カトリック教会
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カトリック教会自身による「カトリック」の定義は、教会憲章(Lumen Gentium[3])にみられる「使徒の筆頭者ペトロの後継者(ローマ教皇)と使徒の後継者たち(司教)によって治められる「唯一の、聖なる、公同(カトリック)の使徒的な教会」(ニケア・コンスタンチノープル信条)という表現に最もよく表されている。1054年大シスマによる東西教会の分裂以前の教会で、ニカイア信条ニカイア・コンスタンティノポリス信条およびカルケドン信条を信仰する教会(アリウス派などの異端の対義語という意味。正統教義ともいう)を指してカトリックと呼ぶこともある[注 1]
「カトリック」という名称キリスト教諸教派の成立の概略を表す樹形図。さらに細かい分類方法と経緯があり、この図はあくまで概略である。
語源詳細は「カトリック (概念)」を参照

カトリック」の語源ギリシア語の「カトリケー(καθολικ?:普遍的、世界的)」の形容詞「カトリコス(καθολικο?)[注 2]」に由来し、ラテン語では「カトリクス(Catholicus)」と表記される[4]。この言葉は、成文化されて現在まで伝わるものとしては「ニカイア・コンスタンティノポリス信条」および「使徒信条」に典拠があり、前者ではラテン語: unam, sanctam, catholicam et apostolicam Ecclesiam(英語: (In) one, holy, catholic and apostolic Church;唯一の、聖なる、普遍の、使徒的な教会〔を〕)[注 3]、後者ではラテン語: sanctam Ecclesiam catholicam(聖なる普遍の教会〔を〕)と記されている。

ただし「カトリック」(普遍的)を自認・自称するキリスト教の教派は他にもあり(後述)、「カトリック」の語彙は教派名にとどまらない概念を指すこともある。

カトリック教会の教えによれば、教会とは単なる人間的な組織ではなく、約2000年前にパレスチナで誕生した初代教会伝統を継続する人々の集まりというだけでもなく、本質的には「神から来るもの」であるとする[5]
「ローマ・カトリック」以外の「カトリック教会」
一般名詞としての「カトリック」「カトリック (概念)」および「公同の教会」も参照

前述のように、1054年大シスマによる東西教会の分裂以前の教会で、ニカイア信条ニカイア・コンスタンティノポリス信条およびカルケドン信条を信仰する教会を指して「カトリック」と呼ぶこともある。この場合は現在のカトリック教会と正教会(Orthodox Church)を含む。ただし、これはカトリック教会側の見方であって、正教会は東西教会分裂以前の教会を指して「正教会」と呼ぶ。

カトリック教会も東方正教会も、東西教会の分裂以前の教会の直接の正統な後継者を自認していること、そして「カトリック」(普遍性)も「オーソドックス」(正しい讃美)もいずれもが東西教会分裂以前の教会においても重要な概念であったためにいずれの見解も誤りではなく、自らの重視する概念に由来する教会名の方を過去の教会名にも当てはめるために、このような事象が必然的に生じている。

現在のカトリック教会と正教会のいずれもが自らの「カトリック」(普遍性)と「オーソドックス」(正しい讃美)を自覚しており、この2つは排他的概念ではないことには注意が必要である。

イングランド国教会の流れを汲むアングリカン・チャーチ東アジアでの名称「聖公会」は「聖なる公同の教会」(: Holy Catholic Church)という意味であり[6]、その他の国々の聖公会も、公同(catholic)かつ使徒継承(apostolic)の教会を自認している。また、聖公会内部の一傾向を指す「ハイ・チャーチ」(高教会派)は、「アングロ・カトリック」(: Anglo-Catholicism)とも呼ばれている。

さらに、ネストリウス派の流れを汲むアッシリア東方教会の正式名称は「聖なる使徒継承・公同のアッシリア東方教会」(: Holy Apostolic Catholic Assyrian Church of the East)である[7]
東方典礼カトリック教会

東方教会の伝統的な独自の典礼様式や各地の典礼言語などの諸風習を維持し、総大司教: Patriarcha)を首座として一定の自治権を認められつつ、ローマ教皇首位権を認めて教皇庁の傘下に入り、教義としてはローマ・カトリック教会と同一となった教会である東方典礼カトリック教会の諸教会がある。

その中には、正教会(いわゆるギリシャ正教)から分離・帰一したウクライナ東方カトリック教会やメルキト・ギリシャ典礼カトリック教会(英語版)など、非カルケドン派正教会の流れを汲むコプト典礼カトリック教会など、さらにレバノンを中心として信徒を有し単意論教会の流れを汲むマロン典礼カトリック教会(マロン派)や、ネストリウス派の流れを汲むカルデア典礼カトリック教会など、様々な東方教会を母体とした教会がある。

「ローマ・カトリック教会」と言った場合、これら東方典礼カトリック教会を含まない、ラテン典礼(英語版)[注 4]を用いてローマ教皇庁の直属にある狭義のカトリック教会を指して用いられる。
独立カトリック教会

他にも、「カトリック」を自称・自認しながらローマ教皇の首位権に属しない教派は、復古カトリック教会ポーランド・カトリック教会リベラル・カトリック教会中国天主教愛国会など独立カトリック教会の諸教会があり、これらと区別する意味でも「ローマ・カトリック教会」と呼ばれる。
日本語での名称

東方教会正教会および東方諸教会)と区別するため、カトリック教会とプロテスタント教会を総称して西方教会と呼ぶ場合もある。その中で、最近はあまり見かけないが、日本語表記において、宗教改革後にヨーロッパで生まれたプロテスタント教会を「新教」、それ以前から存在するカトリック教会を「旧教」と呼ぶ用法もある[8]が、カトリック教会の側が「旧教」を自称したことはなく、近年はあまり使用されない。

日本ではかつてcatholic Churchを「公教会」と訳し、組織名として「天主公教会」(てんしゅこうきょうかい)、「日本天主公教教団」と称していた。


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