[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

一部の短鎖脂肪酸[14]含硫アミノ酸[14]アンモニア[15]1-オクテン-3-オール[16][17]、その他の体臭[18]
文化

俳句では「蚊」「孑孑(ボウフラ)」ともに季語とされる[19][20]滋賀県守山市は湿地が多く、古くは蚊の名所として知られ、人間ほどの蚊が出るという伝説があった。この蚊は狂言『蚊相撲』に登場し、人間に相撲を取ろうと持ちかけて近づき、血を吸おうとするが正体を見破られ、で煽がれて退治される。
血のDNA検査

人の血を吸った蚊の体内に残るヒトDNA型を鑑定することで、吸血2日後まで個人が特定できることを、名古屋大学大学院医学系研究科の山本敏充准教授らの研究グループが実験で確かめた。この研究では、グループは殺虫剤「キンチョール」で知られる大日本除虫菊(KINCHO)の協力を得て、無菌状態で飼育された蚊を入手した。国内で一般的なヒトスジシマカ、アカイエカにヒトの血を吸わせ、一時間後から72時間後まで数時間ごとに体内のヒトDNAを抽出。量や分解の程度を調べるとともに、DNA型による個人の識別を試みた。7人の被験者で検証した結果、吸血から48時間後までDNA型判定が可能だったという。いつ吸われた血か、半日単位で推定できることもわかった。グループは今後、1匹で複数のヒトの血を吸った場合の識別や、経過時間の精度向上を目指し、実験を続ける。山本准教授は「犯罪現場では蚊にも刺されてはいけない、という恐れが犯罪抑止につながれば」と話す。研究成果は2017年6月15日付米科学誌電子版に掲載された[21]
蚊の駆除・忌避・防除
成虫が活動する時期・場所

蚊は水たまりが発生源で、成虫は樹木や草むらで休む[22]ため、その近くは刺されないよう警戒したり、駆除を行ったりする対象エリアとなる。気温が18℃以上あれば活動でき、さらに季節による気温の変化が大きい日本では、成虫はに活発な行動を見せる。日本気象協会アース製薬と協力し、地域ごとに蚊に注意すべき度合いを「蚊ケア指数」として公表している[23]
化学的防除(殺虫剤)使用中の蚊取線香液体方式の電気蚊取(アースノーマット

除虫菊に殺虫効果があるとことは、古くから経験的に知られていた。また、蚊の一部の種は柑橘系の樹木・果実を嫌う習性があり、ネペタラクトンシトロネラ油忌避剤として利用されるほか、夏みかん等の果実の皮汁・果汁を人体に塗布する地方もある。

消費者心理として「天然成分の方が安全」との先入観を抱きがちであるが、天然成分で効果が示されるレモンユーカリ油は、ユーカリ油に含有するシネオールが呼吸・神経への危険性が指摘されているため、3歳未満の乳幼児の使用には注意喚起がなされている[24]

動物には忌避効果のある成分を含む植物を体に擦りつける習性を持つ種もある[25]

を沈めると、ボウフラを弱らせる効果が発見されており[26]、水の中に十円硬貨などの銅片を入れる、水の容器を銅製にする対策が行われたり、洗剤を水に溶かすと、界面活性剤によってボウフラが窒息し死滅することが知られている。

現代的な駆除は、家庭内では主に夜間に蚊取線香蚊取りリキッドハエゴキブリなども対象のスプレータイプの殺虫剤を使用して駆除を行う。日本において蚊などに用いる殺虫剤は医薬品医療機器等法に則り、厚生労働省が承認した、医薬部外品として取り扱われる。

蚊のための殺虫剤は、以下のとおり。
ピレスロイド系殺虫剤
除虫菊の成分を改変した一連の化合物。即効性で、家庭用としても多用される。揮発性は一部の化合物を除いて低い。除虫菊の殺虫成分は分解が早く、殺虫効力の低い異性体が多く混じっており、効力が低いために様々な構造の化合物が開発されている。除虫菊は、かつて蚊取り線香の原材料として使われていたが、現在では全化学合成で生産されている。忌避性もあるため、開発途上国ではピレスロイド系殺虫剤を練り込んだ蚊帳世界保健機関(WHO)が採用して、普及を目指している。また壁用塗料にも取り入れられている[27]
有機リン系殺虫剤
ピレスロイドと比較して、相対的に毒性が高いため、防除業者用として用いられている。DDVPは揮発性が高いためにビル地下街など、閉鎖空間での防除に利用される。
DEETイカリジン(ピカリジン)
忌避剤であり殺虫力はない。野外活動時に皮膚に塗布したり、特殊な加工により繊維に練りこませて用いる。DEETはアメリカにて1946年に開発され日本では1962年に認可、イカリジンは1985年に開発され、2015年に本邦にて認可された。DEETは海外での動物実験による神経毒性が指摘されている[28]。そのため、国民生活センターでは、厚生労働省や殺虫剤メーカーに対し、DEETの使用について以下のように定めた[注釈 1][29]。DEET12%以下の商品



6か月未満の乳児には使用不可

6か月以上2歳未満は、1日1回まで

2歳以上12歳未満は、1日1?3回まで

DEET30%の商品



12歳未満には使用不可

なお、イカリジンの年齢制限は特に設けられていない。巷では「DEET不使用」をアピールした忌避剤が販売されているため、DEETがさも危険であるかのように見受けられるが、DEET自体は危険ではなく、用法通りに使用すれば、安全である[29]。とくに、海外渡航への感染症対策にDEET配合忌避剤の使用が推奨されている[30]
BT
土壌微生物Bacillus thuringiensis の islaelensis 株は、蚊に対して殺虫効果を示すが、価格が高く、利用できる場面も限られているため、今後の応用が期待されている。
DDT
環境や人体への影響が大きい薬剤である。リスクを考慮してもなお、南アジアなどマラリアによる被害が遥かに大きい地域で、限定的に用いられる。
代表的な駆除器具

かつて日本においては、ヨモギの葉、カヤの木、スギマツの青葉などを火にくべて、燻したで蚊を追い払う蚊遣り火という風習が広く行われていた。また、こうした蚊を火によって追い払う道具は蚊遣り具、または蚊火とよばれ、全国的に使用されており、大正時代まではこれらの風習が残っていた。

蚊の駆除器具として使用されているものとしては、蚊取り線香がある。ただしその歴史自体は非常に新しいものであり、和歌山県出身の上山英一郎線香に除虫菊の粉末を練り込んだものを1890年明治23年)に開発したのが始まりである。蚊取線香の殺虫能力は高く、大正時代末には、蚊遣り火や蚊遣り具に取って代わった。ただし蚊取線香も火を用いることには変わりなく、安全性を高めの処理を容易にするために、蚊遣器と呼ばれる陶器製の容器(ブタをかたどった物が特に有名)に入れて使用することも多かった。

やがて1963年には、アレスリンを電熱によって揮発させ、殺虫効果を得る電気蚊取が開発され、煙や灰が出ないことから、1970年代には普及し、従来の蚊取線香に取って代わった。また、同時期にはスプレー型の殺虫剤や防虫剤も開発され、これも蚊の対策として広く使用されるようになった。

上記のような蚊の駆除器具の代表的な企業としては、上山の興した金鳥(大日本除虫菊)や、アース製薬フマキラーなどがある。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:82 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef