オルタナ右翼
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白人ナショナリズム[2][3][10]、白人至上主義[7][9][12]、反ユダヤ主義[2][3][13]、右翼ポピュリズム[10]、排外主義[14]、新反動主義運動[15]

『Newsday』のコラムニストであるキャシー・ヤングによると、オルタナ右翼は合法・違法を問わず移民に対して強く反対しており、ヨーロッパの難民危機に対して強硬な態度を取るという特徴がある[30]。『The Federalist』のロバート・トラシンスキの記事によると、オルタナ右翼は異種族混交に反対し、集産主義と部族主義を支持している[31]。ニコル・ヘマーが『NPR』で述べるところでは、オルタナ右翼にとってポリティカル・コレクトネスは「自らの自由に対する最大の脅威」として考えられている[32]

ゆるく定義されたオルタナ右翼に共通する特徴としては、主流の政治に対する軽蔑的態度と、2016年の大統領選挙におけるドナルド・トランプ候補への支持が挙げられる[10][33]。しかし、トランプ自身は「活気づけたい集団ではなく、私は否定する」とオルタナ右翼に否定的である[34]

インディアナ大学の研究チームが#AltRghtMeansのハッシュタグが付いたツイート5万件を分析した結果、次のテーマがオルタナ右翼に頻出するという[35]。反フェミニズム、反多文化主義、反ポリティカル・コレクトネス、白人の罪悪感と特権、レイシズム、ミソジニー、そしてヒラリー・クリントンへの嫌悪と憎悪。また、Twitter上でのオルタナ右翼は、ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアーと似たような性格プロフィールを持ち、他の人々よりも感情的である[36]。Twitterでの感情表現において、オルタナ右翼はよりポジティブな感情表現を行い、ソーシャル・ジャスティス・ウォーリアーはよりネガティブな感情表現を行っている[36]
見解

オルタナ右翼は一部の保守主義者から歓迎を受けている一方で[30]、その他の主流派右派・左派からは人種差別的であるとして批判されている[30][37]。特に、オルタナ右翼が主流派の保守主義や共和党への敵意をむき出しにしていることが、そうした層から支持を受けない理由になっている[38][39]

『National Review』の記事にて、デイヴィッド・A・フレンチはオルタナ右翼を「ワナビー・ファシスト(ファシストもどき)」と呼び、国政談義にそうした勢力が加わることを嘆いている[40]

『The Weekly Standard』の記事にて、ベンジャミン・ウェルトンはオルタナ右翼を「様々な要素が雑多に入り交じった勢力」と表現し、「左派の道徳主義にそっぽを向き、『レイシスト』、『ホモフォビア』、『セクシスト』となじられることを勲章であるかのように考えている」と述べた[41]

The New Yorker』の記事にて、ベンジャミン・ウォレス=ウェルズはオルタナ右翼を「ゆるいまとまりをもった極右運動」と表現した。そして、アメリカの政治におけるこれまでの右派との違いは、内実というよりもスタイルの差にあるとしており、次のようにも述べている。「オルタナ右翼を理解する一つの方法は、これは運動なのではなく、アイデンティティを巡る一つの集団実験なのだと考えることだ。多くの人々がネット上で匿名性を保つことで、自分が密かに抱いている極端な思想を試すのと同じことである」[10]

アラバマ大学のジョージ・ホーレー教授によると、オルタナ右翼は主流派の保守主義運動以上に進歩主義に対する脅威を突きつける存在となる可能性があるとしている[42]

AP通信副社長のジョン・ダニゼフスキは、自称されたいわゆる「オルタナ右翼」は同社がかつて端的に「人種差別主義者」「ネオナチ」「白人至上主義者」と呼んできたものであり、「人種差別主義、白人ナショナリズム、ポピュリズムが混在した保守主義の分派」と定義を入れるか、「白人ナショナリズム」「白人至上主義」などと明確化する必要性が顕著であると述べた[43]
論評リチャード・スペンサーはオルタナ右翼の創設者と目されているジャレッド・テイラーはオルタナ右翼の代表的論客として知られている

