オリンピック憲章第1章の9で定義されており「オリンピック旗は白地で縁なしとする。中央には5色のオリンピック・シンボルを配置する。」と決められている[2][3]。 初めて旗が掲揚されたのは1920年のアントワープオリンピックからで、この大会からはオリンピック宣誓が行われた。開閉会式にスタジアムに掲揚・降納される旗は大会ごとに作製される。これとは別に、開催都市が引き継ぐ特別旗がある。特別旗はオリンピック開催都市の役所に保管され、そのオリンピックの閉会式で開催都市の首長からIOC会長に返還され、次回オリンピック開催都市の首長に引き継がれる。このことをフラッグハンドオーバーセレモニー(アントワープセレモニー、オリンピック旗授受)と呼ぶ。 アントワープ市から寄贈されたアントワープ旗は、1980年モスクワオリンピックまで夏季オリンピック特別旗として使用され、開催都市に引き継がれていた。旗竿には青・黄・黒・緑・赤・白の6色のリボンで結ばれている。現在はオリンピック博物館に展示されている。モスクワオリンピック時には、開催国であるソ連のアフガニスタン侵攻に抗議するため、アメリカが大会参加をボイコットした事で、次期1984年ロサンゼルスオリンピック開催都市のロサンゼルス市の市長も閉会式を欠席したためにアントワープ旗が引き継がれず、おのずと役割を終える事となった。このため、同オリンピックの閉会式でのアントワープ旗はIOCが制作したレプリカが用いられた。 アントワープ旗の後継としてソウル特別市から寄贈されたソウル旗は1988年ソウルオリンピックから2016年リオデジャネイロオリンピックまで特別旗として使用され、開催都市に引き継がれていた。旗竿の6色のリボンなど、仕様はアントワープ旗と同じであった。 現在の夏季オリンピック特別旗。ソウル旗はリオデジャネイロオリンピックで特別旗としての役割を終え、同オリンピックの閉会式でリオデジャネイロ市から新たな特別旗としてリオデジャネイロ旗が寄贈され、次期2020年東京オリンピック開催都市の東京都に渡された。リオデジャネイロ旗はソウル旗よりも若干小さく、五輪マークが旗の面積に比して大きいが、旗竿のリボンはアントワープ・ソウル両旗と同じである。なお、東京都はリオデジャネイロ旗を引き渡された後に、大会を盛り上げるため、IOCの了承を受けてリオデジャネイロ旗のレプリカを制作して、日本国内と都内全区市町村を巡回展示する「フラッグツアー」を実施した。 現在の保管場所: フランス・パリ市(パリ市庁舎) オスロ市から寄付されたオスロ旗は1952年オスロオリンピックから2018年平昌オリンピックまで冬季オリンピック特別旗として使用され、開催都市に引き継がれていた。ただし、直近の大会ではオスロ旗本体は箱に入れられて保管され、実際に閉会式のセレモニーで使用されたのはオスロ旗のレプリカであった。表裏ともに同じオリンピックマークがついており、夏季オリンピック特別旗とは違い、旗竿のリボンが無い。 現在の冬季オリンピック特別旗。オスロ旗は平昌オリンピックで特別旗としての役割を終え、同オリンピックの閉会式で平昌郡から新たな特別旗として平昌旗が寄贈され、次期2022年北京オリンピック開催都市の北京市に渡された。仕様はオスロ旗と同じである。 現在の保管場所: イタリア・ミラノ市/コルティナ・ダンペッツォ市(ミラノ市庁舎 オリンピック旗は、開会式・閉会式での入場行進やメダル授与の際に国旗の代わりとして利用されることがある。この場合、国歌の代わりとしてオリンピック賛歌が用いられる。国内オリンピック委員会が未設立、もしくは国際オリンピック委員会の制裁下にある場合がほとんどである。 対象大会該当国選手団名備考
特別旗
アントワープ旗(夏季大会)
ソウル旗(夏季大会)
リオデジャネイロ旗(夏季大会)
第33回オリンピック競技大会開催都市
オスロ旗(冬季大会)
平昌旗(冬季大会)
第25回冬季オリンピック競技大会開催都市
国旗の代わりとしての利用
1980 モスクワ西側諸国[注釈 1]・スイス各国の選手団開催国ソ連によるアフガニスタン侵攻への抗議として、国として派遣したのではないという形を示すため。
1992 アルベールビル
1992 バルセロナ旧ソビエト連邦[注釈 2]EUN新独立国のオリンピック委員会が未承認のため。
1992 バルセロナユーゴスラビア・マケドニア独立参加選手団ユーゴスラビア紛争への制裁。
2000 シドニー東ティモール個人参加選手団独立前でオリンピック委員会未設立のため。
2012 ロンドン旧オランダ領アンティル・南スーダン独立参加選手団オランダ領アンティルは自治領が解体されたため。南スーダンは独立直後でオリンピック委員会未設立のため。
2014 ソチインド独立参加選手団政府によるオリンピック委員会への干渉に対する制裁。大会期間中に資格停止が解除。
2016 リオデジャネイロクウェート独立参加選手団政府によるオリンピック委員会への干渉に対する制裁。
難民選手団アフリカ諸国とシリアからの難民による選手団。
2018 平昌ロシアロシアからのオリンピック選手ドーピング問題での制裁。
Size:50 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
担当:undef