なお、Sturmgewehrという呼称はアドルフ・ヒトラー自身が考案したもので、後にAssault Rifle(アサルトライフル)と英訳されStG44と同種の武器を表す言葉として広く用いられるものとなった。 第二次世界大戦の教訓から各国は歩兵用銃器の選定基準を徐々に変えていった。第一次世界大戦までの戦争は塹壕と戦列を整えた歩兵によって戦われたが、第二次世界大戦はこれに比べると非常に流動的で、市街地や密林など機動性と視界が極めて制限された場所での戦闘が多発した。さらに銃撃戦はおおむね300m未満の距離でほんの短時間に行われ、この種の戦闘では従来の高い火力と高い命中精度を備えたライフルを必要としなかった。これらの点を考慮すると、「低威力かつ短銃身で軽量な自動小銃」、即ち短機関銃とカービン双方の長所を備えた銃器が必要とされたのである。 大戦中のStG44やM2カービンなどの自動式カービンは、遭遇戦で特に成果を残した。とっさの反応でも構えやすく、反動も軽減されており、短い戦闘の間により多くの銃弾を敵へ向けて発砲できたのである。また、弾薬自体も軽量で兵士一人当たりの携行弾数も大幅に増えた。フルオート射撃も重視された特徴である。これは概ね3発から5発のバースト射撃によって、移動標的に被弾させる確率を向上するものだった。このような自動式カービンは、やがてアサルトライフルと呼ばれる小型自動小銃へと繋がってゆく。詳細は「アサルトライフル」を参照
第二次世界大戦後
現代のカービン
M16シリーズ。上からM16A1、M16A2、M4、M16A4
en:IMBEL IA2
20式小銃(バレルレングスはM4よりコンパクトな330mm)
現在、大抵の国で制式小銃はアサルトライフルであり、アサルトライフルをより短縮した派生型をアサルトカービンやカービンモデルなどと呼称する。
アメリカ特殊作戦軍(SOCOM)やイギリス特殊部隊(UKSF)などに代表される世界各国の特殊部隊では必ずと言っても良いほどにアサルトカービンが配備されている。ほかにも車両乗員などが個人防衛火器(PDW)として装備している事も多い。
M4カービン詳細は「M4カービン」を参照
1997年、アメリカ軍は主力小銃M16A2アサルトライフルのカービンモデルであるコルト・コマンドーを改良し、M4カービンとして採用した。M4カービンは現代における代表的なカービンであり、取り回しの良さから近接戦闘や特殊作戦用の銃器として世界中の軍・警察で使用されている。
1998年、アメリカ陸軍ではM16A2アサルトライフルの後継装備としてM4カービンが選定され、現在では一般の兵士を含むほとんどの部隊でM16A2ライフルをM4カービンへ更新したとされる。
一方、多くの軍隊では同種のアサルトカービンのような軽量小銃の標準化に対して反発が起きており、そのような国では大抵の一般部隊は通常のアサルトライフルを装備している。さらに彼らに加えて、旧来型の大口径・長射程・高威力の小銃(いわゆるバトルライフル)を装備した選抜射手と呼ばれる、アサルトライフル・アサルトカービンとスナイパーライフルのギャップを埋めるような兵士を配置することもある。 カービンの一種として拳銃弾を使用するものがあり、これらはピストルカービン(Pistol Carbine)、またはPistol-Caliber Carbineの略称からPCCと呼称される。金属製薬莢が普及し始めると、ピストルカービンは真っ先に登場した。これらは当時人気だったリボルバー式拳銃と同じ弾薬を使用する"仲間"(companions)として、より高い初速と射撃精度を実現するべく開発された。西部開拓時代にはカウボーイや保安官によって広く使われ、.44-40弾あるいは.38-40弾を使用するウィンチェスターレバーアクションカービンとコルトリボルバーの組み合わせが最も良く見られた。
韓国製のK1カービン
ロシア製のAKS-74Uカービン
ドイツ製のHK53カービン
アメリカ製のコルト・コマンドー
ピストルカービン
