オーシャンズ12
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その上で、標的は今朝、パリの美術館よりローマの美術館に移送され、月曜日(リミットの2日前)から展示予定の「ファベルジェの卵」であり、もしダニーたちが勝てば、ベネディクトへの支払いはすべて自分が立て替えると約束し、ダニーは勝負を受ける。一方、イザベルもまた、盗んだラスティの携帯電話への着信情報などを踏まえて、彼らの狙いが「ファベルジェの卵」と知る。上司に緊急配備を依頼するが、過去の失敗があって指令書への署名を拒絶されてしまう(その後、署名を偽造して特別捜査網を張らせる)。

ローマに集まったダニーらは、卵の強奪計画を練る。美術館の夜間セキュリティは厳重すぎるため、昼間の展示を狙うこととし、ラスティの旧友の技術者ローマン・ネーゲルが製作した精巧な3Dホログラムとすり替える計画を立てる。一見、完璧な作戦に見えたが、ダニーとラスティは失敗を確信しており、さらにトゥルアーは自分の絵画を盗んだ実行犯であるリヴィングストン・デル、バージル・モロイ、そしてラスティが映った防犯カメラの映像をイザベルに渡していた。そして月曜日(残り2日)、美術館に集まったダニーらであったが、未だ手配書が作られておらず単独行動をしていたライナス・コールドウェル、バシャー・ター、ターク・モロイ以外は、全員が逮捕されてしまう。

逮捕を免れアジトに戻ってきたライナスら3人は明日1日の猶予しか無い中で、素人のテスをローマに呼び寄せると、妊娠中のジュリア・ロバーツに変装させ、3Dホログラムにすり替えるという奇策を立てる。期限当日、ローマにやってきたテスを説得し、ジュリアに見せかけるが、本物のブルース・ウィリスがいるなど計画が狂っていく。ソールが合流し咄嗟の機転で計画を修正して進めていくが、結局は破綻し、残ったメンバー全員も逮捕されてしまう。

その日の内に、ダニーらがいる拘置所にFBI捜査チームの一団がやってくる。リーダーの女性捜査官モリー・スターは、三大カジノ強盗の一件で、ダニーらの身柄をアメリカへ移送する手続きを取り、また、イザベルに対しては彼女の書類偽造がユーロポール長官に既に発覚していることを伝える。ダニーらを乗せ空港へ向かうFBIの車列の中、実はモリーの正体は、ライナスの母であり、彼らを助けるためにやってきたことが明らかとなる。結果、ダニーら一味はまんまと脱獄を果たす。また、自分の乗った車を追跡して空港まで来たイザベルに対し、ラスティは、彼女が書類偽造によってもはや警察にはいられないだろうと指摘し、死んだと思われている彼女の父が実は生きていることや、会わせたい人がいると言って、自分についてくるように言い、2人はプライベートジェットに乗る。

夕暮れ。コモ湖の邸宅に戻ってきたトゥルアーを、客としてやってきたダニーとテスが待ち構えていた。既に脱獄しているダニーの手腕を讃えつつも、トゥルアーは卵が搬入された土曜の内に、その類まれなる身体能力でセキュリティを突破し、偽物にすり替えていたことを明かした上で、自分の勝ちを認めるよう迫る。ところが、実はダニーはルマークと旧知の仲であり、残り6日(木曜日)の時点で、既にルマークと直接会って、彼から話を聞いていた。「ファベルジェの卵」が勝負の標的になることも予測されており、実はパリからローマに移送されている時点で、既にダニーらによって偽物にすり替えられていた(つまり、ダニーがトゥルアーと最初に会って勝負の取り決めをした時には既に卵を盗んでいた)。トゥルアーは強いショックを受けるも負けを認め、ベネディクトへの支払いを約束する。一方、シチリア島の海辺の寒村にて、ラスティはイザベルを、一人の初老の男と引き合わせる。彼こそ彼女が追っていたギャスパー・ルマーク本人であり、さらに亡き母から既に死んだと聞かされていた実父であった。父娘は互いに抱擁を交わす。

