カレー
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現代のフランス人は辛さが苦手で、フランス風の「キュリ」は辛さよりスパイスの風味を活かしたものが多いと云われるが[12]、南仏ではこの「カリ・ゴス」が地元の味として今も活用されている。
日本詳細は「カレーライス」、「日本のカレー」、および「スープカレー」を参照

日本にカレーが伝えられたのは1868年で、イギリスの商船が既成のカレー粉を持ち込んだのが始まりとされている[13]。その後1872年には仮名垣魯文によって編纂された『西洋料理通』が出版され、カレーレシピが紹介されることで広く浸透した[13]。定着の理由としては時代背景として肉食の奨励とともに西洋文化の取り込み・吸収に貪欲であったことに加え、野菜、肉、米をまとめて摂取可能な上に安上がりで食べ応えがあったことが挙げられている[14]。イギリスから伝わったものに小麦粉を加えたとろみのあるカレーを米飯(ライス)の上に掛けて食する「カレーライス」が普及しており、それぞれの地域や家庭、店舗などによって様々にアレンジされたカレーが存在する。

スープ状のカレーや、カレー味のスープはスープカレーと呼ばれ、ハウス食品のレシピの例では、使用される具材は固形カレーの素、タマネギ、ロースハムキャベツサラダ油、水、、胡椒である。グリーンカレーの名で販売する店舗もあり、インドの地方やタイのカレーは同様のカレーと呼ぶがスープ状の物であり、スープ状であることからカレースープと呼ぶ人もいる[15]。「カレー」と称しているがスープの店もある[16]。日清食品からカップのグリーンカレーのスープも販売されている。地元産素材を使う地域の町おこしとして売り出される例もみられる[注釈 1][17]。商業ベースでは、東京都新宿区の「モンスナック」が、1964年(昭和39年)の創業時からスープ状のカレーを供している[18]

そのほかにも、日本独自のカレー料理(食品)は多く、カレー南蛮(カレー味の汁をかけたかけそば)などの類、ドライカレーカレーまんカレーパンカレーコロッケなどがある。カレー味に調味したスナック菓子も多い。

カレーライス(とろみのあるカレーを飯に掛けたもの)

カレースープを掛けたもの(チキンカレー)

カレー南蛮(カレー蕎麦)

カレーパン

アメリカ

アメリカには、18世紀にイギリスから移住してきた人々によってカレーが主に上流階級を中心に伝えられたとされ、アメリカ独立宣言の署名者のひとりであったウィリアム・ホイップルの妻であるキャサリン・モファット・ホイップルによって考案された「アップルカレースープ」が北米生まれの最初のカレーレシピとされている[19]

1809年にボストンにインドや中国との間を往来する埠頭が建設され、1813年に東インド会社がインドとの貿易独占権を失うと、インド産のスパイスは入手しやすくなり、ボストンのインド埠頭には、カルカッタからお茶、コショウ、ショウガ、カルダモン、サフラン、ターメリック、クミン、オールスパイス、クローブ、コリアンダー、シナモン、スターアニス、唐辛子、フェンネル、メース、ナツメグ、カレー粉といった積荷が連日届けられ、近郊の酒場や食堂ではチキンカレーや子牛肉のカレー、ロブスターのカレーなどが人気を博した[20]

1824年に出版されたメアリ・ランドルフの『The Virginia Housewife or Methodical Cook』内で東インド風チキンカレー、ナマズのカレー、カレー粉のレシピなどが掲載されたのを皮切りに、イライザ・レスリー『Direction forCookery in its Various Branches』(1840年)、アン・アレン『The House Keeper's Assistant』(1845年)、キャサリン・ビーチャー『Miss Beecher's Domestic Receipt Book』(1846年)などで相次いでカレーのレシピなどが紹介され、広く世間に浸透した[19]

19世紀に入ると大衆向けの料理雑誌などでカレーが取り上げられる機会が増加し、マリガトーニ・スープ、冷めた肉のカレー、カレー風味鶏肉のゼリー寄せ、七面鳥のカレーといったオリジナルのレシピも含めた多種多様なカレー料理が大衆化を遂げた[21]。中でもアメリカ南部などで人気を博したのがイライザ・レスリーが紹介したカントリーキャプテン・チキンで、フランクリン・ルーズベルトジョージ・パットンなどもいたく気に入ったという[21]。カントリーキャプテン・チキンはその後、アメリカ国防総省によって兵士に配布されるインスタント食品のメニューに加えられている[22]。その他、オイスターバーなどを中心に広まりを見せたカキのカレーやカレーチキンサラダなどもアメリカでよく食されるカレー料理となっている[23]

1952年にはフローレンス・ブロベックによってアメリカでは初となるカレー料理の専門書『Cooking with Curry』が出版され、ハワイアルジェリアオーストラリアニュージーランド広東中国日本ケージャン西インド諸島トルコボンベイカルカッタベンガルといった国や地域のカレー料理が紹介された[24]。1965年に移民法が撤廃されると南アジアからの移住者が急増し、これに伴いニューヨークなどでインド料理店が数多く出店されるようになった[25]
その他の地域
中国
??飯:カレーライス。
ヨーロッパ
カリーヴルストドイツ):焼いたソーセージにカレー粉を加えたケチャップをかけた料理。
オセアニア
ニューカレドニア風カレー:ヤム芋と鶏肉をココナッツと香辛料で煮込んだもの。
西インド諸島
カリー・ゴート(ジャマイカ):カレー粉で下味をつけたヤギ肉を煮込んだ料理。カリード・アキー(ジャマイカ):ココナッツミルクとカレー粉でアキーを煮た前菜。コロンボ(フランス領アンティル):コロンボ粉(カレー粉)を使った肉や魚のカレー。
カレー粉詳細は「カレー粉」を参照カレー粉

カレー粉は、ミックススパイスの一種。18世紀後半にイギリスのクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)社が考案し、はじめて製品化したものである[26]。この「カレー粉」の製法はなかなか解明できなかったため、長いあいだC&B社の製品が市場を独占していた。
素材による身体への作用

カレーに含まれるスパイスの1つとしてアキウコン(ターメリック、C. longa )が含まれ、有効成分にクルクミンが含まれている。

クルクミンの生理作用として抗腫瘍作用や抗酸化作用、抗アミロイド作用、抗炎症作用などが知られている。

抗炎症作用はエイコサノイド合成の阻害によるものだと考えられている[27]。また、フリーラジカル捕捉能を持ち、脂質の過酸化や活性酸素種によるDNA傷害を防ぐ。クルクミノイドはグルタチオンS-トランスフェラーゼを誘導するため、シトクロムP450を阻害しうる。

クルクミンの生理活性と医学的有用性は近年盛んに研究されている。抗がん効果では、がん細胞に対し特異的にアポトーシスを誘導するとの報告がある。また、クルクミンはがんをはじめとした多くの炎症性疾患に関連する転写因子であるNF-κBを抑制しうる[28]。実際、事前に発がん物質を投与されたマウスラットに、0.2%のクルクミンを添加した食餌を与えたところ、大腸癌の発症において有意な減少が見られたとの報告がある[29]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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