花期はほぼ通年[2]。イチジクのような花序(花嚢)は枝に多数つき、小さい。花嚢は果嚢(イチジク状果)となり、8月ごろに黄色または淡紅色に熟す[4]。実は鳥やコウモリなどの餌となり、糞に混ざった未消化の種子は土台となる低木や岩塊などの上で発芽する。
冬芽は互生し、2枚の芽鱗に包まれ、頂芽は円錐状で先が細く尖る[2]。側芽は小さい[2]。葉痕は円形や楕円形をしている[2]。 ガジュマルを含むイチジク属は熱帯域を中心に世界で800種が生息する。日本では本州から南西諸島に16種ばかりが分布し、その中でガジュマルは葉が小さくて厚くつやがある点で、他に紛れる種がない。 沖縄県名護市にはひんぷん(屏風)ガジュマルと呼ばれる大木が目抜き通りの真ん中にあり、名物になっている。この屏風とは、門のところに建てて、中があけ広げにならないようにするものという意味で、もともとは風水の魔除けである。ひんぷんガジュマルはもとの街の入り口に立っていた。 ヨーロッパでは盆栽の木として使われている[要出典]。 観葉植物として幼木を鉢植えにして栽培される。日光を好む性質から、日当たりのよい場所に置いて育てられるが、夏場は強い日差しに当たると葉焼けを起こす場合もあるため、半日陰にするのが良いといわれる[8]。春から秋にかけて水やりと施肥を行い、湿度を保つため表土が乾くたびに多めに保水し、緩効性の肥料を2か月置き程度に与える[8]。 耐陰性があるが日光を好み、光量が不足すると徒長しやすい。熱帯の植物の中では耐寒性もあるが、降霜に耐えられるほどではない。良く成長した葉は近縁のインドゴムノキよりは小さいが、ベンジャミンより一回り大きい。 沖縄県ではガジュマルの大木にはキジムナーという妖精のようなものが住んでいると伝えられる。
近縁種
利用としてよく植えられる[4]。キクラゲの原木栽培にも利用される[7]。燃やした灰でつくった灰汁は、沖縄そばの麺の製造に用いられることもある。近年は観葉植物としても人気がある。観賞用に、中の枯れた木を取り除いて空洞状にした木も売られている。
栽培
文化
中国南部、台湾、ベトナムなどでは、道観や寺院などの庭園によく植えられ、強い日差しをさえぎり、休める場所を提供する役割を担っている。茶やベトナムコーヒーなどを提供する出店もガジュマルの木の陰で商売をすることが多い。
中国福建省の福州市と四川省の成都市では街路樹にも多く用いられ、街を代表する木であり、榕城という別名も生んでいる。
千昌夫の「北国の春」の中国語版のひとつに「榕樹下
中国広西チワン族自治区の柳州市(りゅうしゅうし)では、街路樹にも多く用いられている。
伝承
脚注[脚注の使い方]
注釈^ 「榕樹」はガジュマルの近縁種を含めた総称。「溶ける木」という意味であるが、他の木や障害物の間を縫って成長し、しなやかな気根を多く伸ばすなどして流体のような形状になることがあるため。
^ ヒンプンとは、民間の正面に建てられている目隠しの塀をいう[6]。
出典^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “ ⇒Ficus microcarpa L.f. ガジュマル(標準)”. ⇒BG Plants 和名?学名インデックス(YList). 2021年5月16日閲覧。
^ a b c d e f g h i j k l 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 187
^ a b c 辻井達一 2006, p. 49.
^ a b c d e f g 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 237.
^ a b c d e f 辻井達一 1995, p. 141.
^ a b 辻井達一 2006, p. 50.
^ “ガジュマル
^ a b 渡辺均監修 池田書店編 2006, p. 131.
参考文献
鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、187頁。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 978-4-416-61438-9。