オーバーテクノロジー・オブ・マクロス
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2050年代前半に入ると、従来型エンジンとは一線を画す大出力を持つ「ステージII熱核タービンエンジン」が登場する[3]。このステージIIエンジンの膨大な余剰出力により、より強力なビーム兵器の標準装備化、全形態でのエネルギー転換装甲やピンポイントバリアの展開が可能となった。
反応兵器(反応弾)

従来の核兵器を改良し、おもに宇宙空間での威力を向上させたもの。起爆原料となる放射性物質半減期のきわめて短いものが使用されている。30メートル長の対艦大型ミサイルから、宇宙戦闘機搭載の迎撃小型ミサイル、デストロイド火器用の弾頭までさまざまなタイプがある。統合戦争中、反統合勢力による火星開発船団への攻撃に対し、統合軍は報復戦で実戦投入した。また、グランドキャノン建設現場でも掘削用に使用された。ゼントラーディ軍との緒戦時、対艦攻撃において絶大な威力をみせるが、この時点では配備数が不十分なため、予測された本土決戦に備えて温存する策が採られる。

一方、修理や改良などの技術を持たない戦闘種族ゼントラーディ人にとって、反応兵器はプロトカルチャー絶滅によって失われたオーバーテクノロジーであった。地球人がこれを保有することに衝撃を受け、殲滅しようと思えば容易に潰せる地球にはあえて侵攻せず、フォールド暴走事故により孤立したマクロスの捕獲を優先し、その技術を盗み取ろうと執拗に追い回すことになる。第一次星間大戦の最終局面において、戦力的には圧倒的に劣る地球人類であったが、地球文化に対するカルチャーショックやリン・ミンメイの歌の影響が勝利への原動力であったとはいえ、事実上反応兵器の存在がゼントラーディ軍に対して決定的なアドバンテージとなる。

戦後、宇宙移民が進み移民惑星間の衝突が起こる時代になると、大量殺戮兵器である反応兵器の使用は政治問題を招くため銀河条約により凍結され、使用には新統合軍総司令部の許可が必要となった(一部、闇ルートで売買される例もある[注 4])。これを一因として、特殊作戦用の高性能な次世代VF(AVF)開発が計画されることになった。ただし、製造・配備や使用を前提とする整備は行われており、マクロス7船団バロータ戦役マクロス・フロンティア船団バジュラ戦役など、未知の強大な敵対的異星勢力との交戦において、特例として使用が認められるケースにおいては、相当数が投入される。

マクロス・クロニクル』によると、起爆に重量子を使用した現実の純粋水爆に近い核兵器とされている。ゆえに初期生産ロットの一部の反応弾を除き、基本的に残留放射性物質は発生しない[4]。また、『マクロスF』の小説版においては、核兵器ではなく弾頭に反物質を搭載した対消滅兵器であることが記されている。水素爆弾の起爆剤に「反物質」を使用した純粋水爆に設定が変更されたのか、劇中の歴史のなかで反応兵器の仕様定義が変更されたのかは不明。
ピンポイントバリア

時空連続体のひずみを利用した小径のバリアシステム。実体弾やビーム兵器を無効化する。フォールドシステム消失事故の副産物としてマクロス艦内工廠で開発されるが、システム未完成段階では3人の女性オペレーターが手動で操作する。これを応用した「ダイダロス・アタック」が考案され、のちに艦全体を保護する「全方位バリア」も開発される。

2040年代に実用化されたAVFでは、機体防御用のピンポイントバリア展開能力が基本性能要求のひとつとなった。これにより装甲を省き、機体の軽量化を図れるようになった。しかし実用化当初はエンジン出力の70パーセントものエネルギーを必要とするため、使用可能なのは出力に余裕のあるバトロイド形態に限られていた。バトロイド形態での格闘戦という事態では、ダイダロスアタックを模した「ピンポイントバリアパンチ」や「ピンポイントバリアキック」などという用法も考案され、格闘による機体の損壊率を大幅に減少させた。

2059年には、VF-25に搭載された格闘ナイフの刀身周辺に展開させられるようになっている。また、マクロス・クォーター強攻型は任意の形状に制御できるようになり、格闘戦兵装として右舷の艦首からサーベル状にバリアを展開可能となっている。より高出力の熱核タービンエンジンを搭載する「VF-27 ルシファー」や「YF-29 デュランダル」は、全形態でのバリア展開が可能となっている。また、小説『劇場版マクロスF(下) サヨナラノツバサ』に登場する「VF-19 ADVANCE」は、ファイター形態でもパイロットの任意でバリアを展開することが可能である。
アクティブステルス

