カムチャツカ半島
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上記、1697年(元禄10年)のアトラソフによる侵攻の折、彼はカムチャダールの集落大坂出身の伝兵衛に出会う。伝兵衛は商家の息子だったが、商船で大坂を出帆して江戸に向かったものの難破し、漂流の末にカムチャツカ半島に漂着したという。アトラゾフは伝兵衛を伴い、ロシアの首都ペテルブルクに帰還した。伝兵衛はロシアの文献に初めて登場した日本人であり、日本語学校の校長として生涯を終えている。

1700年(元禄13年)、江戸幕府の命により松前藩は勘察加(カムチャツカ半島)を含む蝦夷全図と『松前島郷帳』を作成した。1710年宝永7年)、南部のサニマ(三右衛門)らがカムチャツカ半島東岸ポロプロヴォエに漂着。1715年正徳5年)、松前藩主は幕府に対し、「十州島唐太チュプカ諸島、勘察加(カムチャツカ半島)」は松前藩領と報告。その後、1729年享保14年)、薩摩ゴンザとソウザら17名の乗った「若潮丸」が半島南端のロパートカ岬付近の東岸に漂着、2人以外は後にロシア側に殺害されたという。彼らも日本語教師となった。

一方、カムチャツカ半島を支配したロシア帝国が課した毛皮税(ヤサーク)の献納は先住民にとって大変過酷なものであり、1731年から1739年までカムチャダールの大反乱が起こったが、ロシア人はなどの武器を使用し反乱を制圧。この時期にデンマーク出身のベーリングにより2度の探検が行われ、1728年の最初の探検でアバチャ湾を発見。1740年第2次北東探検隊はアバチャ湾を拠点(後のペトロパブロフスク・カムチャツキー)とし、翌年以降カムチャツカ半島の太平洋岸を調査した。この頃、地理学者のステファン・クラシェニニコフらも訪れている。第2次探検隊の別働隊は1738年(日本で元文3年)、西岸のボリシェレツクから日本に向け航路の調査を行い、日本では元文の黒船として記録が残っている。1745年延享2年)春に千島列島温禰古丹島に漂着した南部佐井村・多賀丸(竹内徳兵衛ら18人乗組)の漂流民10名が、同年5月、徴税人スロボーチコフに見つかりカムチャツカ半島に送られ、日本語学校教師にさせられる。Stepan Krasheninnikovの図『Account of the Land of Kamchatka』(1755年)

1771年本拠地ポリシェレツクで流刑中の政治犯たちの反乱が発生し、カムチャツカの長官ニーロフが殺害された。首謀者・はんべんごろう(北ハンガリー出身のスロバキア人捕虜モーリツ・ベニョヴスキー)が聖ピョートル号を奪い脱出。彼らは土佐阿波奄美に寄港した際に数通の書簡を残し、その中でロシアの日本侵略の意図を述べ蝦夷地蚕食の危険を警告した。

大黒屋光太夫新蔵伊勢国神昌丸の漂流民一行がペテルブルクへ向かう途中、1787年天明7年)8月23日にカムチャツカ半島のウスチカムチャツクに到着の後、ニジニカムチャツクに移動。1788年(天明8年)6月15日、6人はニジニカムチャツクを離れ、カムチャツカ半島を横断してチギーリに着き、ここから船に乗り、オホーツクには8月30日に到着。約1年カムチャツカに滞在しており、当時の様子が『北槎聞略』に記されている[3]。1787年9月7日、フランス王国ラ・ペルーズ探検隊がペトロパブロフスクに寄港。ここで下船した後にシベリアを縦断した通訳役のジャン・バルテルミ・ド・レセップスは、結果として同探検隊で唯一のフランス帰国者となり、探検隊の記録が後世に残された。ペトロパブロフスクに上陸するクルーゼンシュテルン一行(1806年)

1804年文化元年)7月2日ペテロパウロフスクに善六若宮丸漂流民5名が到着。同年8月18日津太夫儀兵衛太十郎ら4名は遣日使節レザノフに伴われナジェシダ号(船長はスウェーデン貴族・von Krusenstjerna家の子孫でエストニア出身のバルト・ドイツ人であるクルーゼンシュテルン)で帰国の途に就いた。善六は1806年(文化3年)春まで滞在した。一方、1804年(享和4年)7月18日北千島の幌筵島東浦に漂着した陸奥国船・慶祥丸の継右衛門ら6人はカムチャツカに渡り、ロパトカ岬から20日ほどの航海で大きなアイヌの村落に着きしばらく滞在。文化元年(1804年)9月中旬、ペテロパウロフスクに到着。滞在中6人は善六の世話を受けたが、文化2年(1805年)6月中旬帰国のためペテロパウロフスクを出航して15日ほどでロパトカ岬に着いた後、幌筵島に再上陸して択捉島会所へ向かった。

1811年(文化8年)2月7日カムチャツカ半島に摂津国船籍の歓喜丸の久蔵らが漂着。1812年(文化9年)拉致された高田屋嘉兵衛がペトロパブロフスクに連行され、翌1813年(文化10年)にディアナ号で嘉兵衛たちとともに出航した久蔵は8月に箱館へ送還された。


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