オペラの怪人
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隠れ家に戻ったエリックは、クリスティーヌが自分を待っていた事、近づいても逃げたりせず額にキスをさせてくれた事に感極まって涙を流し、彼女の足元に崩れ落ちる。クリスティーヌは「可哀想で不幸なエリック」と言って涙を流す。エリックは、母親さえも自分にキスをさせてくれた事は無かったと後にダロガに明かす。エリックは2人を解放することを決め、ラウルの監禁を解く。エリックの家で再会したラウルとクリスティーヌは喜び抱き合う。エリックは、自分が死んだらクリスティーヌが訪問して遺体を埋葬し、その際クリスティーヌに渡した金の指輪を遺体の指にはめてくれるよう約束させる。去り際、クリスティーヌはエリックの額にキスをして隠れ家を後にする。しばらくしてエリックはダロガを訪問し、拷問後の一連の出来事を彼に話し、最後が間近になったら合図に遺品を送るので、新聞に自分の死を伝える記事を載せてくれるように頼む。三週間後、レポック紙に「エリック死亡」の記事が掲載された。
登場人物

エリック: オペラ座の怪人、音楽の天使、オペラ・ゴースト。オペラ座で暗躍する人物。万能の天才だが、生まれつき骸骨のように醜い容貌を持つ。

クリスティーヌ・ダーエ: パリ国立オペラの若く美しいスウェーデン人ソプラノ歌手。怪人が恋をする。

ラウル・シャニュイ子爵: クリスティーヌの幼馴染の美青年。彼女と互いに恋するが、エリックが原因で亀裂が生じかける。

ペルシア人: エリックの過去を知る謎の男。エリックと異なり良識派。エリックと旧知の仲だが、彼の悪事をあまりよく思っていない。

フィリップ・シャニュイ伯爵: ラウルの兄。弟と異なり良識派の中年男性。クリスティーヌのことで暴走する弟を心配している。

アマンド・モンチャミン、ファーミン・リチャード: オペラ座の新しいマネージャー、怪人の要求に悩まされる日々を送る。

マダム・ジリー: リトル・メグの母、ボックス席案内員。エリックの知り合いの1人。

メグ・ジリー: マダム・ジリーの一人娘のバレリーナ。のちのカストロ・バルベザク男爵夫人。

デビエンヌ、ポリグニー: オペラ座の元マネージャー。かつてエリックの要求に苦しめられていたため、我慢の限界が来て引退しモンチャミンとリチャードにオペラ座の支配人の座を引き渡した。

ジョセフ・ブケー: 道具係チーフ、怪人の顔を見たため冒頭で彼に殺される。

カルロッタ: 我儘なプリマドンナ。パリ国立オペラのリード・ソプラノ。クリスティーヌを毛嫌いしている。

メルシエ: オペラ座の舞台装置マネージャー。

ガブリエル: 迷信的なコーラス・マスター。

ミフロイド: クリスティーヌが行方不明になった時に呼ばれた警視。クリスティーヌの失踪をシャニュイ兄弟のいざこざの巻き添えと決めてかかる。

レミー: マネージャーの秘書

警部補: 5番ボックス席の異変を捜査するために雇われた警部補。

ショー・サルタン: エリックがかつて設計した宮殿に住む王で、彼を殺そうとする。

ソレリ: リード・バレリーナ。フィリップと深い仲で、彼と行動を共にする。

リトル・ジャミス: オペラ座で語られるバレリーナ。

マダム・ヴァレリアス: クリスティーヌの保護者である人物。

映画化作品
1916年版

Das Phantom der Oper
監督エルンスト・マトライ
脚本
グレタ・シュレーダー・マトレイ
原作ガストン・ルルー
製作ジュールス・グリーンバウム
出演者ニルス・オラフ・クリサンダー
アウド・エゲーデ=ニッセン
エルンスト・マトライ
撮影マッツ・グリーンバウム
製作会社グリーンバウム・フィルム
公開 ドイツ帝国 1916年3月
上映時間76分
製作国 ドイツ帝国
言語サイレント
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原題:Das Phantom der Oper

監督:エルンスト・マトライ

出演者:ニルス・オラフ・クリサンダー(エリック)、アウド・エゲーデ=ニッセン(クリスティーヌ)、エルンスト・マトライ(ペルシア人)

サイレント モノクロ 上映時間76分 ドイツ映画 日本未公開

最初の映画化作品。1915年秋にベルリンヴァイセンゼーのグリーンバウムスタジオで撮影された。監督を務めたエルンスト・マトライは、ペルシア人役として出演もしていた。脚本を務めたグレタ・シュレーダーは、本作撮影時にエルンストと結婚し、「グレタ・シュレーダー・マトレイ」名義となっている。

1916年3月にベルリンの映画館「マルモルハウス」で、4幕構成にて初上映された。その後、フィルムの長さが1,381mの5幕構成で公開されたものの、同年7月1日・8月1日のデュッセルドルフ警察による検閲や、1921年4月22日のライヒ映画法によるベルリンでの検閲等で、青少年閲覧禁止とされた。

