「カスピ」の名は古代に南西岸にいたカス族あるいはカスピ族に由来する。カスピ海に近い現在のイラン・ガズヴィーン州都ガズヴィーンは同じ語源であると言われる。
現代のペルシア語では一般に「ハザール海(????? ???)」と呼ばれるが、これは7世紀から10世紀にカスピ海からコーカサスや黒海にかけて栄えたハザール王国に由来する。
現代ペルシア語では、カスピ海南岸のイランの地名から「マーザンダラーン海」????? ????????とも呼ばれる。また、トルコ語でも同様の名で「Hazar Denizi」と呼ばれる[5][6]。
中国語では、現在に至るまで「裏海」(りかい)と呼ばれる。 この湖に面している国は5カ国、ロシア連邦(ダゲスタン共和国、カルムィク共和国、アストラハン州)、アゼルバイジャン共和国、イラン(マーザンダラーン州など)、トルクメニスタン、カザフスタンである。国際法的な湖の境界については、5カ国が2018年8月12日に署名した協定で、完全に確定した[7]。 主な流入河川にはロシア平原を縦断し北西岸から流れ込むヴォルガ川、その名の通りウラル山脈に端を発し北岸へと流れ込むウラル川、西岸のアゼルバイジャンより流れ込むクラ川、西岸のダゲスタン共和国から流れ込むテレク川などがある。流入河川は総計130本にも上るが、流れ出す河川は存在しない。これらの流入河川から流れ込む水量は年間300km3に及び、そのうち240km3はヴォルガ川から流入する水である。この流入分のほとんどはカスピ海上での大気中への蒸発によって失われる。カスピ海への降雨の5倍の水量が、蒸発によって空気中へと放出される[8]。しかし、流出河川が存在しないこともあって、流入河川水域の降雨量の変動や集水域における灌漑面積の増大などによる流入水量の変動によって湖面は上下しやすく、過去何度も水面は上下を繰り返している(後述)。 アゾフ海とはヴォルガ川を介し、クマ=マヌィチ運河やヴォルガ・ドン運河によってつながっている。また、ヴォルガ川と流域の運河群によって、白海やバルト海とも水運はつながっている。 面積は日本の国土面積(377,835km2)よりわずかに狭い374,000 km2ある。水の量は78,200km3に上り[9]、世界の全ての湖水の40%から44%を占める[10]。湖全体の平均塩分濃度は1.2%と海水のほぼ.mw-parser-output .sfrac{white-space:nowrap}.mw-parser-output .sfrac.tion,.mw-parser-output .sfrac .tion{display:inline-block;vertical-align:-0.5em;font-size:85%;text-align:center}.mw-parser-output .sfrac .num,.mw-parser-output .sfrac .den{display:block;line-height:1em;margin:0 0.1em}.mw-parser-output .sfrac .den{border-top:1px solid}.mw-parser-output .sr-only{border:0;clip:rect(0,0,0,0);height:1px;margin:-1px;overflow:hidden;padding:0;position:absolute;width:1px}1/3である。 カスピ海は北部、中部、南部に分かれ、性質が大きく異なる。北カスピ海は北西部に位置するヴォルガ川から流れ込む膨大な土砂により、広大な湿地帯であるヴォルガ川三角州(デルタ)や大陸棚が発達しており[11]、非常に浅い。平均水深は5mから6mであり、最深部ですら10mは超えない[12]。
概要