ベネディクトのオフィスにて、ルーベンは2億ドルの小切手をベネディクトに渡し、完全に約束は果たされたことを確認する。2人の背後には用務員に変装して既に潜入しているトゥルアーがいる中で、ルーベンは、ダニーらの報復を疑うベネディクトに対し、君のカジノが再び襲われてもそれはダニーではないと断言する。
登場人物とキャスト「オーシャンズ11#登場人物とキャスト」も参照
オーシャンとその仲間
ダニー・オーシャン(
ジョージ・クルーニー
主人公。前作でテスと縒りを戻して再婚し、コネチカット州イーストヘイブン(英語版)で幸せな生活を送っていた。足を洗う決意をしているが、昔のクセでつい泥棒的な思考に陥ってしまう。ベネディクトの直接の訪問を受け、再び仲間たちを招集する。
ラスティ・ライアン(ブラッド・ピット
ダニーの右腕で、計画の直接的な実行役。カジノ強盗の分前を元手にロサンゼルスウェスト・ハリウッドでホテル経営を始めるが、上手くいっていない。分け前は全額使ってしまった上に多額の負債も抱えている中でベネディクトの訪問を受け、目の前で愛車を爆破される。前作直後はフランクと共にヨーロッパで泥棒稼業をしており、その際に出会ったイザベルと恋人関係で彼女の捜査情報を利用していた。自身の犯行を彼女が捜査し、ミスで足が付いたことを事前に察知したため彼女の元を去るが、今でも未練がある。
ライナス・コールドウェル(マット・デイモン
「黄金の指を持つスリ」の異名を持つ青年スリ。前作の強盗で自信がつき、分け前を元手に地元シカゴで、オーシャンズのような自前の窃盗団を作ろうと後輩の育成にあたるが上手くいっていない。オーシャンズを「組織」として捉えていたり、チームの指揮を執るノウハウを得たいと思っているため、仲間からは浮いてしまっている。凄腕の詐欺師である両親と暮らしており、日々、からかわれているらしい。終盤ではダニー、ラスティら仲間たちの多くが逮捕されてしまったために残ったバシャーとタークを相手にリーダーのように振る舞い、顰蹙を買うが、テスをジュリア・ロバーツに変装させる奇策を立案する。
バシャー・ター(ドン・チードル
爆発物・兵器の専門家。ラッパーに転職し、ロンドンで活動していた。分け前は音楽活動の資金で使い込んでいた。今回は、基本的にはリヴィングストンと共に電子技術方面で活躍する。逮捕を免れたことで、終盤ではライナスらと共にテスを使った計画に加わる。
バージル・モロイ(ケイシー・アフレック
双子のモロイ兄弟の兄。前作と変わらず弟との仲は悪いが何故かいつも一緒にいて、仕事は基本的に弟と一緒。ユタ州プロボで結婚式を挙げ、ハネムーンでフロリダディズニーワールドに行く計画を立てていたが、婚約者の家族との顔合わせでベネディクトの訪問を受ける。分け前はこの結婚費用に使ってしまっている。トゥルアーの絵画を盗み出す実行犯だったために足がつき、卵を盗み出す計画実行直前に逮捕されてしまう。
ターク・モロイ(スコット・カーン
双子のモロイ兄弟の弟。前作と変わらず兄との仲は悪いが何故かいつも一緒にいて、仕事は基本的に兄と一緒。兄の結婚の家族の顔合わせでベネディクトの訪問を受ける。用途は明かさないものの、分け前は半分近く使ってしまったという。逮捕を免れたことで、終盤ではライナスらと共にテスを使った計画に加わる。
イエン(シャオボー・チン
小柄な軽業師の中国人。強盗の分け前を元にフロリダ州マイアミに豪邸に美人モデルと住んでいるが、手をつけた事業は失敗し、彼女にも愛想を尽かされ上手くいっていない。アムステルダムでの強盗によって、イザベラにより、似顔絵の手配書が出回っており行動を制約される。また、そのアムステルダムからの脱出の際に旅行カバンに隠れたことが仇となり、一人だけブリュッセルに行ってしまう。
フランク・キャットン(バーニー・マック
