オーバーテクノロジー・オブ・マクロス
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これは技術の進歩による改善と説明されている[2]

フォールドの座標設定には精密な計算が必要で、重力場に影響されるため、通常は惑星などの大質量物体の近くでは行われない。地球初の超時空航行戦艦 = Super Dimension Fortress-1(SDF-1) マクロスはゼントラーディ軍からの緊急避難手段として地球上で行ったため、予定の月裏側から大きく逸れた冥王星付近に転移し、周辺の南アタリア島海域まで巻き込むことになる(作中では描かれないが、理屈的にはフォールド後、南太平洋上に冥王星付近の宇宙空間が出現したことになる)。またこの際にフォールドシステムそのものが超時空に消失する事態となり、マクロスは1年近くを要して地球への通常推進による帰還を余儀なくされる。ただし、必ずしも惑星上でフォールドを行ったからといって失敗するとは限らない[注 2]

のちの宇宙移民時代にはゼントラーディ系技術の導入もあり、フォールドシステムそのものの精度や確度が飛躍的に向上し、宇宙艦船の標準装備となる。さらにVF用に小型化された着脱式のフォールド・ブースターも開発されるが、初期(2040年代)のものは距離は20光年分、使用は一回の性能しか保証されない(使用後宇宙空間に投棄)。『マクロスF』の時代には、複数回の使用、衛星軌道上での脱着・再使用や後述のフォールド断層対策などの改良が行われており、玩具などでは「スーパーフォールドブースター」と呼称されている。

フォールド航行を行ったあとは、俗に「フォールド酔い」と呼ばれる、乗り物酔い時差ぼけに似た程度の軽い身体的影響を体感する場合があるとされている。『マクロスF』の小説版では、フォールド航行のショックで、まれに魂が肉体から分離して、そのまま植物人間状態に陥る事故も発生することや、酩酊感が男女関係を進展させ、長距離フォールドの数か月後には結婚ならびに出産が相次ぐことが記されている。

フォールドの演出としては、前述のマクロスの初フォールド以外は機体が輝いて消失・出現する表現が行われているが、『マクロスF』や『マクロスΔ』では機体前方に同心円状の輝く超時空ゲートが出現し、そこに出入りする表現がなされている。また『マクロスプラス』ではCGでフォールド中の描写が行われ、機体形状が波打つ演出が行われている。

異星生物のプロトデビルンバジュラのなかにはフォールドする能力を持つものがいる。

マクロスF』以降の作品においては「フォールド断層(次元断層)」と呼ばれる、プロトカルチャー由来のフォールド技術では突破不可能な障害が存在すると設定された。フォールド断層はいわゆる「次元の裂け目」であり、断層の存在が知られていなかった銀河播種計画開始当初には、移民船団ごと断層に落ち込んで、船団が全滅したケースもある。そして移動距離に伴う幾何級数的なエネルギー消費の増加も大きな壁として立ちはだかっているため、決して万能の技術というわけではないとされる。ただし、フォールド断層についてはプロトカルチャー文明の元となった超時空生命体バジュラが生成する物質「フォールドクォーツ」によって断層を無視したフォールド(ゼロ・タイム・フォールド)が可能なことが判明しており、人類側でも2059年フロンティア船団にて「VF-25 メサイア」開発などを手掛ける総合機械メーカーL.A.I技研が、フォールドクォーツを用いた断層突破および航行時に生じる通常空間との時間差を防ぐフォールド機関の開発を進めており、資源と技術レベル上の問題となりつつある[注 3]
フォールド通信

フォールド航法技術を応用し電波を空間転移させる超広域通信システム。『マクロス7』の時代(2045年)には銀河系内でほぼタイムラグなしに交信可能な「ギャラクシー・ネットワーク」が構築されており、軍事用だけでなく民間放送局の中継や音楽ヒットチャートなどが放送されている。

マクロスF』には、無人機「ゴーストAIF-7S」の運用におけるバジュラのECM対策として、新開発のフォールド通信誘導システムが登場する。
フォールド爆弾

別名、ディメンション・イーター。かつては空間転移航法としてのみ活用されたフォールド・エネルギーであったが、2050年代になるとその膨大なエネルギーは兵器へも転用されることとなった。この爆弾は反応兵器を上回る新たな最終兵器であり、起爆の際に重量子核崩壊による擬似ブラックホールを発生させ、威力圏内の全物質を取り込んだあと、強制フォールドさせる特性を持つ。ガンポッドまたはミサイル弾頭型(MDE弾頭)、搭載爆弾型、設置型と様々なタイプがあり、大型の設置型(ディメンション・カッター)クラスになると惑星ですら、大半を飲み込む(フォールドさせる)ほどの威力を持つ。
熱核反応システム

従来の核反応理論に重力制御技術などを導入したもの。艦艇やデストロイドの動力(熱核反応炉)、航空機の推力(熱核タービンエンジン)、兵器(反応弾)などに幅広く活用されている。
熱核反応炉

