Semmel(ゼンメル、ラテン語: simila(小麦粉の意)に由来)は、オーストリアとドイツのバイエルン州であらゆる種類のロールパンに共通に使われる名であり、ドイツ北部やドイツ西部では代わりにブレートヒェン(Brotchen)が用いられる。
起源1760年頃のマリア・テレジアの宮廷宴会でのカイザーロール。マルティン・ファン・マイテンスの絵画からの切り抜き。
カイザーロールの起源は、判明していないが、1750年頃には、現在のような形状のパンが存在していた。「カイザーゼンメル」の名称の起源には諸説有り、パン屋の同業組合が1789年に皇帝ヨーゼフ2世 (1741?1790)に代表を派遣し、18世紀当時ハプスブルク君主国の法律により定められていた販売価格の管理統制を撤廃するよう説得した後のことであるとする説、19世紀のフランツ・ヨーゼフ1世による食品・飲料に対する「カイザー」の付与によるものであるとする説、イタリア語a la casaに由来するとする説などがある[1]。
19世紀には、貧しい人々はカイザーロールの代わりにムントゼンメル(Mundsemmeln[注 1])やSchusterlaberln[注 2]を消費していた[8]。
カイザーロールは伝統的にはオーストリアで見られるが、元々オーストリアハプスブルク帝国であった他の国々、例えばポーランド (ガリツィアではkaizerkaとして知られる)、クロアチア、セルビア、スロベニア (kaizerica)、イタリア、ハンガリー (csaszarzsemle)、チェコ (kaiserka)などでも、ドイツ、アメリカ合衆国、カナダと同様に人気を博した。イタリアのパン屋は、ロンバルド=ヴェネト王国でのオーストリア人による統治の間に、ロゼッタやミケッタとして知られる中身が空洞になっている派生系を生み出した。
派生料理ハンドゼンメルビーフオンベックサンドイッチ
手製のカイザーロールは、オーストリア食品規格によるとヴィーナー・カイザーゼンメル(Wiener Kaisersemmel、ウィンナー・カイザーロール。手で作られることからハンドゼンメル(Handsemmel)とも)として知られる[1][9]。
大きさ、使われる小麦粉の種類、トッピングが異なった、一般的なロールパンの多種多様な派生系が存在している。伝統的には何ものせないが、今日のカイザースタイルのロールパンはケシの実、ゴマ、ペピータ (カボチャの種)、アマの種、ヒマワリの種をのせるものも見られる。カイザーロールは典型的なオーストリアの朝食の主要な一部分であり、ふつうはバターとジャムと共にだされる。しばしばアメリカではハンバーガーのような大衆的なサンドイッチのための、またドイツでは (オーストリアでも) レバーケーゼのスライスをはさむためのバンズとして使われる。また、スライスしたエクストラヴルストとピクルスが使われたサンドイッチ(Wurstsemmel)や、ヴィーナー・シュニッツェルの一種が使われたサンドイッチ(Schnitzelsemmel)もある。"Kummelweck"(時折"kimmelweck"とも"kummelweck"とも発音され、オーストリア語のKummelweckerlに由来する。)とよばれる派生料理は、上部にコーシャーソルトとキャラウェイが添えられており、アメリカではバッファロー地域の名物料理であるビーフ・オン・ウェックというサンドイッチに必要不可欠な要素である。いずれの場合でも、カイザーロールを手で割ったり直接かじるのではなく、横からナイフを入れて上下に切り分ける方法が一般的である。
日本のハンバーガーチェーンのロッテリアはカイザーロールで具を挟んだ『カイザーサンド』を販売していた。
関連項目
オーストリア料理
脚注^ 小型のハードロール。ミュンヘン伝統の十字型に切れ込みが入ったものが知られている[6]。
^ シュスターライプヒェン(Schusterlaibchen)。ライ麦粉、小麦粉にキャラウェイを加えた大型の丸いロールパン[7]。
出典^ a b c “ ⇒Kaisersemmel d” (PDF). Edmund Frohlich. オーストリア連邦農林・環境・水資源管理省. 2015年11月22日閲覧。
^ “【カイザーゼンメル】レシピ”. 日本ニーダー株式会社. 2015年11月22日閲覧。
^ “カイザーゼンメルの成形”. 明石克彦. 2015年11月22日閲覧。
^ “ ⇒オーストリアのパン|おいしいパンの百科事典”. 日本パン技術研究所. 2015年11月21日閲覧。
^ “ ⇒Kaisersemmel”. オーストリア連邦農林・環境・水資源管理省. 2015年11月22日閲覧。
^ “ ⇒Munchner Mundsemmel”. Spezialitaen Bayern. 2015年11月22日閲覧。
^ “ ⇒Schus-ter-laib-chen”. Duden. 2015年11月22日閲覧。
^ Rudolf von Gottschall、Friedrich Bienemann、August Kurtzel, ed (1888). Unsere Zeit: Deutsche Revue der Gegenwart Teil 2. ライプツィヒ: F. A. Brockhaus
^ ⇒Codex Alimentarius Austriacus, chapter B18, subchapter 2.2.2 (ドイツ語)
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⇒New York Folklore Society ? Buffalo's Other Claim to Fame