カトリック教会
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司教の本来の職務は、教区の責任者として教区内の教会を統治することで、キリストの代理者として、司祭助祭の協力を得て司牧の務めを果たすものとされている[19]。通常の司教(教区司教)のほかに、(大司教など職務の多い)司教を補佐するために「協働司教」や「補佐司教」が任命されることがある[20]

司教会議については後述
司祭と助祭

司祭助祭は司教の職務を補助している。司祭には、教区に属する教区司祭(かつて「在俗司祭」とも呼ばれた)と、修道会に属する修道司祭とがあり、どちらにも属さないフリーの司祭というものは存在しない。

また、教皇パウロ6世の時代まで、守門、読師、祓魔師、侍祭という下級聖職(下級品級)および副助祭という聖職位階が存在したが、1972年8月15日に発布された自発教令「ミニステリア・クエダム」によって1973年に廃止され、現代では聖体奉仕者と祭壇奉仕者の2つの「奉仕職」に改められて、かつてのような聖職位階として扱われることはなくなった[21]

カトリック教会の聖職者(司教・司祭・助祭)は、独身男性に限られ、叙階の秘跡を受けることでその地位に就く。
信徒

カトリック教会の洗礼を受けた者、または他教派から転籍して堅信を受けた者は、信徒と呼ばれる。
信者数、カトリック信徒の分布人口に占めるカトリック信徒の比率(色が濃くなるほど比率が高い)

全世界に存在する(洗礼を受けた)カトリック信徒の総数は12億人に上るとみられている。カトリック信徒は世界中に存在しているが、特に多いのはヨーロッパとアメリカ大陸である。2000年度の統計では、南北アメリカに5億2000万人、ヨーロッパに2億8000万人、アフリカに1億3000万人、アジアに1億700万人、オセアニアに800万人である[22]

ヨーロッパでカトリック信徒の多いのは「ラテン諸国」といわれる国々、フランス、イタリア、スペインポルトガルアンドラモナコサンマリノが該当する。非ラテン諸国ではオーストリアベルギークロアチアチェコハンガリーアイルランドリトアニアマルタポーランドスロバキアスロベニアルクセンブルクリヒテンシュタインである。ドイツオランダスイスおよび北アイルランドはカトリックとプロテスタントがほぼ同数である。

アメリカ大陸では特に中南米に信徒が多く、特に多いのはメキシコブラジルアルゼンチンコロンビアパラグアイである。歴史的背景については「スペインによるアメリカ大陸の植民地化」「ポルトガルによるアメリカ大陸の植民地化」を参照。

アジアについても同様な理由で、旧スペイン領のフィリピン、旧ポルトガル領の東ティモールにカトリック信徒が多い。
活動
典礼・年間行事ブラジルでのミサにおける教皇ベネディクト16世

カトリック教会の信仰生活の中心にあるのは、聖体祭儀のミサである。ミサの中で信者は聖体の秘跡を受ける(聖体拝領)。主日日曜日[注 12])と守るべき祝日にミサにあずかることは、信徒としての務めであるとされている。

ミサ以外の重要な典礼行為としては「聖務日課」が挙げられ、修道院などで必ず行われている。これは本来「時課の祈り」という意味で、一日の各時間を祈りを捧げることで聖化することが目的である。日課の中で特に重要なのは、ラウズとヴェスパ(ヴェスペレ)と呼ばれる朝の祈りと晩の祈りである。これらに加えていくつかの祈りが一日の中で行われる(かつて九時課、六時課、三時課と呼ばれた)。それ以外に読書課という祈りもあり、そこでは祈りと共に、聖書朗読と聖人伝や古典的な著作が読まれる。聖務日課の中心となるのは旧約聖書の詩編である。

現代のカトリック教会のミサの中では、主日と教会祝日には、福音書朗読と福音以外の聖書朗読が二つ(主に旧約聖書と使徒書)の合わせて三つが朗読される。それ以外の平日のミサでは、福音書朗読と福音以外の聖書箇所の二つが朗読される。
秘跡

カトリック教会は伝統的に7つの秘跡サクラメント)を認めている。秘跡とは、神の恵みを実際にもたらす感覚的しるしで、イエス・キリストによって制定され、教会に委ねられたものである。下記の数字は、『カトリック教会のカテキズム』(CCC)において説明がある箇所の項目番号を表すもので、詳細に関しては各項目の記述あるいは『カトリック教会のカテキズム』の該当箇所を参照[23]

洗礼 CCC1213-1284

堅信 CCC1285-1321

聖体 CCC1322-1419

ゆるし CCC1422-1498

病者の塗油 CCC1499-1532

叙階 CCC1536-1600

結婚[24] CCC1601-1666

信徒の役割

神は全てのキリスト者に対して聖性に向かうようにとお呼びかけになった。聖性とは何にもまして神を愛し、神ゆえに人々を愛し、人々に仕えることである――とされている。聖パウロは、エフェソの初代のキリスト者(鍛冶屋や店主、家事従業員や料理人、労働者からなる人々など)に、神は「天地創造の前から、私たちを愛され、ご自分の前で聖なる者、汚れのない者にしようと」(『エフェソの信徒への手紙』1,4)、キリストにおいて私たちをお選びになったと保証している。第2バチカン公会議で、「どのような身分と地位にあっても、全てのキリスト者がキリスト教的生活の完成と完全な愛に至るように召されている」(バチカン公会議、『教会憲章』40)と述べられた。

この聖性への普遍的な召し出しの一部として、キリスト者は誰でも、人々に仕え、人々をキリストに近づけるために呼ばれている。 いわゆる「霊的」な仕事に従事している人たちばかりでなく、あらゆる真っ当な世の中の仕事と活動に従事している人たちが、キリストの教えを自らの模範言葉で広げていくように呼ばれているのです。神はすべてのキリスト者が「教会の使命の証人、生きる道具となるよう」(『教会憲章』33)招いておられる――とされている。

「全ての信者は神の救いの計画がどんな時代にも、あらゆる国々のあらゆる人々にまで届くよう働くべき」(『教会憲章』33)であることを、全てのカトリック信者は知るべきである。「自分の毎日の活動を、神との一致の機会、御旨の到達の機会、人々への奉仕の機会、キリストにおける神との交わりに人々を導く機会と見なすよう」(『信徒の召命と使命』17)、神は信徒である男女をお呼びになっている。現代の聖人たちは信徒の信仰生活や使命に関しては次のように語っている:「あなたがキリストを尋ね、キリストに出会い、キリストを愛するように」(聖ホセマリア・エスクリバー『道』382)[25]。同様、 教皇ヨハネ・パウロ二世によると、「信徒は聖性への召し出しに気づき、何よりも拒むことのできない義務としてそれを生きなければ」ならない(『信徒の召命と使命』17)。
司教会議

地域の司教たちは定期的に会合を開いて、様々な問題について討議する。これを司教会議シノドス)という。シノドスでは典礼などの問題に関しては決議することが出来るが、特定の司教の処遇に関してなどの決議のためには、有資格司教の3分の2以上の同意と教皇庁の裁可が必要とされている。

世界司教会議について、教皇フランシスコは2023年から構成や運営方法を改革することを決めた。司教以外に教皇が一般信徒など70人を選んで半数は女性とするほか、これとは別に修道女5人が参加し、いずれも投票権を行使できる[26]

現代では従来の聖職者至上主義の修正が図られていて、「神の民の教会論」により、全ての信徒がキリストの祭司職にあずかっていて教会の宣教活動、典礼活動、司牧活動を遂行する者であるとされている。


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