オーク_(トールキン)
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最初の原作『The Hobbit』初版(1937年)では"orc"の単語は一度のみ使われており、これ以外にOrcrist オルクリストという剣名に用いられるが、他所では同義語としてgoblinが充てられていた[4][5]。しかし続編の『指輪物語』では orcが多用されている[5]

ホビットの冒険』(和訳)では、唯一の使用箇所は「何とも例えようのないオーク鬼」(瀬田貞二訳、1965年)[6]や「山のオーク(悪鬼)」(山本史郎訳。1997年[7])などと訳出されている。

剣名は「オルクリスト」と音写が使われているが(瀬田訳、山本訳とも)、これはエルフ語名[注 3]という設定になっており[8][1]、作中では(共通語で)goblin cleaver(原書)「ゴブリン退治」(瀬田訳)、「ゴブリンを裂くもの」(山本訳)を意味する名であると説明されている[注 4]
起源「オーク (架空の生物)#語源」も参照

トールキンは「オーク」という語を、古英語(アングロサクソン語) orc (「悪魔」)から借用したが、それはあくまで「発音的適宜性」による理由であるとしている[注 5][5][9]。そして自分の"オーク"の設定は、ジョージ・マクドナルド作『お姫さまとゴブリンの物語』(英語版)より多大な影響を受けていると説明している[9]

トールキンはまた、自分が用いる Orc は、イルカ目の海獣を意味するOrcとは関連性が無いとも述べている[11]シャチの学名・ラテン名は Orca である)。『オックスフォード英語辞典』(通称OED)のorcの項は、第一義としてこの「海獣」、第二義として「喰らう怪物、オーガ」としていた[12]。同辞典の寄与者であったトールキンは、無論OEDのこの項を参考にしたはず、と考察される[13]

第二義の語源は、古英語 orc に遡及するとされ[12]、トールキンもorcは古英語由来だとするので[11]、いわば同根語である。
古英語語源

元となった "orc" という古英語は、英雄詩『ベーオウルフ』や、古英語語彙集に用例があることトールキンは述べている[注 6][11][16]

『ベーオウルフ』の用例では、悪玉の怪物グレンデルについて、同じ血統に「オーク=ネ」たちという種族がいることが記述されている(原文は複数形:"Orc-neas。シッピー現代英語訳:demon-corpses 悪魔の骸たち[17]。忍足訳:悪霊[18]。トールキン現代英語訳:haunting shapes of hell[19]、その岡本千晶訳:死にそこないの悪魔の形をした生物[20])がいるという(ちなみにグレンデルと同じカインの末裔には他にも"エティン巨人族やエルフ族等がいると書かれている)[17][注 7][注 8]
スペル

トールキンは『指輪物語』以後の著述では、orkと綴るのを正表記とみなし、常に用いるようになった。だが『指輪物語』を後発的にこの表記に準じさせることは断念している。『シルマリルの物語』発行の際には一度はork採用の決断に至ったものの、編者であるクリストファーが『指輪物語』との一貫性を理由に父の意向を拒んでいる[21]
架空言語名

トールキンの文学世界にはアルダの言語と称して色々な部族の言語が創作されていることは有名だが、そのなかで共通語(Common Speech)はヒト語系(Mannish)の「西方語」であるとされる。『ホビットの冒険』は、その西方語(共通語)[23]で書いた『西境の赤表紙本』をトールキンが英語に訳出した、という虚構をとっている[24]


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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