ガウェイン卿と緑の騎士
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一方、城主の留守中、ガウェインの寝室に城主の后が現れ、ガウェインに話しかけ、騎士の礼節や貴婦人の作法、恋愛の楽しさや悲しさといった会話を交わしてはガウェインを誘惑する。狩猟と誘惑の場面が交互に現れ、当時の騎士の高等な嗜みである狩猟の技量を細かに描写する一方、騎士の礼節を弁えたガウェインと言葉巧みな奥方とのやり取りが対照的に現れる。城主は約束通り、狩りで得た獲物をガウェインに進呈し、ガウェインは返礼として城の中で城主の后から受けた接吻を城主に返す。
第四部

アーサー王宮殿での一件から1年後、逗留していた城を後にして、ガウェインは「緑の礼拝堂」を目指す。たどり着いたのは「礼拝堂」ではなく、荒涼たる地勢の中にある草むした岩窟だった。そこで緑の騎士と再会したガウェインは、「返しの一撃」を受けて立とうと髪をかき上げ首をあらわにする。緑の騎士は二度、大斧を寸前で止めるが、三度目に、ガウェインの首めがけて振り下ろす。しかし斬首されることなく首に切り傷を作るだけでガウェインは血を流して踏みとどまる。ここで緑の騎士が自らの正体を口にする。実は、緑の騎士はガウェインが逗留した城の城主、ベルシラック(Bercilak)だったのだ。城に泊めたのも、后に誘惑させたのも、すべてガウェインの度量を試すために仕組んだ罠だったことを打ち明ける。寸止めを二度したのは、ガウェインが約束通り、物品の交換に応じたことと、后の誘惑を礼儀正しく固辞したからであると述べ、傷を負わせたのは、今ガウェインが身につけている緑の帯がベルシラックのもので后から譲られたものという過ちを戒めるためだと説明する。さらに、自分が緑の騎士に姿を変えられているのは城に住む魔法使い「モルガン」(Morgan)の術によるものであると打ち明ける。二人は互いの度量と礼節、武勇をたたえ合い、ベルシラックはその功を称えるためそのまま帯を交換することを提案する。ガウェインは快諾し、ベルシラックは今一度、城でもてなすことを申し出るが、ガウェインは固辞し、アーサー王宮殿に帰る。緑の騎士の帯を身につけたガウェインは、王をはじめ宮中の者から溢れんばかりの賞賛を受けて物語は終わる。
日本語訳書籍

『ガウェイン卿と緑の騎士』 作者不詳 境田進 訳・出版 1984年

『サー・ガーウェインと緑の騎士 : 他一編 (「オルフェオ王」)中世英国騎士物語』道行助弘 訳  桐原書店 1986年

『ガウェーンと緑の騎士―ガーター勲位譚』 瀬谷広一 訳 新装版 木魂社 2002年、
ISBN 978-4877460419

『「ガウェイン」詩人―サー・ガウェインと緑の騎士』 池上忠弘専修大学社会知性開発研究センター 言語・文化研究センター叢書 4 2009年、ISBN 978-4-88125-223-9

『中世イギリスロマンス ガウェイン卿と緑の騎士 <中世英語英文学III>』 菊池清明訳 春風社 ISBN 978-4-86110-579-1

『サー・ガウェインと緑の騎士: トールキンのアーサー王物語』山本史郎訳 原書房 新版2019年 ISBN 978-4562056736

脚注^ Peterson, Clifford J. "The Pearl-Poet and John Massey of Cotton, Cheshire". The Review of English Studies, New Series. (1974) 25.99 pp. 257?266.

関連項目

ペルスヴァルまたは聖杯の物語

イヴァンまたは獅子の騎士

イギリス文学

英語史



韻文

アーサー王

グリーン・ナイト - これを原作としたデヴィッド・ロウリーによる映画[1]










アーサー王物語
主要人物

アーサー

イグレイン

イズールト

エクター

エレイン

グィネヴィア

コンスタンティン3世

トリスタン

パーシヴァル

バン

マーク

マーリン

湖の乙女

モーガン・ル・フェイ

モルゴース

モルドレッド

ユーサー

ロット


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