こうした変化はマグマの中で常に起きているが、ガスである「アルゴン40」はマグマから抜け出してしまう。しかし火山の噴火などによって地表に出たマグマは冷えて固まる。そうすると「アルゴン40」は岩石の中に閉じ込められ、時間とともにその量を増していく。放射壊変による「カリウム40」の減少のしかた(あるいは「アルゴン40」の増加のしかた)は方程式であらわされている。
方程式
t = t 1 2 ln ( 2 ) ln ( K f + A r f 0.109 K f ) {\displaystyle t={\frac {t_{\frac {1}{2}}}{\ln(2)}}\ln \left({\frac {K_{f}+{\frac {Ar_{f}}{0.109}}}{K_{f}}}\right)}
この方程式を積分することによって、マグマが結晶化した時点から現在までの時間にどれだけ「アルゴン40」が増えたかが予測される。これと観測された「アルゴン40」の量とを比べれば、マグマが固化してから現在までの経過時間がわかる。 大気中アルゴンの混入[3]や試料の変質により、実年代と見かけ上の年代に誤差が生じる。例えば試料が長石類の場合、炭酸塩化、絹雲母化、粘土化などの弱い熱水変質
誤差
この欠点を持つカリウム-アルゴン法に代わり、アルゴン - アルゴン法が開発された[2]。
参考文献
『ゼロと無限の科学』(ニュートンムック)ニュートンプレス 2006年2月 ISBN 4315517690
脚注^ 板谷徹丸, 岡田利典、第四紀研究におけるK-Ar法の過去・現在・未来 『第四紀研究』 1995年 34巻 3号 p.249-259, doi:10.4116/jaqua.34.249
^ a b 極微量の岩石鉱物試料の地質年代測定 精密な時間軸を入れた火山活動史の解明へ向けて (PDF) 産業技術総合研究所 産総研TODAY - 2006年 vol.06 no.02 p38-39
^ 高岡宣雄、百万年より若い火山岩のK-Ar年代測定における問題点 『Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan.』 1989年 37巻 6号 p.343-351, doi:10.5702/massspec.37.343
^ 石原舜三, 折橋裕二、足尾流紋岩質火砕岩類のジルコンU-Pb 年代と全岩K-Ar年代 『資源地質』 2013年 63巻 3号 p.149-152, doi:10.11456/shigenchishitsu.63.149
関連項目
放射年代測定
外部リンク
内海茂、柴田賢、K-Ar 年代測定における誤差について (PDF) 『地質調査所月報』 Vol.31 No.6 (1980)
松本哲一, 宇都浩三, 柴田賢、歴史溶岩のアルゴン同位体比 ―若い火山岩のK-Ar年代測定における初生値補正の重要性― 『Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan.』 1989年 37巻 6号 p.353-363, doi:10.5702/massspec.37.353
佐藤佳子, 熊谷英憲, 田村肇, 川畑博、レーザー融解 K-Ar 法による極微量年代測定法の開発 『地球化学』 2008年 42巻 4号 p.179-199, doi:10.14934/chikyukagaku.42.179
典拠管理データベース: 国立図書館
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