カエデの名称の由来は、葉がカエルの手に似ていることから「カエルデ」と呼ばれ、それが転訛したものとされている。
大伴田村大嬢の和歌に「わが宿に もみつかへる手見るごとに 妹をかけつつ 恋ひぬ日はなし」(『万葉集』1623番)がある[2]。
日本ではカエデを通例「楓」と書くが、中国ではカエデに「槭」の字をあて、「楓」はマンサク科のフウを指す。フウとカエデは葉の形が似ているが、カエデの葉は対生、フウの葉は互生につき、異なる植物である[8]。かつてはカエデ科の木には「槭」が用いられていたが、この字は常用漢字に含まれず、替わって「楓」が充てられることが多くなった。
「楓」は日本人の人名としても用いられることが多い。古くから使われており、源平合戦で活躍した佐藤継信の妻の名が楓であったと伝わっている[9]。主に女性名であるが、男性にも名付けられることがある。
その他
ニワトリの足先を食用にするとき、3つに分かれている形状からモミジという。
ダイコンに穴を開けて唐辛子を詰め、一緒にすりおろしたものをもみじおろしという。
和文通話表で、「も」を送る際に「モミジのモ」という。
花札では10月の絵柄として、「紅葉に鹿」、「紅葉に青短」、カス2枚が描かれる。
日本の家紋の紅葉紋および楓紋に関しては紅葉#文様を参照。
西洋「カエデの葉」も参照
カナダの国旗は、サトウカエデの葉をデザインしたものである。カナダにはある夫婦がメープルシロップを発見した伝説が伝わっている。夫が狩りで仕留めた大鹿を料理しようとした妻が、水汲み場が遠いため、サトウカエデの木に穴をあけ、その樹液で肉を煮たところ、肉は焦げ、食べられなくなっていた。帰宅した夫が鍋に指をいれたところ、それは甘くておいしかった。こうしてメープルシロップが発見されたという[10]。 日本では鮮やかな紅葉が観賞の対象とされ、庭木、盆栽に利用するために種の選抜および、品種改良が行われた。諸外国では木材や砂糖の採取、薬用に利用されるのみであったが、明治時代以後に西洋に日本のカエデが紹介されると、ガーデニング素材として人気を博し、西洋の美意識による品種も作られ、日本に「西洋カエデ」として逆輸入されている。 サトウカエデといわれる種は樹液が甘いので、これを採集し煮詰めてメープルシロップを作ることで知られている。 まれなケースとしては、愛知県の香嵐渓で、落葉したカエデの葉を1年間塩漬けにして灰汁抜きをしたものを天ぷらにして食すことがある。香嵐渓の場合は砂糖を入れた衣にくぐらせて揚げる。その他、大阪府箕面市でもカエデの葉に甘い衣をつけて揚げたものが土産品として売られている。ただし、ここで使われているカエデは食用に栽培された特殊なもので自然のものではない。さらに香嵐渓と同じような下処理をしている。 メグスリノキは、苦味成分のロドデノール(視神経を活発化させる作用がある)が多く含まれている。また、古来より漢方薬として利用されており、葉や樹皮を煎じて飲用したり洗眼薬にしていたのでこの名前がついている。なお、山地に自生している。 カエデは木材として用いられ、国産のものは楓材、西洋から輸入されたものはメイプル材と呼ばれて流通することが多い。また、ヨーロッパ産のメイプル材はシカモアメイプル、北アメリカ産のメイプル材は、品種によってハードメイプルとソフトメイプルに区別される。ハードメイプルはソフトメイプルよりも25%硬いとされる。
用途カエデの盆栽カエデの一枚板テーブル
園芸
食用
薬用
木材スパルト材の部分
ハードメイプル
サトウカエデのこと。北米、カナダ産出。重硬で肌目は緻密で衝撃にも強い。心材は硬く、辺材が用いられることが多い。鳥眼杢(バーズアイ)が現れることがある。建築材、家具、ボウリングのレーンやピン・楽器・野球のバット(バリー・ボンズが使いはじめたことにより広まった)に使用される。
ソフトメイプル
レッドメイプル