オンボードグラフィック
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そのほか、チップセット内蔵のグラフィックスあるいはCPU内蔵のグラフィックスを搭載しながら、さらにオンボード実装の高性能単体GPUも両方搭載する製品において、システムの電源接続状況やアプリケーションに応じて内蔵グラフィックスと単体GPUとを切り替える技術として「NVIDIA Optimus Technology」や「AMD Switchable Graphics」なども存在する[9][10][11][12][13]
サーバシステム

表示能力を重視せずシステム性能を重視するサーバ機は、オンボード実装のグラフィックスチップを搭載するものが多い。サーバ市場では価格・製品実績・安定性などが重視されるため、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}AMDのRageXLやES1000、XGIのVolari Z7などが採用されている。変わった所では、UNIXワークステーションのうち3D性能を重視しない機種(サン・マイクロシステムズのULTRA5やBlade100など)でRageIICやRageXLがオンボードで採用されている。[いつ?]
Macintosh

1999年以降、Apple ComputerPowerPC搭載Macintosh向けチップセットを自社で開発していたが、グラフィックス機能を搭載したシステムコントローラがなかったため、Power Macシリーズ以外の全機種にはATINVIDIA製の単体グラフィックスチップがオンボードで搭載されていた。

インテルのCPUを採用してからは、インテル製のグラフィックス統合チップセットも搭載されるようになった。現在[いつ?]、単体グラフィックスチップをオンボードで搭載するのは、MacBook ProシリーズとiMacシリーズである。
グラフィックス統合チップセットによるオンボードグラフィックスグラフィックス統合チップセットの例(AMD 690G)NVIDIAのチップセット(NF-430-N-A3)「チップセット#統合チップセット」も参照

システムに不可欠のグラフィックス機能を他チップに統合する試みは古くから存在し、CPUに統合した Cyrix MediaGXノースブリッジに統合した SiS 520 なども存在した。しかし、これら製品はグラフィックス機能の貧弱さに加え、元々シェアの少ないメーカーのCPUやチップセットだったことや、低価格市場を目的にしていたことから利用できるCPU性能にも制限があり、広く採用されるには至らなかった。

状況を大きく変えたのがインテル1999年に発表した Intel 810 チップセットである。i810 はハブアーキテクチャと呼ばれる設計を採用した、当時としては最新のチップセットであり、Graphics and Memory Controller Hub(GMCH)と呼称されるノースブリッジに、同社製3Dグラフィックスチップ i752 をベースとした Intel Graphics Technology コア(以下IGTコア)を統合していた。ベースとなった i752自体、3Dに関しては描画機能・性能ともにグラフィックスチップとしては当時すでに貧弱な存在であったが、2Dの描画性能は十分な性能を有していたため、IGTコアは大多数のユーザーが主に行うオフィス処理や、ウェブブラウジングなどには十分な性能を有していた。

また、i810 は当時としては高速な100MHzシステムバスもサポートしていたため、同設計でハイエンドからローエンドまでのCPUを採用した製品ラインナップを作りやすく、さらにグラフィックスカードを搭載しないで済むため、省スペースデザイン(省スペースパソコン設計)なども可能であった。このため、メーカー製PCを中心に広く採用され、爆発的な成功を収めた。

しかし、i810 は外部AGPをサポートしていなかった。つまり、後から必要になっても高性能なグラフィックスボードを追加する事ができない(ただし、PCIインターフェイス搭載のビデオカードを増設することでアップグレードすることは可能であった)ため、特に自作パソコンユーザーに敬遠される傾向にあった。この事から、次代の i815 では、システムバスが133MHzに向上すると共に外部AGPがサポートされた。この i815 を搭載した、AGPスロットとオンボードグラフィックスの両方を持つマザーボードが発売されると、今度は自作PC用のマザーボードでもヒット商品が続々と登場した。

この i810・i815 の大成功以降、各チップセットメーカーも競ってグラフィックス統合チップセットを投入し、普及価格帯以下のPCではチップセット統合グラフィックス機能を用いる製品が一般的になった[14]。オンボードグラフィックスの呼称である「内蔵ビデオ」、「内蔵グラフィックス」などはこの形態に由来する。

