繁殖期は春から夏で、一夫一妻制で協力して子育てを行う。抱卵期間は20日前後、巣立ちまでの期間は30?40日程度。産卵数は2?5(ハシブトガラス)ないし3?5(ハシボソガラス)程度である。
巣は樹上に小枝を組んで作るが、最近では電柱や看板などに営巣することもあり、また巣の材料には針金・プラスチックなど様々な人工物を利用するようになっている。電柱や送電塔に針金類で営巣した場合、しばしば短絡の原因となり、問題となっている。
営巣期間中は縄張り意識が強く、不用意に巣に近づいたもしくは巣を見つめた人間や動物の個体を敵対者として認識・記憶し続け、威嚇・攻撃行動が見られる。
威嚇は、最初は鳴き声によって威嚇し、次には威嚇行動として、後方から相手の頭を狙って1メートル以内まで舞い降りサッと上昇する行動を行い、遠くへ立ち去るまで数百メートルに亘り背後から追跡し繰り返す[注 2][注 3]。
攻撃の場合は、多くは追跡威嚇行動が攻撃化し、「後方から舞い降りて頭を蹴りつけるか、頭髪をつかんで引っ張る」というものであり、怪我をした例は全体の17%であったという報告がある[12]。
群れの形成住宅地の空き地に群れるカラス
成鳥はつがいでほぼ一年中固定された縄張りを持つが、若鳥は群れで行動する。
繁殖中のつがいは巣の周辺でねぐらをとることが多いが、それ以外の個体は夜間人が立ち入ることのないよく茂った林や竹林に集団ねぐらをとる。近年では、公園の分布や面積に偏りのある都市ほど大群でねぐらをとる事例が多く発生している。 前述のように昔から知能の高い動物として知られており、イソップ寓話には、瓶の中で水に浮く餌を取り出すために石を沈めて水位を上げる『カラスと水差し』という話が伝承されている。具体的には、以下のような例が観察されている。 ハシボソガラスが硬くて自分の嘴では砕けない食べ物を飛行場の滑走路、防波堤、建物の屋上などの硬い場所に落として割る行動が見られる[注 4]。広島県では、カキ貝を落とす例もある。 道路にクルミを置き、自動車に轢かせて殻を割るという行動が、日本の都市でみられている[注 5]。1996年、神奈川県で鉄道のレール上にハシボソガラスが石を置くという事件が頻発した。「JRの人間に巣を撤去されたことに対する復讐として、列車を転覆させようとしたのでは」と言われたこともあったが、実際は敷石(バラスト)の下にパンを貯食した際に、くわえ上げた石を偶然レール上に置きそれを放置することで起きていたというのが真相であった[13]。 カラスが、嘴と足の指を器用に使い、公園の水道の蛇口をひねって水を飲む様子が観察されている[14]。カレドニアガラスのように、小枝を加工して道具を作る例もある[15][16]。雪の上でソリすべりをする[17]。 雛の時期から人間に飼育された個体は、キュウカンチョウのように人間の言葉や犬の声などを真似ることもできるようになる[18][19]。アメリカガラスが9年半人間の顔を覚えていた事例もある[20]。また、ハシブトガラス[21]は人間の男女の顔写真を識別できる[22][21]。 ワタリガラスは食べ物の存在場所の情報を夜に仲間と共有する[23]。カラスが少なくとも41語の言葉を持つことを利用し、日本の企業がカラス撃退装置を作っている[24]。「カラス語」を研究している国立総合研究大学院大学(神奈川県葉山町)の塚原直樹助教によると次のようなカラス語がある[25]。
知能筒にある餌を棒で取り出す様子