カタルーニャ料理
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魚料理

白身魚とエビや貝などをトマトベースで煮込んだブイヤベース、魚介類のスープ、白身魚のソテー、フライ、アンチョビなどのオイル漬けなど、地中海に面したカタルーニャでは豊富な魚介類料理がある[3]。タラと野菜のサラダであるアスカシャーダ、サラダにアンチョビやタラを添えてソースをかけたシャトーなどがカタルーニャ地中海沿岸料理の典型である[3]。スケット・ダ・ペシュ(Suquet de Peix)は、魚介類、ジャガイモ、ニンニク、トマトを使用した煮込み料理であり、使用する魚介類は水揚げに応じてその都度変化する[13]
野菜料理焼き野菜のアスカリバーダ

肉や魚ではなく野菜をメインに据えた料理が多いのもカタルーニャ料理の特徴である[3]。野菜ではジャガイモやカブが頻繁に使用され、その他にはキャベツ、フダンソウ、ホウレンソウ、カリフラワー、ニンジン、アーティチョークパースニップ、トマト、ナス、タマネギ、ニンニクなどが用いられる[1]。果物は生または乾燥させて、調味料・添え物・ソースなどとして用いられる[1]

パプリカやナスや玉ねぎなどの焼き野菜であるアスカリバーダ(スペイン語版)があり、サラダにソーセージや卵などを乗せたものは「カタルーニャ風サラダ」と呼ばれる[3]。カタルーニャ料理には松の実が多用され、松の実を加えて炒めたホウレンソウは「ホウレンソウのカタルーニャ風」と呼ばれる[3]。冬季の郷土料理としてカルソッツ(スペイン語版)(焼きネギ)があり、家族や友人が集まった際にネギを焼いてパーティをすることも多い[3]。焼いたネギをルメスコと呼ばれる野菜のソースに浸して食べるカルソッツの風習は、伝統的に日曜日のお昼に行われる[12]。アスケイシャーダ(Esqueixada)は、ピーマン、トマト、タマネギ、ワインビネガー、干しタラを和えたサラダである[13]
肉料理・乳製品ビック周辺で食べられるフエット

伝統的な肉類には子羊があるが、豚肉はカタルーニャのあらゆる地域で使用される[1]。山岳地帯では仔馬、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ウサギ、七面鳥、ホロホロ鳥などが見られ、ジビエ(野生の鳥獣)としてイノシシ、ヤギ、ウサギ、ウズラ、ハト、ツグミなども食される[1]。牛、羊、鶏、七面鳥、ウサギ、豚などが一般的な肉類であるとされ、煮込むことの多い牛肉の食べ方にはフランス料理の影響も見られる[3]。カタルーニャの伝統的な煮込み料理として、肉、豆、ジャガイモ、キャベツなどを煮込んだアスクデーリャ(Escudellla)がある[13]

ソーセージの種類は豊富であり、焼いたソーセージに白インゲンマメを添えて、アイオリソースで食べるのがカタルーニャ風である[3]。バレアレス諸島のソーセージとしてソブラサーダ(スペイン語版)があり、ビック周辺では細めのサラミであるフエット(スペイン語版)が作られている[3]

ハムとチーズはカタルーニャ料理の定番の食材であり、チーズの主要生産地はサルダーニャ郡のラ・セウ・ドゥルジェイである[12]。伝統的なチーズは姿を消しつつあるものの、今日でもオリーブオイルに浸したヤギのチーズなどを見つけることができる[12]。チーズにはヤギの乳から生産されるサラット(serrat)、トゥピ(tupi)などがある。アヒルを飼育してフォアグラや鴨ハムが生産される[1]。ピレネー山麓ではチーズを生産するためのウシやヤギが飼育されており、ソーセージを生産するためのブタも飼育されている[2]
デザートなど

カタルーニャの焼き菓子にはクレマ・カタラーナやパナリェット(スペイン語版)があり、11月1日の諸聖人の日には伝統的にパナリェットや焼き栗が食べられる[15]。カタルーニャでは蜂蜜の品質も高い[1]

パ・アム・トゥマカットパン・ド・カンパーニュにトマトを塗ってオリーブオイルと塩を振りかけた簡素な料理であり、スペインの中でも特にカタルーニャにのみ見られる料理である[16]。焼き野菜やアンチョビなどを乗せることもあり、パ・アム・トゥマカットはカタルーニャ人のアイデンティティの拠り所[3]、カタルーニャ人の国民食ともいわれている[16]
飲料
ワインスパークリングワインであるカバ詳細は「カタルーニャのワイン」を参照

カタルーニャ州は地中海性気候の影響を強く受けており、地中海沿岸部は温暖で一定の降水量があるが、内陸部に入るにつれて気候は乾燥する[17]。カタルーニャ地方はローマ時代からヨーロッパにおける一大ワイン産地であり[18]、現代のスペインワイン革新の先駆者的な存在であるとされている[19]。カタルーニャ州のワインの特色には、多様なワインを生産していること、外国品種と固有種を組み合わせた新しいスタイルのワインを生産していることの2点が挙げられる[19]。今日、この地域のブドウ畑の70%は白ブドウ品種が占めている[20]

この地方のワインの代名詞的存在としてスパークリングワインカバがある[21]プリオラート (DOQ)リオハ (DOC)とともにスペインで2つしかない特選原産地呼称産地である[18]サン・サドゥルニ・ダノヤなどのペネデス (DO)がカバの産地であり[18]、輸出量の観点で言えばカバはリオハ (DOC)を凌いでスペイン最大のワイン産地である。カタルーニャ地方の主要なワイナリーには、カバのフレシネ社、カバのコドルニウ社、スティルワインのミゲル・トーレス社などがある[21][18]
料理法アイオリソース

グリルやスレートで焼いたり、茹でたり、煮込んだり、炒めたり、揚げたりと、カタルーニャ料理には様々な調理法が用いられるが、特徴的なのは陶器製の蒸し焼き鍋で「ロースト」する調理法である[1]。カタルーニャ料理ではスペインの他地方に比べるとソースの重要性が高いとされる[12]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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