ガイ・フォークス
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ケイツビーはプロテスタントのジェームズ1世を暗殺し、王位継承資格第3位の王女、エリザベス・ステュアートを王位に就けようと企んでいた[19][20]

1604年5月20日に5人の中心人物が、ロンドンのストランド地区にある Duck and Drake という宿に集まって会合が行われた[注釈 7]ウェストミンスター宮殿内の議事堂を爆破して王と政府の要人を殺害する計画を、ケイツビーはトマス・ウィンターとジョン・ライトに事前に提案していた。ウィンターは最初のうちは計画に反対していたがケイツビーに説得され、支援者を探す目的で大陸に赴いた。ウィンターはカスティーリャの元帥やウェールズのスパイ、ヒュー・オーウェン[22]、ウィリアム・スタンリーと出会ったが、スペインからの協力は得られそうにないということだった。しかし、オーウェンはフォークスを紹介し[5]、1604年4月2人はイングランドに帰還した[21]

計画に携わっていたトマス・パーシーは、ノーサンバランド伯と親戚であった。パーシーは1604年6月に儀杖衛士に任じられロンドンに小さな家を借りた。フォークスはジョン・ジョンソンと偽名を使い、パーシーの召使いとしてそこに住み込んだ[23]。トマス・ウィンターの自供[24]では、そこから議事堂までトンネルを掘りすすめ、1604年12月にトンネルの上方から音が聞こえてきたところで作業をやめた。フォークスが調査のため送り出され、そこは議事堂のすぐ隣にあった地下室であった[5][25]。未使用で汚い部屋であったが、火薬を貯蔵しておくには理想の隠し場所であると思われ、陰謀計画者たちは地下室を借り入れた[26]。フォークスが語ったところによると、最初に20樽の火薬が運び込まれ、ついで7月20日に16樽が運び込まれた[27]

伝記作家のアントニア・フレーザーは、このトンネルの証言について政府による捏造を疑っている。トンネルが存在した証拠はどこにも見つかっていないし、フォークスは拷問を受けていたにも拘らず5回目の審問まで大して重要でないトンネルのことを認めておらず、その後もトンネルの場所を指し示すことができなかった[28]

7月28日、首都における疫病の蔓延を理由に、政府は議会の開催を11月5日に延期した[29]
海外の動向

再度海外からの支援を取り付けるため、1605年5月にフォークスは大陸に渡りヒュー・オーウェンに計画を語った[30]。同じ頃、ロバート・セシルはフォークスの名前を、ヨーロッパに張り巡らしたスパイ網によって知ることになる。ウィリアム・ターナーは、そういったスパイの一人であったが、大抵の報告は漠然とした侵攻の可能性を超えるものではなく、陰謀計画に関する情報も含まれていなかった。しかし、4月21日の報告では、フランドルの有名な傭兵であるフォークスがテシモンドによってイングランドに送られたこと、そして「ミスター・ケイツビー」と「高貴な武装および騎乗を準備している友人たち」に紹介されるだろうと報告している[31]。しかし、フォークスはイングランドではジョン・ジョンソンの偽名を使っていたことにより、ターナーの報告書は気に留められなかった。セシルは陰謀事件発覚後の11月の終わりまで、この件に気づくことはなかった[5][32]

正確な日付は不明だが、フォークスは1605年8月の終わりにはイングランドに戻った。フォークスとウィンターは地下室に貯蔵してあった火薬が変質してしまっていることに気づいた。新しく火薬とそれを隠すための薪が地下室に運び込まれた[33]。10月の会合で決定されたフォークスの役割は、火薬に点火しテムズ川に逃げ込むことだった。同時にミッドランドで反乱を起こし、エリザベス王女を奪取するというものだった。王殺しは非難を浴びるため、フォークスは大陸に赴きカトリックの権力者に、王とその供回りを殺すことが聖なる義務であることを説いて回った[34]
発見Discovery of the Gunpowder Plot 、1823年ごろ、ヘンリー・ペロネ・ブリッグス

陰謀に加担したものの中には、カトリック教徒が巻き込まれることについて懸念を示すものもいた[35]。10月26日の夜、モンティーグル卿の下に匿名の1通の手紙が届いた。手紙には議事堂が爆破されること、危険だから近づかないことが記されていた[36]。モンティーグル卿の従者からもたらされた情報により、手紙の件はすぐに計画者たちの知るところになったが、「偽情報として扱うに違いない」といった理由で計画は続行された[37]。フォークスは10月30日に地下室をチェックし、問題のないことを報告している[38]。不安に思ったモンティーグル卿はジェームズ1世の元に手紙を送り、王はトマス・ナイヴェットに議事堂の地下を捜索するよう命じた。


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