のガス灯が設置されている。

東京都中央区 京橋記念碑の横に設置されている。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:39 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef