合理化カルテルとは、字のごとく事業を合理化するためのカルテルである。合理化内容いかんは独禁法で4種類を限定列挙していたので専ら西ドイツの問題であった。第一には経営合理化、つまり費用対効果の改善である。しかし量産化であえて品質を下げるなどというのは駄目で、一応イノベーションが志向された。国民経済は二義的要素であった。そして、合理化カルテルは独禁法で生産業に限定していたが、西ドイツではサービス業に適用できた。かかる合理化カルテルは西ドイツ競争制限禁止法準備段階当初からの基本構想であって、ルール地方のゲオルクなどの取扱いと関係して立法に向けて草案が修正された[6]。そして5条1項の規格統一カルテルは届出さえすれば認可されたから、欧州石炭鉄鋼共同体と同様に輸出先には遠慮がなかった。
規格統一カルテルの最初は19世紀にさかのぼる。メートル条約がその後の発展を基礎づけた。1896年に欧州で国際材料試験協会[注 4]が発足して国際標準化時代が到来した。2年後設立のアメリカ支部はASTMインターナショナルである。このブームに乗って1926年に万国規格統一協会ができた。やがてこれを国際標準化機構が承継した。20世紀初頭には国際電気標準会議と国際無線電信連合が並行して発展をとげた。2001年からは世界標準協力(英語版)が、国際標準化機構、国際電気標準会議、そして国際電気通信連合のITU-Tから、会長・副会長・事務局長等を集めて一層緊密に連携している。最近で国際標準化の俎上に上がっている構想はスマートグリッドとブロックチェーンである。欧州石炭鉄鋼共同体から不況・合理化カルテルまでは系譜としての関係ができている。そして、鉄鋼カルテルの前にリンクを列挙した国際カルテルの中には鉄鋼カルテルと出身地の近いものが幾つか存在している。 日本法の「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(以下「法」)は、これを不当な取引制限として禁止している(法第3条後段)。日本では、公正取引委員会が独占禁止法に抵触するカルテルを結んだ事業者等に対して課す金銭的不利益のことを課徴金と呼び、刑事罰の罰金と区別している(結果的に両方が科せられるケースもある)[7]。日本における課徴金の最高額は、2010年に発覚した光ファイバーケーブルの納入をめぐるカルテルで、住友電気工業、古河電気工業、フジクラらに約160億円の納付が命じられたもの。住友電気工業と古河電気工業は、直近に公正取引委員会から別の課徴金納付命令を受けていた経緯があり、課徴金の割増制度が適用され極めて高額なものとなった[8]。 アメリカ合衆国や中華人民共和国など多くの国では、国益を損ねるカルテルを防止する法律を運用しており、反トラスト法または独占禁止法といった訳が当てられている[9]。アメリカでは、アメリカ合衆国司法省が反トラスト法を所管している。アメリカにおける反トラスト法違反の罰金の最高額は、2011年に発表された5億4,800万ドルで、アメリカ向けの自動車用ワイヤーハーネスの価格カルテルを続けていた、日本の矢崎総業とデンソーに対して申し渡されたもの。なお同時に矢崎総業の日本人幹部4人が、1年3カ月から2年の禁錮刑を受けることも司法取引で同意されている[10]。 この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 著作権法、特許法、実用新案法、意匠法、商標法の権利の行使に関しては、1947年当初から、法第21条に基づき適用が除外されている。これは、各知的財産権法の法趣旨と、独占禁止法の法趣旨が異なるためであり、法21条は、独占禁止法の法趣旨を逸脱する程度を超えない限り、各知的財産権法の法趣旨を考慮した調整規定の役割を果たす。言い換えれば、各知的財産法の法趣旨を逸脱し、又はこれらの法制度の目的に反すると認められる場合は、法21条の適用除外は認められず、通常の独占禁止法の趣旨に則って判断される[11]。 法律に基づいて設立された組合のうち一定の条件を満たす組合の行為については、1947年より法第22条に基づき適用除外となっている。ただし不公正な取引方法が行われる場合や、一定の取引分野の競争を実質的に制限し価格を引き上げるような場合は適用の対象となる。 法令により独占禁止法の適用が除外されている団体は次のとおり。 1953年に、法改正により再販売価格維持制度が設置され、法第23条に基づき、公正取引委員会が指定した商品については、再販売価格が維持できることとなった。ただし、一般消費者の利益を不当に害する場合や、生産者の意に反して契約が行われた場合などは、独禁法の適用対象となる。 なお、価格を決定し契約を行った事業者は、再販売価格維持契約の届出に関する規則
規制
日本の独占禁止法適用除外制度
独占禁止法による適用除外制度
知的財産権行使の適用除外
一定の組合についての適用除外
農業協同組合:農業協同組合法(昭和22年法律第132号)、1947年適用除外
水産業協同組合
中小企業等協同組合:中小企業等協同組合法(昭和24年法律第181号)、1949年適用除外
信用金庫:信用金庫法(昭和26年法律第238号)、1951年適用除外
労働金庫:労働金庫法(昭和28年法律第227号)、1953年適用除外
たばこ耕作組合:たばこ耕作組合法(昭和33年法律第135号)、1958年適用除外
商店街振興組合
森林組合:森林組合法(昭和53年法律第36号)、1978年適用除外
再販制度
書籍
雑誌
新聞 - 新聞販売では、乱売や過度の競争を排除するため、1999年に「新聞業における特定の不公正な取引方法(新聞特殊指定)」という形で、カルテルが法規制から除外された。ただし、公正取引委員会はその見直しを求めており、2001年には、公正競争規約を設置・運営する著作物再販協議会が、かろうじて存置されたものの、2010年には同協議会は廃止となった。
レコード盤
音楽用カセットテープ
音楽用コンパクトディスク
かつては、化粧品にも再販制度が適用されていた[12]。 法の適用除外として不況カルテルや合理化カルテルが認められ、カルテル価格が公認されることもあったが、適用除外制度の見直しとして、不況カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止(平成11年7月23日施行)並びに商工組合の経営安定カルテル制度及び合理化カルテル制度の廃止(平成12年3月2日施行)が行われた。現存するカルテルは次のとおり(2014年現在)[13]。
省庁別の独占禁止法適用除外制度の一覧
金融庁
保険カルテル:1946年に日本損害保険協会が設立されたが、1951年の旧保険業法改正により保険は独禁法適用除外対象となった。具体的には1997年に航空保険
信用金庫:信用金庫法により1951年適用除外。
労働金庫:労働金庫法により1953年適用除外。
自動車損害賠償責任保険、地震保険の損害保険基準料率の算出に関する業務:1948年に損害保険料率算出団体に関する法律の施行により損害保険料率算定会が設立された後、1964年に損害保険料率算定会から自動車保険料率算定会が分離したが、1998年の法改正によりそれらの業務が独禁法の適用除外となり、2002年には自動車保険料率算定会と損害保険料率算定会が再統合し損害保険料率算出機構が設立された。