オープンコンテント
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アメリカ国立衛生研究所・RUCK(英語版)・EUなど、様々な投資組織や政府研究機関が資金調達の資格を得るためには学術成果をオープンアクセスとするオープンアクセス・マンデート(英語版)とすることを定めている[38][39][40][41]マサチューセッツ工科大学など、機関レベルの大学は自身の理念の紹介でデフォルトでオープンアクセスとすることを述べている[42]。いくつかの組織の理念では時間差で公開したり、研究者へ資金請求してオープンアクセスへ研究成果を提供している[43][44]。オープンコンテントの出版は、従来大学が一般的に加入して支払っていた研究成果の情報を得るためのコストの削減の手法とみなされていたが[45][46][47]、現在では質の良くない論文の提出を抑えることで業界全体の論文の質を高める手法であると考えられている[45]。非オープンコンテントの論文を大学が入手するためには費用がかかるかもしれないが、そのような出版社が費用をかけることなく、論文は信頼しうる学者によって執筆・査読がなされている。この点において、Nature Publishing Group(英語版)とカリフォルニア大学のように[48][49]、出版社と大学の間でサブスクリプション・コストについて論争が起きることがある。
教育詳細は「オープン教育リソース」を参照OER

高等教育のための代替ルートを提供する教育リソースを作成するためにオープンコンテントが利用されている。従来の大学は高価で学費・授業料は高騰しており[50]、オープンコンテントの教育リソースは教育・学習コンテンツの共有と再利用に観点を置いた自由な高等教育を提供する一つの手法である[51]オープンコースウェア・セーラーアカデミー(英語版)・カーンアカデミーなど、多くのオープンコンテントを通した教育を促進するプロジェクト・組織がある。MITYeleTuftsなどの大学は、オープンコンテントの学術分野利用の手法として教科書・参考資料・レッスンビデオ・チュートリアルなどを自由に利用できるよう公開している。そのような手法は機関全体の方針として採用したり[52]、研究者個人や部署・部門の非公式なコンテンツとして提供したりする[53]
立法

どんな国・政府でも自身の法律と法システムを持っており、立法府が制定した成文法や判例に基づく不文法が法律文書として存在している。法の支配を受けた国家では、法律文書はオープンコンテントとして公開されているが、一般には明確なライセンスが課せられているわけではなく厳密には暗黙のライセンス(英語版)で公開されている。いくつかの僅かな国家はでは、イギリス政府におけるCC-BY 4.0ライセンスの互換性があるOpen Government Licence(英語版)など、法律文書は明確なオープンコンテントのライセンスが課せられている。他の多くの国家では、法律文書は政府を著作者として同国家の著作権法の下に適切に扱われる。ベルヌ条約による自動的な著作物の保護は法律文書には適用されず、第2.4条で公文書は著作物の保護から除外することが明文化されている。法律文章はライセンスを「継承」することも出来る。各国の法律文書類は、LexML Brasil(英語版)・Legislation.gov.uk(英語版)・EUR-Lexなど、各国のリポジトリを通じて利用可能である。一般に法律文書は一つ以上の正式版が存在するが、主に閲覧される文書は政府公報で公開されたものである。そのため、法律文書は最終的にはリポジトリまたはそれを含む政府公報が提示するライセンスを継承することが出来る。
オープンライセンス

オープンライセンス(: Open License)は、オープンコンテントの著作物をコピーライトの下に、その作品の作者の定める制約に従って利用者に利用・修正・再頒布を許可するライセンスの総称である[54]

オープンライセンスには、作品の利用制約の緩いパーミッシブ・ライセンスや、利用者の自由を広げるコピーレフト・ライセンスなどがある。オープンナレッジ・インターナショナル(英語版)はオープンの定義(英語版)においてオープンライセンスの単語を定義し[54]、オープンライセンスとして適したライセンスの一覧を管理している[55]。エリック・メーラー(英語版)たちは自由文化作品の定義に準拠していると判断したライセンスのリストを管理している[56]

オープンライセンスはオープンソースライセンスと同様、ライセンスの互換性ライセンスの氾濫ライセンス感染の課題が存在し、ライセンスの策定および選択は注意深い検討が必要である。
推奨ライセンス

オープンナレッジ・インターナショナルは数あるオープンライセンスの内で利用を推奨するライセンスを提示している[55]

推奨されるオープンライセンスライセンス名略称策定者対象備考
Creative Commons CC0CC0クリエイティブ・コモンズコンテンツ・データパブリックドメイン同等の利用許可を与える汎用法的ツール
Open Data Commons Public Domain Dedication and LicencePDDLOpen Data Commonsデータパブリックドメイン同等の利用許可を与えるデータに適用するライセンス
Creative Commons Attribution 4.0CC BY 4.0クリエイティブ・コモンズコンテンツ・データ帰属表示を制約として自由な利用を許諾する汎用ライセンス
Open Data Commons Attribution LicenseODC BYOpen Data Commonsデータ著作権表示を制約として自由な利用を許諾するデータに適用するライセンス
Creative Commons Attribution Share-Alike 4.0CC BY-SA 4.0クリエイティブ・コモンズコンテンツ・データ帰属表示同等条件継承を制約として自由な利用を許諾する汎用ライセンス
Open Database License[57]ODbLオープンナレッジ・インターナショナル(英語版)データ同等条件制約を派生利用コンテンツへ適用することを制約とするデータベース利用に際して適用するライセンス

その他ライセンス

オープンライセンスには特定分野に特化したライセンスが存在する。

ソフトウェア分野ではソフトウェアのソースコードやソフトウェアの挙動について制約として細かく言及したオープンソースライセンスがある。メディア分野ではGNU GPL同等の制約を芸術作品に適用することを目的としてCopyleft Attitudeの策定したFree Art Licenseがある。ゲーム分野ではテーブルトークRPGのシナリオについて言及したウィザーズ・オブ・ザ・コーストの策定したOpen Game License(英語版)がある。政府資料・法律文書では政府のウェブサイトで頒布されるコンテンツをCC-BY 4.0と互換性のあるオープンコンテントの利用を許諾するライセンス・利用規約として、イギリス政府のOpen Government Licence(英語版)や日本政府政府標準利用規約がある。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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