元となるものに対して、改変し作成したほうのものを、"独自"に改造したという意味からオリジナルと呼ぶ例が見受けられるが、この用法は誤りであるばかりでなく、混乱を起こす恐れがある。例えば、ある曲の「オリジナル版」といえば、それは元の曲を指すべきであって、それを"独自"にアレンジしたものを「オリジナル版」と称すのは誤りである。
また、完全に誤った用法でなくとも混乱を起こす場合がある。例えば、数枚のCDから自分の好きな曲を選んで複製しコンピレーションアルバムを作った場合、これを「自分のオリジナルのアルバム」と呼ぶことは一般的であると考えられるが、複製元のそれぞれのCDは「複製先のコンピレーションアルバムに対するオリジナルのCD」である。
自動車の場合、中古車等で塗装を独自の色で塗り替えた車両に対して「オリジナル・カラー(塗装)」等と表記されている事がよくあるが本来「オリジナルカラー」とは、自動車製造社(メーカー)によって新車時に工場で塗られていた色のことを指すので、この用法は混乱を招く可能性が高い。
日本の旧車雑誌であるOld-timerでは、改造や修復などを受けていないオリジナルのままの車に対し、あえて「未再生原型車」という呼称を用いている。
新規の場合も当然「オリジナル」であるが、派生物が作られていない場合で独自性を強調する場合は、オリジナルでは無く、「特製」や「スペシャル」などの用語を使う方が混乱が少ない。
出典[脚注の使い方]^ 上野千鶴子『情報生産者になる』、19頁。
^ “研究倫理& 論文執筆の指針 [大学院向け]