2016年4月に『National Review』にてイアン・タットルが述べているところによると、「オルタナ右翼は過去数ヶ月以上にわたり、ネット上で人種差別主義的・反ユダヤ主義的な言説を広めてきた。しかしアルム・ボカーリとマイロ・ヤノプルスの理解では、オルタナ右翼を構成する人物は、楽しいこと好きの扇動者、西洋文明の勇敢な守護者、勇気ある知識人、そして『ユダヤ人問題の最終的解決2.0』を待望するごく少数のネオ・ナチたちだが、こうした一部の人物を誰も好んでいるわけではない」[44]。ボカーリとヤノプルスは、『アメリカ人抵抗運動(American Renaissance)』の創立者ジャレッド・テイラーと『Alternative Right』の創立者リチャード・B・スペンサーをオルタナ右翼の代表的理論家として挙げている[44][45]。『The Federalist』の記事でのキャシー・ヤングによると、オルタナ右翼的言説の中心地は『Alternative Right』から『Radix Journal』に取って代わられた。同記事での報告によると、『Radix Journal』に掲載された中絶に関する論考では、プロライフ(中絶反対派)は「劣生学的」とされているが、それは「知能の程度が著しく低く、責任感もない」女性の生殖を推奨することを意味するからだとされている[46]。ケヴィン・B・マクドナルドもオルタナ右翼の理論家の一人として知られている[28]

『Newsday』にて、ヤングはオルタナ右翼のことを「胸糞悪い偏見を撒き散らす(…)白人至上主義者が住まう(…)反ユダヤ主義の巣」と呼んでいる[30]。『All In with Chris Hayes』にて、クリス・ヘイズはオルタナ右翼のことを「本質的には現代における白人至上主義」と婉曲的に表現している[47]。『BuzzFeed』記者のロージー・グレイはオルタナ右翼を「我々の時代にぴったり合った白人至上主義」と表現した上で、彼らが「攻撃的なレトリックとむき出しの反ユダヤ主義的中傷」を用いており、「アメリカの右派というよりもむしろヨーロッパの極右運動との共通点を多くもつ」と述べた[48][49]。『Haaretz』にてイシャイ・シュワーツは、オルタナ右翼は「辛辣な反ユダヤ主義者」であり、「オルタナ右翼が提示する『オルタナティブ』とは、大部分において、ユダヤ人を受容しないというオルタナティブなのだ」とし、実際の脅威として深刻にとらえねばならないと警鐘を鳴らしている[50]

南部貧困法センターによると、『Breitbart News』はオルタナ右翼的見解が好んで発表される場となっている[51]

2016年8月25日、民主党の大統領選挙候補者ヒラリー・クリントンはスピーチにて、「共和党が過激派グループに乗っ取られる手助けをしている」として共和党の候補者ドナルド・トランプを強く批判した[52]。彼女はこの過激派グループを「オルタナ右翼」と特定し、トランプの選挙対策本部最高責任者のスティーブン・バノンが『Breitbart News Network』を「オルタナ右翼にとってのプラットフォーム」と述べたことに注意を促している[52]。オルタナ右翼支持者の一部はこの批判を受けたことをむしろ喜んだ。彼らによれば、クリントンのスピーチは「無料の広告」となり、オルタナ右翼についてGoogle検索で調べられる回数がグンと跳ね上がり、数百万もの人々がこの運動について「生まれて初めて」耳にすることになった、という[53]

2016年9月9日、オルタナ右翼コミュニティの複数の主導者が記者会見を開いた。これはほとんど知られていない運動の主旨を説明する「カミングアウト・パーティ」であると、ある記者は表現している[54]。そこでは人種差別主義的な信念が表明され、「人種は実在する、人種は重要な問題である、そして人種はアイデンティティの基礎となる」と語られた[55] 。発表者は「白人の母国」を強く求め、人種間での知能の差について説明した。


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