従来のステルス技術は、機体に当たるレーダー探知波を反射する「受動的(パッシブ)」な状態で、正反射しないよう機体形状を工夫するなどして考案された。これに対し能動的(アクティブ)なステルス技術とは、レーダー波を分析し、逆に欺瞞情報を送り返す電子対抗手段 (ECM) の一種である。より高い隠密性を保てるだけでなく、パッシブ・ステルス機のように空力性能を犠牲にしてまで機体形状を優先する必要がなくなり、機体設計の自由が広がるというメリットもある。可変戦闘機誕生期のVF-0SV-51の時点ですでに採用されていた技術だが、30年後のAVF機YF-21に搭載された第三世代型アクティブ・ステルス[5]は従来機のVF-11では捕捉できないなど、その後も改良が続けられている。アクティブステルス技術は現代の現実世界でも研究開発が進められており、すでに実用化に向けた試験段階に入っている。
マイクローン装置

プロトカルチャーが開発したクローン装置。超高度なコンピューターを搭載しており、収容者をいったん原子レベルまで分解し、再構築することで、ゼントラーディを地球人サイズに縮小したり、地球人をゼントラーディサイズに拡大することが可能である[6]。また、その際に人体の構築パターンを変更することで、身体の強化や臓器の数の増減等を行うこともできる[6]。この装置によるクローンで、ゼントラーディ人は異性交配することなく、その個体数を維持している。ただし、一部には副作用で遺伝子異常を起こし、装置使用前後に身体のプロポーションや声、性格が著しく変化する者がいたり、身体の分解・再構築に耐えられないDNAを持つ者もいるなど、万人に使用できる技術ではない。

ゼントラーディ軍の戦艦レベルになると、必ず艦内に設置されており、操作専任のゼントラーディ人が搭乗している。装置の操作自体は知能を限定されているゼントラーディ人でも行えるほど著しく単純化されている。

あまりに超高度な性能のため、一通りのOTMを解読した統合政府、新統合政府でも再現・製造は不可能であり、星間大戦終戦後、残存ゼントラーディ艦艇内に設置されていたり、艦艇から取り外され各シティ単位で管理されていたマイクローン装置は、ゼントラーディの暴動勢力による悪用を恐れ新統合軍が押収するが、市民らの抵抗により押収できなかった装置を強奪したゼントラーディ暴動勢力が使用し、第1次マクロス・シティ防衛戦が勃発することとなる。

戦後まもなくの地球上では巨人サイズでの生活も許可されていたが、二度にわたる巨人による武装蜂起が問題となったことから、2030年以降は巨人の地球上の居住は認められなくなる[7]。各地の移民星、移民船団においても、人々はマイクローンサイズでの生活が基本となっている。しかし例外もあり、マクロス7船団の参謀エキセドル・フォルモは記憶容量の観点から巨人サイズのまま職務に就いており、フロンティア船団では巨人サイズでの生活が許可された地域もある。また、この高度なクローン技術は、星間大戦で全土が焦土と化した地球の復興のために、生き残ったわずかな数の植物、動物、精子、卵子、種子、染色体、ありとあらゆる物質、物体、生命体の複製に活用されるが[8]、のちにクローニングによる遺伝子疾患が増加。2010年から開始された大量クローン計画は2030年をもって終了した[7]
マイクロミサイル

可変戦闘機やデストロイドに搭載されているマイクロミサイルも、ASS-1の調査によって得られたOTMの産物である。
脚注[脚注の使い方]
注釈^超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』における艦内英語アナウンスでは「ワープ・アウト」という表現が用いられている。
^ 『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』では、メルトランディ軍のミリア艦が戦域からの緊急脱出の際に大気圏内でフォールドする場面がある。『マクロス7』第38話「禁断惑星のシビル」でも、マクロス7船団がきわめて危険とされる海上からの直接フォールドを成功させる。
^マクロス30 銀河を繋ぐ歌声』では、2060年にSMSウロボロス支社が開発したYF-30 クロノスが、プロトカルチャー由来の遺跡から産出されるフォールドクォーツを使用して開発されたフォールドディメンショナルレゾナンスシステムを使用することで、フォールド断層突破が可能となる理論は完成を見る。ただし本編で実働した際、ミーナ・フォルテシェリル・ノームランカ・リーにより突破可能なエネルギー理論値の99.9%まで到達するもののその先の壁を超えられず、最終的に熱気バサラのサウンドエナジーの助力を得て、100%をはるかに超えるエネルギーを発生させたことでフォールド断層を突破する。


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