カッシーニ_(探査機)
[Wikipedia|▼Menu]
2010年2月3日 探査計画の2017年5月までの延長を発表[3]

2013年4月29日 土星の北極にハリケーンのような大気の渦の姿を観測[4][5]。渦は北極を中心として目だけで約2千キロ[4][5]、地球の平均的なハリケーンの約20倍[5]

2013年7月19日 14億4000万キロ離れた土星上空から地球を撮影[6]地球が微笑んだ日)。
カッシーニに渡された最後のフォト。

2014年4月3日、米航空宇宙局 (NASA) は、カッシーニの観測によって土星の衛星エンケラドゥスに液体の水の大規模な地下海の証拠が発見されたと報告した[7]。地下の海の証拠はエンケラドゥスは「微生物が生息する太陽系で最も可能性の高い場所」の一つであることを示唆している[8][9]

2014年6月30日、土星軌道投入から10周年を達成。2016年から始まる最後のミッションとして「グランドフィナーレ」と呼ぶミッションフェーズに移行することが発表された。このミッションでは土星の北極上空を通過してFリングのすぐ外を通過する軌道を繰り返し周回しながら観測を行う計画[10]

2017年4月26日、土星と環の間を、人類の探査機として初めて通過[11][12]

2017年9月15日、日本時間19時32分、カッシーニ本体が土星の大気圏に突入し、運用を終了[13]。なおこの方法は、本体に付着している可能性のある微生物を衛星等に持ち込まないための処置であった。

成果カッシーニが写したエンケラドゥス

カッシーニが土星軌道に投入されてからの10年間の成果は、以下の通り。また、この間に200万回コマンドを実行し、科学データを514GB収集、土星の衛星を7つ発見、土星の衛星に132回フライバイし、26ヶ国からの科学者が計画に参加、科学論文を3039件発行、土星を206周回実施、写真を33万2,000枚撮影、エンジン噴射を291回実施した[14]

ホイヘンスプローブをタイタンに着陸させた。

エンケラドゥスが氷のプルームを活発に吹き上げていることを発見

土星の環が活発で動的であることを明らかにし、惑星形成の研究に寄与

タイタンが地球のように雨や川、湖、海を持つ世界であることを発見

2010-2011年にかけて土星の北側で起きた大規模な嵐を調査

土星からの電波パターンは従来考えられていた土星内部の回転とは関係性がないことを確認

環の垂直構造を明らかにする画像を初めて取得

タイタンの前生物的な化学研究

イアペトゥス表面で見られる2重の明暗域の謎を解明

北極の六角形の様子を初めて完全に観察し、土星両極の巨大なハリケーンを発見

カッシーニの探査の成果(判明したこと)として、衛星や環の発見以外に、次のようなことが挙げられる。
木星

木星には独立した嵐が存在し、小さな斑点となって現れることが分かった。
一般相対論の検証

木星付近で、一般相対性理論を検証する実験の再現に成功した。すなわち、太陽の近くをかすめるように電波を発射し、太陽の近くを通らない場合より到達に時間がかかることを証明した。これは、重い天体の近くで時空が歪むというアインシュタインの理論と整合する。
タイタン

タイタンには、液体が流れたことによる流路があることが分かった。大気からの降雨があることが確認された、太陽系では地球以外の唯一の天体となっている。タイタンの濃密な大気は、メタンが分解され、それが再結合した炭化水素のような大きな有機分子ができることで作られたことが分かった。タイタンのメタンが、生物由来でないことが強く推測された。
諸元

カッシーニの総費用は約34億米ドルと、近年の惑星探査においては最大規模の探査機となった。カッシーニ以降、NASAはディスカバリー計画のように低予算・軽量の探査機を打ち上げるようになっている。

高さ: 6.8 m

幅:約4 m

重さ:5.8 t

動力:原子力電池3基(放射性同位体熱電対)


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:48 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef