カンタベリー物語
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『聖書』の「ノアの方舟」規模の大洪水が来ると大工を騙して、屋根の下に吊り下げた桶の中に避難させた隙に、二人は大工のベッドでいちゃつく。そこに、アリスーンに横恋慕する教会役員のアブソロンがやってきて、窓越しにキスさせろと頼むので、ニコラスが尻をつきだし、屁をかませるが??。

『騎士の話』で描かれた「宮廷の愛」とは対照的な、下品・猥褻・風刺的な「寝取られ」がテーマのファブリオーである。
親分の話(The Reeve's Tale)
親分の話・序

全員が粉屋の話に大笑いしたが、荘園の親分オズワルドは面白くない。昔、大工をしていたからだった。そこで逆襲とばかり、粉屋をばかにした話を始める。
親分の話

粉屋のシムキンは大悪党で、見学に来たカンテブリッジ大学ソレル・ハルの学生ジョンとアレンから汚い手で粉を騙し取る。しかし、学生たちに一夜の宿を貸したところ??。

『デカメロン』第9日第6話にも使われた、当時人気のファブリオーに基づいている。
料理人の話(The Cook's Tale)エルズミア写本の料理人の絵
料理人の話・序

料理人のロジェルが話を始める。
料理人の話

道楽者の丁稚小僧の話。しかし58行で中途半端に終わっていて、未完と言われるが、チョーサーはわざとそうしたのだと主張する研究者もいる[1]
法律家の話(The Man of Law's Tale)1492年のフォリオから法律家の絵
法律家の話・序

この中で、法律家がチョーサーの作品(『公爵夫人の書(The Book of the Duchess)』と『善女伝説(The Legend of Good Women)』)について言及している。
法律家の話

数奇な運命を辿るローマ皇帝の王女クスタンス姫の話。クスタンス姫に恋をしたシリアサルタンはキリスト教に改宗し、クスタンスを王妃に迎える。しかし、サルタンの母親の陰謀でサルタンは虐殺され、クスタンスは海に流される。長い漂流の末、クスタンスは奇跡的にグレートブリテン島ノーサンバーランドに漂着する。その地の王アラ(モデルとなったのは実在のノーサンバランド王Alla)はクスタンスを気に入り、キリスト教に改宗し、結婚。マウリシュウスという子が生まれるが、王の母親の陰謀で子供とともに海に流されるが??。

1387年頃に書かれた。ジョン・ガワーが『恋人の告白(Confessio Amantis)』で取り上げた、ニコラス・トリヴェット(Nicholas Trivet)の『年代記』の中の挿話に基づく。
バースの女房の話(The Wife of Bath's Tale)エルズミア写本の『バースの女房の話』の表紙
バースの女房の話・序

5度の結婚歴のあるバースの女房(アリスーン)が、自分の人生について長々と語る。その中で、バースの女房は、イエス・キリストは決して複数の結婚を否定しなかったし、アブラハムヤコブソロモン王も二人以上の妻を持ったと例証することで自分の生き方を正当化し、さらに貞節や処女性を重視する価値観を次々と論破してゆく。
バースの女房の話

アーサー王は、死刑の決まった家来の若い騎士に対して、命を助ける条件として「女は何が一番好きか」の答えの探索を命じ、1年と1日の猶予を与える。騎士は旅の途中に出会った醜い老婆からその答えを教えてもらい、王宮でそれを言うと、女性全員の同意を得られ、無事死刑を免れた。しかし、老婆はその御礼に騎士に「結婚」を求め、無理矢理結婚させられる。そして、新婚の床に入ることになったが??。

中世文学の「Loathly lady(嫌でたまらない女)」モチーフを利用している。その古い例ではアイルランド神話の『Niall Noigiallach』がある。アーサー王の甥ガウェインを主人公にした『ガウェイン卿とラグネル婦人の結婚(The Wedding of Sir Gawain and Dame Ragnelle)』やバラッド『ガウェイン卿の結婚(The Marriage of Sir Gawain)』も『バースの女房の話』と同じ話である。
托鉢僧の話(The Friar's Tale)
托鉢僧の話・序

托鉢僧が、巡礼団の中の刑事を挑発する話を始める。
托鉢僧の話

無実の人を偽りの罪で教会裁判所(Ecclesiastical court)に召喚すると脅して、金をまきあげる悪徳刑事は、偶然出会った郷士と兄弟の契約を交わすが、実は郷士は悪魔だった。刑事は、相手が悪魔と知りながら、さらなる悪事を働こうとするが??。
刑事の話(The Summoner's Tale)
刑事の話・序

『托鉢僧の話』に対する刑事の逆襲。
刑事の話

物乞いして暮らしている托鉢僧の話。托鉢僧からしつこく寄進を迫られた病人が、托鉢僧の仲間たちに等分することを条件にとんでもないものを寄進する。
学僧の話(The Clerk's Tale)1492年のフォリオから学僧の絵
学僧の話・序

オックスフォルド大学の学僧が話を始める。
学僧の話

サルッツォー侯ワルテルは家臣から結婚を迫られ、貧しい田舎娘グリセルダを妻に娶る。グリセルダは良妻の鑑のような女性だったが、ワルテルはグリセルダの自分への愛を試そうと、とんでもないことを考える。

『デカメロン』に出てくる話で、おそらく口承文学から採られたものだろうと指摘されている。1374年ペトラルカが高徳・貞節を表す教訓的逸話としてラテン語に翻訳し、学僧はそのペトラルカから聞いた話と「序」で前置きしている。ペトラルカの詩は1382年から1389年頃、Philippe de Mezieresによってフランス語にも翻訳されている。

『バースの女房の物語』のアンチテーゼとも言える話だが、結句がついていて、その中でチョーサーは自分の妻を試す夫は愚か者だと注釈している。
貿易商人の話(The Merchant's Tale)


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