墜落したマクロスを調査し、反応炉(核融合炉)を実用化した人類はもとより、ゼントラーディや監察軍などのプロトカルチャーに由来する種族の大出力動力機関として、幅広く採用されている。
熱核タービンエンジン

VFシリーズなどに搭載される核融合を用いた小型原子力推進エンジン (Thermo-Nuclear Reactor Turbine Engine) 。反応炉(核融合炉)の熱エネルギーでプロペラント(推進剤)を加熱・膨張させ、高温プラズマ流として噴射し推力を得る。

従来のジェットエンジンと比べた利点は
プロペラントの交換だけでエンジン換装せずとも、大気圏内ではジェットエンジン、大気圏外ではロケットエンジンとして全領域で使用可能。

従来の化学燃料に比べ反応剤(核燃料)の消費が極めて少量なため、胴内燃料スペースが大幅に削減され、変形機構導入が可能となる。

大気圏内では無尽蔵にある空気を圧縮してプロペラントに使用できるため、2の理由も加わり事実上無限の航続距離を得られる。

VF-1に搭載された初期型熱核タービンエンジンは、推力の点でジェットエンジンと大差なかった。また、大気圏外でのプロペラント(水素化合物)の容量不足も問題であったが、これらはブースターと増槽を兼ねる追加装備(FASTパック)により解決が図られた。VF-16に搭載された次世代型熱核バーストタービンエンジン(Thermo-Nuclear Reactor burst Turbine Engine)では熱交換理論が進歩し、大気圏外でのプロペラント消費率が大幅に改善され、推力も従来型の2倍近くに達した。これにより単独での大気圏突破とFASTパックなしでの宇宙巡航が可能となった。2050年代前半に入ると、従来型エンジンとは一線を画す大出力を持つ「ステージII熱核タービンエンジン」が登場する[3]。このステージIIエンジンの膨大な余剰出力により、より強力なビーム兵器の標準装備化、全形態でのエネルギー転換装甲やピンポイントバリアの展開が可能となった。
反応兵器(反応弾)

従来の核兵器を改良し、おもに宇宙空間での威力を向上させたもの。起爆原料となる放射性物質半減期のきわめて短いものが使用されている。30メートル長の対艦大型ミサイルから、宇宙戦闘機搭載の迎撃小型ミサイル、デストロイド火器用の弾頭までさまざまなタイプがある。統合戦争中、反統合勢力による火星開発船団への攻撃に対し、統合軍は報復戦で実戦投入した。また、グランドキャノン建設現場でも掘削用に使用された。ゼントラーディ軍との緒戦時、対艦攻撃において絶大な威力をみせるが、この時点では配備数が不十分なため、予測された本土決戦に備えて温存する策が採られる。

一方、修理や改良などの技術を持たない戦闘種族ゼントラーディ人にとって、反応兵器はプロトカルチャー絶滅によって失われたオーバーテクノロジーであった。地球人がこれを保有することに衝撃を受け、殲滅しようと思えば容易に潰せる地球にはあえて侵攻せず、フォールド暴走事故により孤立したマクロスの捕獲を優先し、その技術を盗み取ろうと執拗に追い回すことになる。第一次星間大戦の最終局面において、戦力的には圧倒的に劣る地球人類であったが、地球文化に対するカルチャーショックやリン・ミンメイの歌の影響が勝利への原動力であったとはいえ、事実上反応兵器の存在がゼントラーディ軍に対して決定的なアドバンテージとなる。

戦後、宇宙移民が進み移民惑星間の衝突が起こる時代になると、大量殺戮兵器である反応兵器の使用は政治問題を招くため銀河条約により凍結され、使用には新統合軍総司令部の許可が必要となった(一部、闇ルートで売買される例もある[注 4])。これを一因として、特殊作戦用の高性能な次世代VF(AVF)開発が計画されることになった。ただし、製造・配備や使用を前提とする整備は行われており、マクロス7船団バロータ戦役マクロス・フロンティア船団バジュラ戦役など、未知の強大な敵対的異星勢力との交戦において、特例として使用が認められるケースにおいては、相当数が投入される。

マクロス・クロニクル』によると、起爆に重量子を使用した現実の純粋水爆に近い核兵器とされている。ゆえに初期生産ロットの一部の反応弾を除き、基本的に残留放射性物質は発生しない[4]。また、『マクロスF』の小説版においては、核兵器ではなく弾頭に反物質を搭載した対消滅兵器であることが記されている。水素爆弾の起爆剤に「反物質」を使用した純粋水爆に設定が変更されたのか、劇中の歴史のなかで反応兵器の仕様定義が変更されたのかは不明。
ピンポイントバリア

時空連続体のひずみを利用した小径のバリアシステム。実体弾やビーム兵器を無効化する。フォールドシステム消失事故の副産物としてマクロス艦内工廠で開発されるが、システム未完成段階では3人の女性オペレーターが手動で操作する。これを応用した「ダイダロス・アタック」が考案され、のちに艦全体を保護する「全方位バリア」も開発される。

2040年代に実用化されたAVFでは、機体防御用のピンポイントバリア展開能力が基本性能要求のひとつとなった。


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