現代にも同種のカービンは存在し、スターム・ルガー社のルガー・ポリス・カービン(採用中止[誰によって?])は同社の拳銃用弾倉を使用する。同様にマーリン社のキャンプ・カービン(採用中止[誰によって?])ではM1911拳銃の弾倉を使用している。ベレッタ社のベレッタCx4はベレッタPx4拳銃と相補的に運用することを見越しており、各種のベレッタ拳銃と弾倉を共有出来るように設計されている。ハイポイント社の995カービンは同社のC-9[要曖昧さ回避]拳銃と弾倉を共有し、またアメリカ国内における最も安価なカービンの一つでもある。その他、ケルテック社(Kel-Tec)のSUB-2000シリーズは、グロック、ベレッタ、スミス&ウェッソンなどの9mm或いは.40S&W弾を使用する拳銃をカービン化したものである。このような製品から、近年になって拳銃と弾薬を共有するコンパニオン・カービン(companion carbines)の需要は高まっていると見られる。
ピストルカービンの主な利点は、銃床や長銃身の為に発砲炎や反動が抑制され、高初速と高エネルギー及びそれに伴う殺傷力や貫通力が期待できる点である。またピストルカービンは銃声も小さく、屋内のような閉所で発砲したとしても聴覚に異常を来し難いとされる。一方で.223弾や7.62x39弾を用いる通常のライフルあるいはカービンと比べて、ピストルカービンは有効射程が短く弾道も不安定で、威力も劣る。さらに、とくに軍事用途としては、小銃弾とは別に拳銃弾を多量に用意せねばならないため運用上の不便や兵站への負担が大きくなるというデメリットもある。
拳銃の派生型としてのピストルカービンルガーP08アーティラリ・モデル
20世紀初頭、銃床や長銃身を取り付けられる拳銃が何種類か設計された。これらはしばしばカービンの役割を代用した。例えばルガーP08には、アーティラリ・モデル(砲兵型)と呼ばれる派生型がある。これは長銃身とタンジェント・サイト、及び木製銃床を備えたもので、しばしばMP18と共有出来る32連発弾倉が装填された。
モーゼルC96は標準的にタンジェント・サイトを備えており、木製銃床を装着することが可能であった。フルオート射撃が可能な改良型M712が、第二次世界大戦中のドイツ空軍降下猟兵や武装親衛隊によって短機関銃あるいはカービンの代用品として使用された。その他、ブローニングHPや南部大型自動拳銃大型(甲)なども木製銃床を取り付けるなどしてピストルカービン化することが可能であった。
近年ではM1911やグロック向けに、ブローバック動作をボルト動作に変換し、長銃身と銃床を取り付けるカービン化キットが市場に登場している。これを取り付けると本来の装弾機構とトリガーメカニズムを利用したカービン銃となるのである。 短機関銃のうち、フルオート射撃機能を廃して銃身を延長するなどしたモデルもまた、ピストルカービンと呼ばれる事がある。これはアメリカにおけるアサルト・ウエポン規制法など銃の所持・使用を規制する法律に従ったもので、民生用カービンとして市販されたり、警察などの公機関で使用される。 H&K MP5シリーズの民生用カービンHK94は、銃身長とセレクタが2段式(セミオート、セーフティのみ)になっている点を除いて、MP5との外見上の差はほとんど無い。
短機関銃の派生型としてのピストルカービン
脚注^ “防衛省規格 火器用語(小火器)
関連項目
アサルトライフル - 現代におけるカービン銃は、アサルトライフルの発展型として、アサルトライフルを短くしたものが圧倒的に多い。
短機関銃 - 国や時代によっては、カービンを『サブマシンガン』と呼称する場合がある。また逆に短機関銃の中にもカービンと呼称されるものがある。
PDW - いわゆるPDWの中には新型アサルトライフルを短縮化したもの、すなわちカービン銃も含まれている。
カラビナ - 語源はドイツ語の「Karabiner」で、カービン銃のこと。
カラビニエリ - イタリアの国家憲兵。設立当初にカービン銃を装備していたため、カービン銃を名称の語源としている。