なお、本作のフィルムは現存されていないと見られている。
1925年版

オペラの怪人
The Phantom of the Opera
監督
ルパート・ジュリアン
脚本エリオット・J・クローソン
レイモンド・L・シュロック
原作ガストン・ルルー
製作カール・レムリ(ノンクレジット)
出演者ロン・チェイニー
メアリー・フィルビン
ノーマン・ケリー
製作会社ユニバーサル・ピクチャーズ
配給ユニバーサル・ピクチャーズ
公開 1925年9月6日(ニューヨーク・プレミア上映)
1925年9月
上映時間107分(最長版)
製作国 アメリカ合衆国
言語サイレント・英語中間字幕
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詳細は「オペラの怪人 (1925年の映画)」を参照

原題:The Phantom of the Opera[4]

邦題:オペラの怪人

監督:ルパート・ジュリアン

出演:ロン・チェイニー(エリック)、メアリー・フィルビン(クリスティーヌ)、ノーマン・ケリー(ラウル)

サイレント パートカラー/モノクロ 上映時間107分 ユニバーサル映画 アメリカ映画

登場人物を必要最低限に減らした点と結末が異なる点以外は、原作に比較的忠実な映画化。エリックが「音楽と奇術に明るい、脱獄した猟奇犯罪者」に設定が変更されている。これ以降の映画版では、いずれもエリックが火事や事故などで醜悪な人相になったなどと、その原因を様々にアレンジして描いているが、本作は原作通り生来の醜さで、性格俳優ロン・チェイニーが特殊メイクを施して『ドクロのような人相のおぞましい化物』という描写をほぼ忠実に再現しているのが特徴。またエリックがクリスティーヌに向ける愛も、やはり原作通り身勝手でストーカーまがいの狂気じみたものであり、ミュージカル版で顕著になった三角関係という解釈はまだなく、純粋な怪奇映画の体裁を持っている。

この映画のオペラ座のセットは、1943年版他多くの映画でも使用され、今もユニバーサルスタジオに残る、世界最古の現役映画セットである。

サイレント映画だが、トーキー映画が誕生した1929年には、セリフとBGMを加えたトーキー版が公開された。オリジナルは、仮面舞踏会他いくつかの場面を2原色テクニカラーで撮影したパートカラー作品。息を呑むほど美しい色彩が評判を呼んだが、アメリカでも当時はカラーフィルムが高価だった為、全編モノクロ版も公開された。日本ではモノクロ版のみ公開された。1970年から1980年頃の8ミリ映画ブームの頃、仮面舞踏会のみ復元されたパートカラー版が8mmや16mmフィルムで販売され、日本でも輸入販売された。アメリカではパートカラー版(仮面舞踏会のみ)とモノクロ版のDVDが販売されているが、日本ではモノクロ版のDVDが販売されている。
1943年版

オペラの怪人
Phantom of the Opera
監督アーサー・ルービン
脚本サミュエル・ホッフェンシュタイン
エリック・テイラー
原作ガストン・ルルー
出演者
ネルソン・エディ
スザンナ・フォスター
クロード・レインズ
音楽エドワード・ウォード
撮影ハル・モーア
W・ハワード・グリーン
編集ラッセル・F・シェーンガース
製作会社ユニバーサル・ピクチャーズ
配給ユニバーサル・ピクチャーズ
公開 1943年8月12日(ロサンゼルス・プレミア上映)
1952年1月
上映時間92分
製作国 アメリカ合衆国
言語英語
製作費約1,500,000ドル
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詳細は「オペラの怪人 (1943年の映画)」を参照

原題:Phantom of the Opera

邦題:オペラの怪人

監督:アーサー・ルービン

出演:クロード・レインズ(エリック)、スザンナ・フォスター(クリスティーヌ)、エドガー・バリア(ラウル)、ネルソン・エディ(アナトール)

カラー 上映時間92分 ユニバーサル映画 アメリカ映画

テクニカラーで制作された作品で、常軌を逸する以前のエリックの悲劇を物語の前半に組み込むことで、彼を「怪物」扱いすることなしに、一人の人間として描き出そうという試みがみられる。エリックは長年オペラ座で演奏を続ける初老のバイオリニストだが、クリスティーヌの実の父であり、かつて音楽の仕事を追求するために幼い彼女と彼女の母親を捨てた作曲家であると設定された。ただ、この部分は初めの台本から削除され、完成した映画では、暗にクリスティーヌと父娘の関係であることを匂わせるにとどめ、真相は曖昧なまま、彼女は最後まで自分とエリックが父娘であることには気付いていない。

1943年度アカデミー撮影賞アカデミー色彩美術賞を受賞。
1962年版

原題:The Phantom of the Opera

邦題:オペラ座の怪人

監督:
テレンス・フィッシャー


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