オリンピック
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2018年の平昌大会ではその傾向が顕著になり、スキージャンプ競技は深夜の風の強いコンディションで行われ、更に普通夕方?夜に行われるフィギュアスケートは午前から競技開始と異例の競技時間となった[46]。2020年の東京大会でも、NBAやメジャーリーグベースボールなどアメリカ国内の他プロスポーツとの兼ね合いから開催時期を7?8月に設定した結果[注 12]、後に猛暑から選手の健康を守るという観点で開催9ヵ月前にも関わらず、男女マラソンや競歩の開催地を東京から札幌市に移す一因にもなった[47][48]。しかし、一方でアメリカの地上波テレビ局は視聴者が少なくなる7?8月には人気番組を放送したがらない。後述の#アンブッシュマーケティング規制の問題は、スポンサーにのみオリンピックへの言及を許し、一般企業がオリンピックを応援することを規制しようとする試みである。
ボランティアという無給労働

大会の運営には、数万人のボランティアが動員される。IOCも大会ボランティアの必要性を認めており、開会式あるいは閉会式には、ボランティアへの謝意が示される。しかしボランティアは無給であり、さらに開催地への滞在費などは自己負担であり、長期にわたって拘束される。そのため、2016年リオデジャネイロオリンピックでは、5万人のボランティアのうち1万5000人が欠勤した。その理由は過酷な労働条件が「参加するに値しない」と判断されたためであった。

著述家の本間龍は、現在の商業五輪において、様々な労働条件を付帯した無償ボランティアを募集することは、自発性、非営利性、公共性が求められるボランティアの本来の趣旨に反していると指摘し、「善意で集まってくるボランティアを徹底的に使役しようとしている」[49]、「五輪という美名のもとにあらゆる資格の価値を無視し、すべて無償で調達しよう」[50]としているとして批判している。また、2020年東京五輪組織委員会のボランティア募集の呼びかけに応じた教育機関や医療関係団体が、学生や加盟者にボランティア参加要請することについては、「思慮がない」「無責任」と批評している。
ドーピング問題

1960年のローマ大会の自転車競技で競技後選手に死者がでたが、その選手は後に興奮剤のアンフェタミンを投与されていたことが判明した。これをきっかけにIOCはドーピング対策に本腰を上げる事になったが、ドーピング問題を世界に知らしめたのは1988年のソウル大会でベン・ジョンソンが100m走で世界新記録を出しながら、競技後のドーピング検査で禁止薬物のスタノゾロールが発見されて失格になってからである。その後1999年には世界アンチ・ドーピング機関(WADA)が設立されドーピングへの取り締まりが強化されたが、科学技術の進歩を背景にドーピング検査に引っかからない薬物等の開発とそれを取り締まる検査法の開発…といったイタチごっこの状態が続き、2016年のリオデジャネイロ大会の直前にはロシアが国家主導で過去の大会でドーピングを行ったとWADAより発表されてロシア選手団389人のうち118人が出場できないという事態となった[51]
アンブッシュマーケティング規制の問題
オリンピック委員会側が主張する問題

国際オリンピック委員会は、無関係の会社や店舗などの組織が「オリンピックを応援する」などと言うことは、実際は応援では無くオリンピックの知名度等を不正に利用する「アンブッシュマーケティング」であると称し、禁止をしている。その理由としてオリンピックの公式スポンサー(ワールドワイドパートナー、ゴールドパートナー、オフィシャルパートナー、オフィシャルサポーター。#The Olympic Partners programme)のみが排他的な商業的利用権が与えられていると述べている[52]
他組織の見解主張

日本広告審査機構(JARO)は、「いかなる文言を使用しようとも、商業広告で2020年のオリンピック東京大会を想起させる表現をすることは、アンブッシュ・マーケティング(いわゆる便乗広告)として不正競争行為に該当するおそれがあり、JOC(日本オリンピック委員会)やIOC(国際オリンピック委員会)から使用の差し止め要請や損害賠償請求を受ける可能性がある」[53]との見解を出しており、「東京オリンピック・パラリンピックを応援しています」という直接的な表現以外に「祝・夢の祭典」「2020円キャンペーン」など間接的に連想できる物もアンブッシュマーケティングである可能性であることを示唆している。

