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蚊帳の使用は熱帯地域における伝染病の感染を減少させる有効な手段とされ、特に2000年頃に5年間ほど効果が持続する[34]ピレスロイド系の殺虫剤を添加した蚊帳が開発されると、世界保健機関(WHO)や多くのNPOがこれを採用して無償配布や援助を行うようになった。

また蚊は風速1m以上の風が吹く環境下では飛行できない(横風を受けて飛ばされてしまう。ヒトに取り付く事も出来ない)ため、扇風機の風を当てる事でも防除はできる。

蚊の駆除を目的としたものには、紫外線で蚊を誘引し、通電した格子に触れさせ感電死させる電気捕虫機[35](電撃殺虫器[36])があり、同様に紫外線や二酸化炭素で誘引した蚊を風力で捕獲する機器も登場している[37]

侵入した蚊を駆除する方法としては、電気の流れるラケット状の器具「電気蠅叩き」が登場している。
物理的予防

ボウフラの生息場所となる「水たまり」を、可能な限り作らないことが重要である。それが困難な場合には以下の方法がある。

水面を
で覆う事でボウフラを窒息死させる事ができ、アメリカ合衆国パナマ運河を建設した際にもこの手法でマラリアの発生が抑えられている[38]

エアレーションで水面を揺らす事でもボウフラを窒息死させる事ができる[39]。これを応用して水面に浮かべる小型機器も考案されている[40]

水にファイバー、繊維状のものを入れることで、ボウフラの9割が羽化せずに死滅するとの実験結果もある[41]

簡単な加工を施したペットボトルを水源に設置してボウフラを閉じ込める罠が考案されている[42][43]

また、水源から離れた場所に設置し、敢えて蚊に産卵させた上で羽化した成虫を閉じ込めるも商品化されている[44]。同じような罠をペットボトルなどで作成することもできる[45]
蚊の生態系における役割
水の浄化

ボウフラは水中の有機物を分解し、バクテリアを食して排泄物を出す。微生物も同じように有機物を分解し排泄物を出すが、呼吸を水中で行うため、バクテリアが増えすぎると水中の酸素が少なくなり生物が住めなくなってしまう場合がある。ボウフラはバクテリアを食べ、呼吸は空気中から行うことで、水環境を浄化する作用がある[46][47]
受粉の手助けカカオの花

蚊は吸血だけでなく花の蜜を吸って生きており、結果として植物の受粉を手助けしている。なかでも、チョコレートの原料であるカカオは、が非常に小さく複雑な構造であるため、3ミリメートル未満の送粉者を必要とする。蚊の一種であるヌカカ[注釈 2][48]は、カカオの貴重な送粉者である。もしも地球上から蚊が全滅してしまったと仮定すると、カカオの生育に大きな悪影響を及ぼし、人々はチョコレートやココアを嗜むことが不可能となる[49][50]
生態系の維持

ボウフラは、数百種類にわたる魚に捕食されており、もしもボウフラがいなくなると、それらのエサが失われることから、生態系の秩序が乱れ、思いもよらぬ影響が及ぼされることが懸念される。また、トンボアリクモコオロギトカゲカエルなどにも一定の影響を及ぼすと考えられている[49]

人道的見地を排斥した視点からは、蚊の駆逐は人口爆発に加勢し、税負担の増加や国家発展の妨げとなる可能性が示唆される[51]
下位分類

オオカ亜科
Toxorhynchitinae

オオカ属 Toxorhynchites

トワダオオカ Toxorhynchites (Toxorhynchites) towadensis (Matsumura, 1916)



ナミカ亜科 Culicinae

ナガハシカ属 Tripteroides

キンパラナガハシカ Tripteroides bambusa


イエカ属 Culex

アカイエカ Culex (Culex) pipiens pallens Coquillett, 1898

チカイエカ Culex (Culex) pipiens molestus Forskal, 1775

ネッタイイエカ Culex (Culex) pipiens quinquefasciatus Say, 1823

コガタアカイエカ Culex (Culex) tritaeniorhynchus Giles, 1901


クロヤブカ属 Armigeres

オオクロヤブカ Armigeres (Armigeres) subalbatus (Coquillett, 1898)


ヤブカ属 Aedes

ネッタイシマカ Aedes (Stegomyia) aegypti (Linnaeus, 1762)

ヒトスジシマカ Aedes (Stegomyia) albopictus (Skuse, 1894)

チシマヤブカ Aedes (Ochlerotatus) punctor (Kirby, 1837)

トウゴウヤブカ Aedes (Finlaya) togoi (Theobald, 1907)

ヤマトヤブカ Aedes (Finlaya) japonicus japonicus (Theobald, 1901)


プロソフォラ属 Psorophora

プロソフォラ・シリアタ Psorophora ciliata



ハマダラカ亜科 Anophelinae

ハマダラカ属 Anopheles

オオツルハマダラカ Anopheles hyrcanus lesteri Baisus et Hu, 1936

シナハマダラカ Anopheles (Anopheles) sinensis Wiedemann, 1828




アカイエカグループ

Culex pipiens

ネッタイシマカ
Aedes aegypti

ヒトスジシマカ
Aedes albopictus

脚注[脚注の使い方]
注釈^ ディート・イカリジンの濃度は、強さではなく持続時間を示している。ディート30%で約6時間、15%で5時間、10%で3時間の作用時間としている。また、商品問わず使用上の注意を読み、使用法を遵守して使うことが肝心である。
^ 「スケベ虫」「干拓虫」とも呼ばれ、鳥取県米子市鹿児島県奄美大島沖縄県久米島などの一部で近年被害が相次ぐ。体長の小ささゆえに網戸をすり抜け、噛まれると強い痒みが1ヶ月間以上続くこともある。

出典^ a b 【蚊 防ぐには】上:繁殖抑える/幼虫のうちに除去を『日本農業新聞』2020年7月22日(14面)
^ a b c d e 三條場千寿、比嘉由紀子、沢辺京子『あなたは嫌いかもしれないけど、とってもおもしろい蚊の話』山と渓谷社、2019年、44-45頁。 
^タンザニアにおける日本の都市マラリア対策―15 年の実績と将来への課題― 高橋央、半田祐二朗、山形洋一 JICA 2016年1月22日閲覧
^ 公正取引委員会 (2007年11月20日). “株式会社オーム電機に対する排除命令について”. 2008年8月23日閲覧。
^ 花岡和則「生物コーナー 蚊の脳(卵巣成熟)ホルモン」『化学と生物』1979年 17巻 9号 p.603-605, doi:10.1271/kagakutoseibutsu1962.17.603, .mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}NAID 40000426627


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