ラテン語表記はCat(h)alaunia [ka.ta??au?.ni.a] ないしCat(h)alonia [ka.ta??o?.ni.a] で、中世ラテン語のCataloniaが英語に入って、英語表記もCatalonia [?kat.??l??n.i.?]となった。このラテン語ないし英語表記に由来するカタロニアと書かれることもある[9]。
地理
位置・形状・面積・人口カタルーニャ州の衛星画像
カタルーニャ州はイベリア半島とスペインの北東部にあり、地中海盆地の北西岸にある[10]。面積はスペイン全土の6.4%にあたる約32,000km2であり[11]、スペインの17自治州中第6位である[12]。面積は日本の関東地方とほぼ等しい[13]。緯度は北緯42度付近であり、日本での同緯度地域は北海道南部である[12]。
人口はスペイン全土の16%にあたる約750万人であり[12]、ヨーロッパの中では主権国家であるデンマークよりもやや多く[10]、日本の九州地方の約半分である[14]。人口密度ではマドリード州とバスク州に次いで17自治州中第3位である[12]。バルセロナを中心とするバルセロナ都市圏に人口が集中しており、バルセロナの自治体人口は約160万人、都市圏人口は約210万人である[12]。
南側でバレンシア州と、西側でアラゴン州と州境を接しており、北側でフランス(オクシタニー地域圏)、アンドラ公国と国境を接している[2]。地中海を挟んでバルセロナの南200kmにはバレアレス諸島(バレアレス諸島州)がある[12]。バルセロナからスペインの首都マドリードまでの距離は約600kmであり、日本では東京都から神戸市とほぼ等距離である[12]。地中海岸、ピレネー山脈、エブロ川流域をそれぞれ辺とする「三角形」の形状をしており、中世にはすでにカタルーニャ地方の形状が三角形であると言及されていた[15]。
地勢カタルーニャの地理区分
ピレネー山脈
前ピレネー
カタルーニャ中央低地
カタルーニャ海岸山脈ピレネー山脈モンセラートは黒いマリア像で有名な修道院がある山地
カタルーニャ州の地形は起伏に富んでおり、3つの地理区分に分けることができる。フランス国境ともなっている北のピレネー山脈、地中海沿岸にあるカタルーニャ海岸山脈と平地に挟まれた部分、中央部のカタルーニャ中央低地(スペイン語版)である。平地は地中海岸とエブロ川流域にわずかにあるのみである[15]。地中海に面した海岸線の長さは580kmに及ぶ[12]。
北部から中央部にはピレネー山脈の東部と前ピレネーが連なる[9]。カタルーニャ州の最高峰は、ピレネー山脈のピカ・ダスタツ(スペイン語版)(3,143m)である。フランス領カタルーニャに山頂があるカニゴー山(2,785m)は、18世紀までカタルーニャ最高峰とされていた。カタルーニャ州の大部分は標高数百メートルの高原であり、ピレネー山脈の高峰を除けば急峻な山岳は存在しない[15]。
カタルーニャ州の主要な河川には、エブロ川、リュブラガット川、テル川があり、いずれも地中海に注いでいる[2]。エブロ川はイベリア半島で最大の流域面積を持つ河川であり、カタルーニャ州最南端部で地中海に注ぐ[15]。エブロ川の支流であるセグラ川はピレネー山脈から南西に向かって流れ、リェイダ県にカタルーニャ中央低地を形成している。リュブラガット川の河口部にはバルセロナを中心とするバルセロナ都市圏が形成されており、ジローナ(テル川)とリェイダ(セグラ川)もそれぞれ河川の河岸に市街地が形成されている[15]。
カタルーニャ州中央部のモンセラート一帯の地域は「中央カタルーニャユネスコ世界ジオパーク」に指定されている[16]。
気候地中海に面したリゾート地であるカダケス。
カタルーニャ州の気候は変化に富んでおり、概して地中海性気候であるものの、地域によって異なる[12]。タラゴナ県、バルセロナ県、ジローナ県の沿岸部は地中海性気候であるが、リェイダ県やバルセロナ県などの内陸部は大陸性地中海性気候(英語版)の様相を見せる。ピレネー山脈の山々は山岳気候か、高い頂上では高山気候である。
地中海沿岸の夏季は暑く降水量に乏しく、最高気温は摂氏30度前後となるが、海風は湿気を含んでいる。一方でピレネー山脈地方では夏季の降水量が多く、しばしば嵐となる。冬季のピレネー山脈は寒く、しばしば降雪がある。降雪は沿岸部など標高の低い場所でもしばしば見られる。春季と秋季には全域で降水量が多い。ピレネー山脈に近い山間部は別として、カタルーニャ州の大部分では雪が積もったり厳しい寒さとなることがなく、地中海岸には冬季でも暖房なしで過ごせる場所もある[17]。
夏季の内陸部は沿岸部より暑く乾燥する。気温は最高で摂氏35度を超え、稀に摂氏40度に達することもある。海岸では夜になると摂氏14度から摂氏16度と涼しくなる。谷や平野では一般的に霧は見られないが、セグラ川流域などでは雨氷が冬季の風物詩となっている。ただし、イベリア半島の他地域と比べると夏季の気温は穏やかであり、概してイベリア半島の他地域よりも降水量が多い[17]。
ヨーロッパの地中海沿岸地域の中では相対的に降水量が多く、バルセロナの平均降水量は800mmに達する[17]。降水量600mmの等雨線はほぼリュブラガット川に沿っており、リュブラガット川よりも北東側は「湿ったカタルーニャ」、南西側は「乾いたカタルーニャ」と呼ばれる[18]。