イカサマディーラー。極端な手フェチ・爪フェチ・ネイルサロン好きが嵩じて、ニュージャージー州イースト・オレンジ(英語版)に分け前でネイルサロンを経営していた。カジノ強盗後しばらくはラスティと行動を共にしていたため、オーシャンズの中で唯一、ラスティとイザベルの関係を知っている(またイザベルもフランクのことを知っていた)。最初のアムステルダムの強盗において足が付き、イザベルによって翌日に逮捕され、チームから離脱。
リヴィングストン・デル(エディ・ジェイミソン
電気・通信の専門家。ニューオーリンズナイトクラブでコメディアンとして活動しているがスベってばかりいる。親と同居しており、カジノ強盗の分け前には手をつけていないが、利子が払えないため計画に参加する。頼りなく見えるが泥棒の知識はライナスより上。トゥルアーの絵画を盗み出す実行犯だったために足がつき、卵を盗み出す計画実行直前に逮捕されてしまう。
ルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド
ラスベガスでホテル経営に精を出す実業家で資産家。占いに凝っている。カジノ強盗の分け前は株式投資に回して、離脱したソールの分の肩代わりを申し出るほど、大幅に増やしたという。このためベネディクトへの支払いには困っていないが、ダニーらの身を案じて行動を共にする。また、同業者としてラスティを案じている。基本的に実行犯としては関わっていなかったが、卵を盗み出す当初計画の際には車椅子の富豪のフリをして美術館を訪れようとする。しかし、付き添いのバージルが既に警察の手配を受けていたため、一緒に捕まる。
ソール・ブルーム(カール・ライナー
往年の詐欺師。ニューヨークの高級リゾート地イースト・ハンプトン(英語版)で資産家のフリをして隠遁生活を送っていた。金は全部使って死ぬと言い、計画への参加を拒否する。しかし、ダニーらが成功するか気を揉む生活を送る。終盤、ダニーらを助けるため密かにローマへと飛ぶ。ジュリア・ロバーツと旧知のブルース・ウィリスの登場でチームが危機に陥ったところに出くわし、その場で機転を効かせて彼女の主治医サイモン・レオポルドと名乗って収拾をつける。
テス・オーシャン(ジュリア・ロバーツ
ダニーの妻で専業主婦。前作の後、ダニーと再婚し幸福な生活を送っていた。ダニーの泥棒稼業を批判し、夫が今もクセが抜けないことを厳しく見ている。アメリカに残っていたが、ダニーら仲間たちのほとんどが逮捕されてしまった終盤の危機に際して、ライナスに騙されてローマに呼び出され、そのままハリウッド女優「ジュリア・ロバーツ」に変装して、卵をすり替える実行犯役を頼まれる。当初は断ろうとするも、なし崩し的に計画に参加することとなる。
ヨーロッパ
フランソワ・トゥルアー(
ヴァンサン・カッセル
怪盗「ナイト・フォックス」。別名モレッティ。表向きはいくつもの事業を成功させているフランス人の大富豪。母親はイタリアの貴族で、その爵位を引き継ぎ、コモ湖(イタリア)湖畔の大豪邸で暮らしている。金と暇を持て余して泥棒稼業を始め、活動を始めた1990年代前半から1996年までにジュネーブ銀行(英語版)、デンマーク国庫(英語版)といったヨーロッパの大銀行からの盗みに成功し、さらに1997年以降は美術品泥棒に転向してテート・ギャラリールーヴル美術館といった名だたる美術館からの盗みを成功させている。さらに2002年にはモロッコ王の豪華クルーザーを盗んだ上に、現在はモロッコ王とプライベートでも親しいという。自分を「世界一の泥棒」と自負していたが、「オーシャンこそ最高の泥棒」という評価を師匠ルマークが否定しなかったために、ダニーらを一方的にライバル視する。そして、世界一を決める泥棒勝負に彼を引きずり込むため、裏社会の掟を破ってベネディクトに彼らの情報を渡す。
イザベル・ラヒリ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
ユーロポールの女性捜査官。窃盗専門の刑事で、ギャスパー・ルマークやフランソワ・トゥルアーに詳しく、彼らの行方を追っている。


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