『オースティン・パワーズ』(Austin Powers: International Man of Mystery)は、1997年に製作されたアメリカ合衆国のコメディ映画。。
1960年代に冷凍保存され1990年代に復活したオースティンが宿敵Dr.イーブルと対決する。単なるギャグだけでなく、時代のギャップに直面するオースティンの悲哀も描いている。美女とスパイとパロディ満載のどたばたコメディとしては、1967年に公開された英米合作の映画『007 カジノロワイヤル』(デヴィッド・ニーヴン主演)の後続作品でもある。
本作にはUS公開バージョンとインターナショナルバージョンがあり、日本ではインターナショナルバージョンが上映された。US公開バージョンではクリスチャン・スレーターやロブ・ロウの出演場面などがカットされているほか、一部のシーンが短縮されて5分近く短くなっている。1999年発売のDVDはインターナショナルバージョンだったが、2003年発売のDVDはUS公開バージョンに変更されており、カットされたシーンは映像特典として収録されている。2016年に発売されたBlu-rayはインターナショナルバージョンを収録している。 1967年、流行に乗る有名ファッション写真家でありイギリスの諜報員でもあったオースティン・パワーズ(マイク・マイヤーズ)は、自身が所有するナイトクラブ(the Electric Psychedelic Pussycat Swingers Club)で宿敵Dr.イーブル(マイク・マイヤーズ)を追い詰める。イーブルは「Bob's Big Boy
あらすじ
30年後の1997年、イーブルは新たな世界征服計画と共に地球へ帰還する。組織の隠れ蓑として買収したシアトルのコーヒー会社が経営的に大成して表の世界では大実業家となったMr.ナンバー・ツー(ロバート・ワグナー)もイーブルのもとに戻り、数百万ドルをかけた「バルカン計画」に加担する。すでに裕福であったイーブルだが、数々の計画で世界各国をゆすり、より多くの金銭を得ようとする。しかし1960年代には恐ろしかったはずの陰謀のいくつかは、この30年間に実現してしまっており、部下からいちいち訂正を受ける。核兵器の奪取、オゾン層の破壊、世界の拿捕という古い計画は撤回したが、世界征服に必要な金額として1千億ドルを要求することを決める(この30年間で貨幣価値が変わったという部下の忠告で金額を上げた)。一方、部下のフラウ・ファービッシナ(ミンディ・スターリング)はイーブルの精液を使い、人工的にイーブルの息子スコット・イーブル(セス・グリーン)を作り上げていたが、彼はグランジやハードロック、PCゲームに夢中なボンクラで世界征服に関心をもってくれず、イーブルを失望させる。
イーブルの復活に気付いたイギリス国防省はオースティンを解凍。1960年代に彼の助手であったミセス・ケンジントン(ミミ・ロジャース)はこの30年間に退職したため、娘ヴァネッサ・ケンジントン(エリザベス・ハーレイ)が彼のエージェントとなる。1960年代に彼が持っていた自由恋愛主義の信条は、1990年代には時代遅れとなっており、ヴァネッサを誘惑しようとしても成功しない。後に2人は夫婦に成りすましてラスベガスのホテルに宿泊し、ナンバー・ツーのイタリア人秘書アロッタ・ファジャイナ(ファビアナ・ウーデニオ(英語版))と出会う。偵察と情事のため彼女の日本風ペントハウスに向かい、地球の核に核弾頭を打ち込み噴火の引き金とし世界の爆発を目論むイーブルの「バルカン計画」を知る。パワーズが復活し自分に追っていることを知ったイーブルは「フェムボット」という魅力的な女性型ロボットを製造し、オースティンを誘惑させて殺そうとする。オースティンはアロッタと浮気をしたことをヴァネッサに謝罪し、二度と浮気をしないと誓う。
2人はイーブルの本部に潜入するが、彼の子分のランダム・タスク(ジョー・サン)に捕らえられる。イーブルは要求を世界に伝えた後、たとえ金銭を受け取ったとしても「バルカン計画」を遂行すると語る。その後彼はオースティンとヴァネッサを死の罠にかけるが、2人は簡単に逃亡に成功する。ヴァネッサを外部へ脱出させたオースティンはフェムボットたちに捕まって誘惑されかけるが、辛くも我に返るとセクシーなストリップを披露し、興奮し過ぎたフェムボットたちは文字通り頭が爆発する。増援を連れて戻って来たヴァネッサとオースティンは世界滅亡装置を発見し、戦闘の末、ぎりぎりのところで解除する。メイン・ルームでイーブルを見つけ、もう少しで彼に制裁を加えるところであったが、銃口をヴァネッサに向けたアロッタが登場し、イーブルを攻撃しようとしていたオースティンを阻止する。しかし時代遅れな世界征服にうんざりしていたナンバー・ツーがイーブルを裏切り、オースティンと取引しようとしたところ、イーブルは椅子を倒してナンバー・ツーを火に投じ、ロケットで逃亡し、基地の自爆装置を作動させる。ヴァネッサは柔道チョップでアロッタの意識を失わせ、ヴァネッサとオースティンは基地の爆破から逃げる。
後にオースティンとヴァネッサは結婚するが、新婚旅行中にランダム・タスクに靴を投げられ攻撃されるも、二人はタスクを返り討ちにして追い出す。オースティンとヴァネッサがバルコニーに移動して空を見ると、星よりも輝く物体を発見する。望遠鏡で観察してみると、それはまさに復讐を誓うイーブルが冷凍されているところであった。