映画祭のメインの運営資金は、半分以上が文化・通信省管轄のフランス国立映画センター(フランス語版)(CNC)から融資されている[7]。フランスでは文化特例制度と呼ばれる映画振興政策が取られておりフランス国内で公開された映画は入場料の10.72%が特別追加税として差し引かれ、更にビデオ制作会社やテレビ事業者からの税収がCNCが行う助成活動の資金となる[8]。このため映画祭に出品される映画は、文化特例制度を遵守している必要があり、フランス国内での公開が義務付けられる上に、一般公開日後のメディア化や動画配信の際に規定のスケジュールを守らない場合には出品が認められない。2017年にはNetflixが一般公開せず、限定公開後に間もなく動画配信を行ったが、2018年からの出品が認められなくなっている[7]。 2007年に開催60回記念として、映画『それぞれのシネマ?カンヌ国際映画祭60回記念製作映画?』が映画祭公式で製作、上映された。「それぞれのシネマ」は映画祭プロデューサー、ジル・ジャコブの呼びかけにより、映画祭にゆかりのある監督たちがそれぞれの「映画館」への想いを3分間でつづったオムニバス映画。参加監督は以下の通り(()内は主な作品)。
60回記念製作映画
レイモン・ドゥパルドン(『アフリカ、痛みはいかがですか
北野武(『HANA-BI』)
テオ・アンゲロプロス(『永遠と一日』)
アンドレイ・コンチャロフスキー(『映写技師は見ていた』)
ナンニ・モレッティ(『息子の部屋』)
ホウ・シャオシェン(『悲情城市』)
ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ(『ロゼッタ』)
ジョエル&イーサン・コーエン(『ノーカントリー』)
デヴィッド・リンチ(『マルホランド・ドライブ』)
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(『バベル』)
チャン・イーモウ(『HERO』)
アモス・ギタイ(『キプールの記憶』)
ジェーン・カンピオン(『ピアノ・レッスン』)
アトム・エゴヤン(『スウィート ヒアアフター』)
アキ・カウリスマキ(『過去のない男』)
オリヴィエ・アサヤス(『夏時間の庭』)
ユーセフ・シャヒーン(『炎のアンダルシア』)
ツァイ・ミンリャン(『西瓜』)
ラース・フォン・トリアー(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)
ラウル・ルイス(『ミステリーズ 運命のリスボン』)
クロード・ルルーシュ(『男と女』)
ガス・ヴァン・サント(『エレファント』)
ロマン・ポランスキー(『戦場のピアニスト』)
マイケル・チミノ(『ディア・ハンター』)
デヴィッド・クローネンバーグ(『ヒストリー・オブ・バイオレンス』)
ウォン・カーウァイ(『花様年華』)
アッバス・キアロスタミ(『桜桃の味』)
ビレ・アウグスト(『マンデラの名もなき看守』)
エリア・スレイマン(『D.I.』)
マノエル・デ・オリヴェイラ(『クレーヴの奥方』)
ウォルター・サレス(『モーターサイクル・ダイアリーズ』)
ヴィム・ヴェンダース(『パリ、テキサス』)
チェン・カイコー(『さらば、わが愛/覇王別姫』)
ケン・ローチ(『麦の穂をゆらす風』)
日本映画の受賞
コンペティション部門受賞
杉山公平 『源氏物語』:撮影賞
衣笠貞之助『地獄門』:パルム・ドール
今村貞雄 『白い山脈』:記録映画賞
市川崑『鍵』:審査員特別賞
小林正樹『切腹』:審査員特別賞
勅使河原宏『砂の女』:審査員特別賞
小林正樹『怪談』:審査員特別賞
大島渚『愛の亡霊』:監督賞
黒澤明『影武者』:パルム・ドール
今村昌平『楢山節考』:パルム・ドール
ポール・シュレイダー『ミシマ:ア・ライフ・イン・フォー・チャプターズ』:芸術貢献賞
三國連太郎『親鸞 白い道』:審査員賞
小栗康平『死の棘』:グランプリ
今村昌平『うなぎ』:パルム・ドール