当初こそチップセット統合グラフィックスは貧弱さを揶揄される存在だったが、需要の拡大とともに進化していった。

機能面ではDirect3D/OpenGLプログラマブルシェーダーによる3Dグラフィックスおよびビデオアクセラレーションへの対応、HDCPに対応したHDコンテンツ出力、マルチディスプレイなどを実現しており、DirectX 9.0c(シェーダーモデル3)世代ではほぼ単体GPUと遜色の無い水準に達していた。ただし、Intel GMADirectX 10(シェーダーモデル4)には対応するものの、OpenCLDirectComputeを利用したGPGPUには対応しなかった[15]

反面、性能面では i810 以降のオフィス用途を主眼とした統合グラフィックス製品に対して、主にゲームユーザーなどからの不満も多かった。2001年NVIDIAが発表したnForceチップセットは統合グラフィックス性能の高さをアピールしており、これ以降は性能を重視した統合グラフィックス製品も多く登場した。

グラフィックス機能を統合したチップセットでは、AGPまたはPCI Expressなどのバスを用いて内部的にチップセットとグラフィックス・コアを接続した。このため、AGPのように1本しか存在しないバスを用いたチップセットの場合、そのバスを用いた外部スロットを使用すると、チップセット統合のグラフィックス・コアは無効になる場合もある。またPC/AT互換システムで必要となるビデオBIOSもマザーボードのBIOSに統合された。
統合チップセットで利用される技術/拡張機能
Unified Memory Architecture

チップセット統合グラフィックスの場合、フレームバッファに用いるビデオメモリ(VRAM)はメインメモリと共有するものが一般的である。これを Unified Memory Architecture(以下UMA)または Shared Memory Architecture(同SMA)と呼称する。UMAでは専用のビデオメモリを必要としないゆえにコストが削減でき、かつ実装面積の節約にも繋がる。これらのメリットにより、チップセット統合グラフィックスを用いている製品では大半がUMAを採用している。

反面、UMAによりビデオメモリ用として確保された領域はオペレーティングシステム(OS)からは使用できなくなり、実効メモリ容量が減少する。さらに、ビデオメモリとしては低速なメインメモリを使うことからグラフィックス性能の低下に繋がるほか、メモリ帯域を侵食されてプロセッサの性能も低下するため、システム全体の性能低下に繋がる場合もある。

UMAによりビデオメモリ領域として確保される容量は、システムのBIOSでユーザーが設定するものと、デバイスドライバにより自動的に設定されるものとがある。後者は起動するアプリケーションによって確保されるVRAM容量が動的に変化する。

なお、これらの弱点を補うため、ALi Aladdin TNT2や以下に記載のLocal Frame Buffer (Side Port Memory) のように、チップセット内蔵グラフィックでありながら外部VRAMをサポートするものや、一部のIntel Iris Graphicsのように、eDRAM形式でのVRAMを搭載するものも存在する。以下に記載のあるi810DCもeDRAM形式でのVRAMを搭載した統合チップセットである。
Display Cache

UMAによる性能低下の問題は早くから認識されており、i810 には4MBの Display Cache をサポートする i810DC と呼ばれる上位モデルが存在した。この Display Cache はチップセットのグラフィックス・コアに直接接続されるZバッファ専用のキャッシュメモリであり、グラフィックス・コアとメインメモリ間のトラフィックを軽減し、グラフィックス性能の向上を図るものである。i815 でもAGP経由で接続される Graphics Performance Accelerator を用いた Display Cache をサポートした。

なお、いずれの場合でもDisplay Cache はあくまでZバッファ専用であるため、2D性能の向上にはまったく寄与しない。
Local Frame Buffer (Side Port Memory)

Local Frame Buffer(以下LFB)は上述の Display Cache 同様にチップセットのグラフィックス・コアに直接接続されるビデオメモリである。AMDではこれを Side Port Memory と呼称する。

Zバッファ専用の Display Cache と異なり、一般的なビデオメモリとして利用可能であり、3D性能のみならず、2D性能の向上にも繋がる。マザーボードベンダーがオンボードグラフィックスの性能を高めたい場合に採用した。性能設定により UMA を使用せず LFB のみでの運用も可能である。AMD(旧 ATI 含む)やSiSの一部製品でLFBがサポートされた。


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