ライターで1級知的財産管理技能士の友利昴はオリンピック委員会の規制には根拠がないことが明らかにしている。過去の裁判やトラブル事例から「キャンペーンや抗議行動の態度からうかがえる、非常に旺盛な権利保護方針の割には、実際にはなんでもかんでも訴えているわけではない」[54]と指摘し、アンブッシュマーケティングをめぐり訴訟になった数少ない裁判では、IOC側が敗訴していることを挙げている(オーストラリア、カナダ)。また上記のJAROの見解はIOCやJOCへの忖度に過ぎないとして、(JAROが正しい法的検討をせずに)「逃げを打つのは、広告業界の指針となるべき団体として、適切な姿勢といえるだろうか」[55]と批判している。

日本の商標権に関する規則では登録商標は同一又は類似した商品・役務の登録商標にのみ独占権があるとしており、オリンピックそのもの(大会や委員会)を示すために使うことは合法であるとしている。飲食店の屋号や商品の表示として権利者に許可無く「オリンピックレストラン」、「オリンピック公式レストラン」、「オリンピック公式テレビ」、「オリンピックテレビ」などと表示するのは違法だが[注 13]、本物のオリンピックに対して「オリンピックを見ながら飲食しましょう」、「本テレビでオリンピックを観ましょう」と宣伝するのは問題無いとしている(商標としての独占であり、言葉の独占では無い)。

著作権法上では公式のロゴやマークを許可無く利用する事は一般的に禁止されており、オリンピックも同様である。店内でのオリンピック競技の放映をオリンピック委員会の許可無く行う事は禁止されているが、誰でも見られる放送をそのまま店内の民生用機器で再生する事は一般的な権利として認められる。このため、テレビ放映されているオリンピックの映像を店内で流すことに関しては問題が無い。この場合は放送局がオリンピック委員会に放送するという事で利用料を払っている。
設備の維持管理

開催に向けて土地を工面し巨額な建設費をかけて完成した競技会場及び関連施設が、大会終了後は維持管理先が決まらなかったり、再活用や運営が予定通りに進まず資金面などで維持管理が困難になる結果、レガシーとして残されずに撤去されたり廃墟化するケースがある[57][58][59][60]
オリンピックパートナープログラム

: The Olympic Partners(略してTOP)programmeとは、特定カテゴリーを一社で独占できるようなグローバルなスポンサーシップのことである[61]。元々、オリンピックマークの商業使用権は各国の国内オリンピック委員会(NOC)が各々で管理をしていたが、サマランチ会長がIOCの一括管理にした事から1988年の冬季カルガリー大会と夏季ソウル大会から始まったプログラムで、オリンピックの中でも全世界的に設けられた最高位のスポンサーである。基本的には4年単位の契約で1業種1社に限定されており、毎回計9?11社ほどが契約を結んでいる[62]。なお、TOPにパナソニックサムスンと同業種の企業が名を連ねているが、これはパナソニックが音響・映像機器、サムスンは無線通信機器と細分化されており、その他の製品など上記と重ならないカテゴリーのスポンサーとなっているからである。また2019年、ノンアルコール飲料で長らくスポンサー契約を続けてきたザ コカ・コーラ カンパニー蒙牛乳業と共同で2021年以降のスポンサー契約を結んだ。IOCは特例としてこれを認めている。

この他にも、各国のオリンピック委員会とオリンピック組織委員会が国内限定を対象とした「ゴールドスポンサー」(1社数十億円程度)、権利はゴールドスポンサーと同様だがTOPと競合しない事が条件の「オフィシャルサプライヤー/サポーター」(1社数億円程度)、グッズの商品化のみが可能な「オフィシャルライセンシー」がある。

2024年現在、

airbnb(SNS)[63]

アリババグループ(ECサービス、情報技術)

アリアンツ(保険)

アトス(情報技術)[8]

アンハイザー・ブッシュ・インベブ(アルコール飲料)[64]

ブリヂストン(タイヤ、免震ゴム、自転車)[65]


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