オープンコンテント
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ライセンスは、著作権法の下に作者が他者に対して作者の定めた制約に従う範囲でのコンテンツの利用を許諾する[25]。コンテンツに課すライセンスにおいて、ライセンスの制約を緩めてパーミッシブ・ライセンスとすればオープンコンテントとして他者に作品の利用・修正を許可し、一方でライセンスの制約を締めてプロプライエタリ・ライセンスとすればコピーライトに従って作品の利用を制限する。パブリックドメイン相当の制約でコンテンツ利用を許諾するライセンスとしてはCC0WTFPLがある。コピーレフト・ライセンスの例としてはGFDLCC BY-SAがある。
各分野の利用

オープンコンテントの概念は専門分野においてより特化・洗練した形を取り、各分野で作品・製作物・成果の利用・修正・再頒布および共有をしている。
ユーザー生成コンテンツ詳細は「ユーザー生成コンテンツ」を参照ウィキペディア

ユーザーが生成したコンテンツを一つの形に取り纏めて、そのコンテンツをオープンライセンスで頒布するユーザー生成のオープンコンテントの在り方がある。ウィキペディアはウェブ上の利用者が生産するオープンコンテントの中で最もよく知られているデータベースの1つである。ウィキペディアの記事は、ウィキペディアの提示する利用許諾ライセンスを執筆文章に課すことを執筆者が同意しており、同ライセンスの下に記事を利用することができる。ウィキペディアのコンテンツの大部分はオープンコンテントであるが、一部の著作権のあるコンテンツはフェアユースの下で利用されている。
メディアクリエイティブ・コモンズ

テキスト・音楽・画像・動画などのメディアコンテンツでは、クリエイティブ・コモンズなどが提供するライセンススキームに従って作品の頒布を許可している。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスの全てが完全に自由な作品の利用を認めているわけではなく、ライセンス条項に依っては商用利用禁止・改変禁止などの制約を伴って頒布を許可するものも存在する。クリエイティブ・コモンズ・ライセンスは自由文化作品の定義に従ったライセンスであると承認されている。クリエイティブ・コモンズのデジタルライブラリでは写真・クリップアート・音楽・文学などのオープンコンテントを提供している。あるウェブサイトにあるオープンコンテントを別のウェブサイトで大量に再利用することも合法ではあるが、重複コンテンツ(英語版)問題を引き起こすため適切ではない。
ソフトウェア詳細は「オープンソースソフトウェア」を参照OSIFSF

ソフトウェアでは、パーミッシブ・ライセンスコピーレフト・ライセンス課したソフトウェアのソースコードを公開することで利用・修正・再頒布が可能となっている。オープンソース・イニシアティブフリーソフトウェア財団が標準化団体として存在し[26]オープンソースの定義フリーソフトウェアの定義によりオープンコンテントのソフトウェアの在り方を示している[27][28]。単純化した作品のコラボレーションと同様にモジュール化したソフトウェアのマッシュアップは複数の作者のコンテンツを一つのソフトウェアとして構築することを認めている。オープンソースの開発モデルは、科学研究などの古典的な学術分野に代表されるピア認識および共同利益のインセンティブを有すると分類されており、このインセンティブモデルから生じる社会構造はコンテンツの生産コストを低下させる。P2Pの開発モデルでソフトウェアの重要な観点が与えられることにより、開発者から知識蓄積の負担を取り除き、ソフトウェアの開発コストを削減する[29]。開発者から利用者へソフトウェアを提供すると同時に利用者から開発者へソフトウェアリソース(アイデア・レポート・バグ)が提供されるなら、開発モデルは利用者の人数に依存せず実現可能なスケーラビリティを持つことも出来る。オープンコンテントのソフトウェアとソースコードのインターネットを介した頒布はホスティングサービスにより自由に利用できる環境が整っている。
エンジニアリングオープンソースハードウェア

オープンコンテントの概念はエンジニアリングにおける設計やノウハウの分野で製品開発に関わるコスト削減や知識共有のために使われている。オープンデザイン(英語版)の概念は移動体通信・小規模製造[30] ・自動車産業[31][32]・農業[33]などのプロジェクトで使われている。製造分野でのオープンデザイン手法は新規もしくは既存改変の機器のコンポーネントを設計・製造するCADCAMに利用されている。Open Source Hardware Association(英語版)はオープンソースのハードウェアの概念としてオープンソースハードウェアを提唱し、ハードウェアの知識・規格・製造の自由な利用・修正・頒布を促進している。これらの開発基盤となる迅速な製造技術により、エンドユーザーは、オープンコンテントのソフトウェアやハードウェアを使用して、設計図から独自機器を製造することもできる。
研究詳細は「オープンアクセス」を参照オープンアクセス

学術分野において知識・研究結果・論文・書籍などのコンテントは自由利用は一般的ではないが、オープンコンテントの概念を伴ったコンテンツの利用・頒布を認めるオープンアクセスも広がりを見せている[34]。オープンアクセスはオンラインの研究結果を著者の課したライセンスに従う範囲での自由な閲覧と利用を認めている。著者は研究結果の閲覧者を拡大するためや思想的な理由からオープンアクセス出版を利用する[35][36][37]PLOSBioMed Centralなどのオープンアクセス出版社はオープンコンテントの論文の出版・閲覧をサポートしており、このような出版形態は人文科学より科学の分野でより使われるようになってきている。アメリカ国立衛生研究所・RUCK(英語版)・EUなど、様々な投資組織や政府研究機関が資金調達の資格を得るためには学術成果をオープンアクセスとするオープンアクセス・マンデート(英語版)とすることを定めている[38][39][40][41]マサチューセッツ工科大学など、機関レベルの大学は自身の理念の紹介でデフォルトでオープンアクセスとすることを述べている[42]。いくつかの組織の理念では時間差で公開したり、研究者へ資金請求してオープンアクセスへ研究成果を提供している[43][44]。オープンコンテントの出版は、従来大学が一般的に加入して支払っていた研究成果の情報を得るためのコストの削減の手法とみなされていたが[45][46][47]、現在では質の良くない論文の提出を抑えることで業界全体の論文の質を高める手法であると考えられている[45]。非オープンコンテントの論文を大学が入手するためには費用がかかるかもしれないが、そのような出版社が費用をかけることなく、論文は信頼しうる学者によって執筆・査読がなされている。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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