第二義の語源は、古英語 orc に遡及するとされ[12]、トールキンもorcは古英語由来だとするので[11]、いわば同根語である。 元となった "orc" という古英語は、英雄詩『ベーオウルフ』や、古英語語彙集に用例があることトールキンは述べている[注 6][11][16]。 『ベーオウルフ』の用例では、悪玉の怪物グレンデルについて、同じ血統に「オーク=ネ」たちという種族がいることが記述されている(原文は複数形:"Orc-neas。シッピー現代英語訳:demon-corpses 悪魔の骸たち[17]。忍足訳:悪霊[18]。トールキン現代英語訳:haunting shapes of hell[19]、その岡本千晶訳:死にそこないの悪魔の形をした生物[20])がいるという(ちなみにグレンデルと同じカインの末裔には他にも"エティン巨人族やエルフ族等がいると書かれている)[17][注 7][注 8]。 トールキンは『指輪物語』以後の著述では、orkと綴るのを正表記とみなし、常に用いるようになった。だが『指輪物語』を後発的にこの表記に準じさせることは断念している。『シルマリルの物語』発行の際には一度はork採用の決断に至ったものの、編者であるクリストファーが『指輪物語』との一貫性を理由に父の意向を拒んでいる[21]。 トールキンの文学世界にはアルダの言語と称して色々な部族の言語が創作されていることは有名だが、そのなかで共通語(Common Speech)はヒト語系(Mannish)の「西方語」であるとされる。『ホビットの冒険』は、その西方語(共通語)[23]で書いた『西境の赤表紙本』をトールキンが英語に訳出した、という虚構をとっている[24]。オークたちも異なる部族間のあいだではこの西方語で会話した[25][26][注 9]。 オーク(orc)も、西方語(共通語)の名称/綴りであろう。原作付きの解説によれば「オークとは、このいまわしき人種に対して他の種族がもちいた語形であり、たとえばローハン語でもしかりであった」とある(「オークと暗黒語」、『指輪物語』)[27]。直截的に"orc"はローハン語である、と断ずる資料もある[28]。ローハンは騎馬で知られるヒト族の王国であり、ローハン語もまた、共通語の方言である[22]。 またエルフの共通語として設定されているシンダール語ではオルフ(orch)で[9][29]、「何匹かのオークら」を指す場合は分格複数形イルフ(yrch)、「オークら全般」を指す場合はグラムホス(glamhoth、「喚く集団[30]、騒々しいやつら」)という集合名詞
古英語語源
スペル
架空言語名