カリーニングラード州
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ソ連崩壊後「ソビエト連邦の崩壊」も参照

1991年以降、約12,000人のドイツ人がカリーニングラード州内に移住を試みたが、ほとんどは数か月後にドイツに戻った。

1992年ロシア連邦大統領ボリス・エリツィンは、1945年ヤルタ会議で計画されていたように、この地域はポーランドに譲渡されるべきであると述べた(ヤルタ会議の取り決めでは、ドイツがシュチェチン地方を領有するかわりに、ポーランドはケーニヒスベルクを得ることになっていた)。しかし、1996年にポーランドが北大西洋条約機構(NATO)への加盟を求めて以降、この発言は撤回された。

2004年5月1日、国境を接する2か国、ポーランドとリトアニアが欧州連合(EU)に加盟したことで(しばしば「紙のカーテン」と形容される)、カリーニングラード州は二重の意味で飛び地となり、国境の通行はさらに困難になった。

カリーニングラード市の周辺地域はソ連政府が巨大な軍事施設を設置していたために、50年間ほどは出入りに許可が必要な、いわゆるZATO(閉鎖都市)であった。冷戦の終結以後、その軍事施設の規模や環境破壊の深刻さが次第に明らかになってきている。

本土から遠く西に離れたカリーニングラード州は、ロシアの対NATO軍事戦略にとって重要な位置にある。ミサイル防衛構想への対抗策として短距離弾道ミサイルイスカンデル」を配備する計画を度々表明している。また東隣にあるリトアニアが、エネルギー調達でロシアへの依存度を下げるためスウェーデンから海底送電線を敷設した際には、カリーニングラードに駐留するロシア海軍艦隊が、軍事演習を名目として威嚇した[2]

リトアニアのカロブリス国防相は、2017年5月、「ロシアがカリーニングラードに核兵器を配備した」と述べている[3]

2017年7月21日に中国海軍052D型駆逐艦「合肥」を中心とする艦隊が入港。バルト海では初となる中露合同軍事演習「海上連合2017」に参加(7月25日?27日)[4]
2020年代

2022年ロシアのウクライナ侵攻への対ロシア経済制裁の一環として、リトアニアは同年6月20日に禁輸物資を載せた貨物列車の通境を禁止したと発表し、ロシア外務省はリトアニアやEUに抗議と対抗措置の警告を行なった[5]。同年11月2日、ポーランドの国防相は、ロシアがカリーニングラードを通じて北アフリカ中東不法移民の流入をさせる懸念があるとして、国境沿いにフェンスを設置することを発表した[6]
経済

カリーニングラード州は、軍事拠点として、また不凍港として、ロシアにとって重要な地域である。大規模な造船所や、自動車の組立工場もあり、漁業が盛ん。しかし、周囲の国々や、ロシア本国からの隔絶した地理的環境が大きな足かせとなり、輸出の不振や高い失業率が問題となっていた。だが最近(いつ?)リトアニアへの越境審査が簡略化され、それ以降は高い成長を維持している。また、バルト海で発見された油田に期待が持たれている。

カリーニングラード州は世界の琥珀の90%以上を産する。ヤンタルヌイ市にコハクの加工工場がある。
交通

フラブロヴォ空港がある。鉄道モスクワサンクトペテルブルクや、グダニスクベルリンと結ばれている。

2022年ロシアのウクライナ侵攻を機に、EUがロシアの航空機(ロシア企業の所有機、ロシアに登録されている航空機、ロシア人富豪が所有するプライベートジェット機)に対してEUの全領空を封鎖すると発表した。これにより、ロシア本土との空路について大幅な迂回路となることにより、燃料増加による航空代が高くなることが見込まれている。
標準時

この地域は、カリーニングラード時間帯標準時を使用している。時差はUTC+2時間で、夏時間はない。(2011年3月までは、標準時がUTC+2で夏時間がUTC+3時間、同年3月から2014年10月までは通年UTC+3であった)
脚注[脚注の使い方]
出典^ “5. ЧИСЛЕННОСТЬ НАСЕЛЕНИЯ РОССИИ, ФЕДЕРАЛЬНЫХ ОКРУГОВ, СУБЪЕКТОВ РОССИЙСКОЙ ФЕДЕРАЦИИ, ГОРОДСКИХ ОКРУГОВ, МУНИЦИПАЛЬНЫХ РАЙОНОВ, МУНИЦИПАЛЬНЫХ ОКРУГОВ, ГОРОДСКИХ И СЕЛЬСКИХ ПОСЕЛЕНИЙ, ГОРОДСКИХ НАСЕЛЕННЫХ ПУНКТОВ, СЕЛЬСКИХ НАСЕЛЕННЫХ ПУНКТОВ С НАСЕЛЕНИЕМ 3000 ЧЕЛОВЕК И БОЛЕЕ”. 2024年5月22日閲覧。
^“【国境を超える電力】リトアニア「脱ロ入欧」の攻防/ロシア海軍が威嚇”. 朝日新聞GLOBE. (2017年3月号). ⇒http://globe.asahi.com/feature/article/2017030100009.html 
^ 「リトアニア 米露接近 募る不安」『読売新聞』朝刊2017年5月19日
^ 「中露海軍 バルト海で初演習/25?27日 NATOけん制狙いか」『読売新聞』朝刊2017年7月22日(国際面)
^ 「露と飛び地 鉄道輸送禁止 カリーニングラード リトアニアに露抗議」『読売新聞』朝刊2022年6月22日(国際面)


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