オテロ_(ヴェルディ)
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ロデリーゴ - ヴェネツィアの貴族(テノール)

ロドヴィーコ - ヴェネツィアからの使者(バス

モンターノ - キプロスの前総督(バス)

デズデーモナ - オテロの妻(ソプラノ

エミーリア - イヤーゴの妻で、デズデーモナの女中(メゾソプラノ

合唱

楽器編成

フルート3(第3奏者ピッコロ持ち替え)、オーボエ2、コーラングレクラリネット2、バス・クラリネットファゴット4、ホルン4、コルネット2、トランペット2、トロンボーン3、コントラバス・トロンボーンチンバッソ)、ティンパニシンバルタムタム大太鼓ハープ弦五部
舞台のバルコニー
マンドリンギターバグパイプタンブリン
舞台裏
トランペット6、トロンボーン4、サンダーマシーンオルガン、大砲

ドン・カルロ』と同じくベルリオーズのフランス風の管弦楽法の影響が強い。
あらすじ

時は15世紀末、場所はキプロス島の港町。
第1幕

キプロスの港、激しい嵐。島の住民が待ちわびる中、オテロに率いられた船団が帰還する。敵、トルコ艦隊は海の藻屑になったとの勝利報告に住民は歓喜する。カッシオが副官になったことを妬むヤーゴは一計を案じ、酒に弱いカッシオにワインを無理強いする。カッシオは悪酔いし醜態を演じたばかりか、喧嘩の仲裁に入ったモンターノを傷付ける。騒ぎを聞いたオテロが戻ってくる。彼は即座にカッシオを罷免、群衆に帰宅を命ずる。舞台にはオテロと妻デズデーモナだけが残り、愛情を確かめ合う美しい二重唱が歌われる。
第2幕

庭園に面する城の一室。副官の座を失ったカッシオに、ヤーゴは「デズデモーナに取成しを頼め」と提案する。オテロが登場。ヤーゴは、庭園でカッシオとデズデモーナが歓談している様子を、さも二人が不貞を働いているかのようにオテロに信じ込ませる。室内に入ってきたデズデモーナはカッシオの赦免を夫に願うが、心中疑念をもつオテロは耳を貸さない。デズデモーナが落としたハンカチは女中エミーリアが拾ったものの、その夫ヤーゴが脅迫の末手中に入れる。ヤーゴとオテロ二人だけが舞台に残り、オテロは「不倫の証拠を見せろ」と迫る。ヤーゴは、「カッシオが夢の中でデズデモーナを求めていた」と作り話をし、また、デズデモーナが愛用していたハンカチ(それはオテロからの彼女への贈り物だった)を、カッシオが持っているのを見た、と吹き込む。激怒したオテロは復讐を誓う。
第3幕

城の大広間。デズデモーナは事態の進展に気付かず、またもやカッシオの赦免をオテロに願い出て斥けられる。オテロは「自分が贈ったハンカチはどこへ行った?」と詰問する。もちろん彼女は答えられず、当惑しながら去る。ヤーゴが「今カッシオと話をするので物陰で見るように」とオテロに勧める。巧みなヤーゴの話術に乗ったカッシオは、自分の恋人ビアンカとの顛末を陽気に語るが、遠くで聞いているオテロは、デズデモーナとの恋物語をしていると思い込む。例のハンカチはヤーゴがあらかじめカッシオ宅に落としておいたのだが、そうとは知らないカッシオは「ところでこんな素晴らしいハンカチを拾った」などとヤーゴに披露、遠目に見ているオテロは、いよいよ不貞が証明された、と確信してしまう。オテロとヤーゴは相談の末、デズデモーナはオテロが殺めること、カッシオの始末はヤーゴが付けることを決定する。

ヴェネツィアからの使者ロドヴィーコとその一行が来航し、キプロス島の要人が集合する。オテロはヴェネツィアへ帰任となり、後任の総督はカッシオとなることが布告される。嫉妬心に燃えるオテロは公衆の面前で妻デズデモーナを面罵し、自分は憤怒のあまり気絶する。
第4幕

デズデーモナの寝室。デズデモーナは床に就く用意をしている。ここ数日の夫の言動から不吉な予感を覚える彼女は「もし死んだら婚礼の衣装で身を包んでほしい」と、女中エミーリアに依頼する。オテロが寝室に現れ、カッシオとの姦通を詰責する。デズデモーナは抗弁も空しくオテロに絞殺される。エミーリアが「カッシオがロデリーゴを殺した」と急を告げに戻ってくるが、デズデモーナが殺されているのを発見、驚いて人々を呼ぶ。エミーリアは「夫ヤーゴが私からハンカチを奪った」と証言、ロデリーゴが死ぬ前に陰謀の全てを白状した、との事実も明らかになる。形勢不利とみたヤーゴは遁走する。いまや全てを悟ったオテロは短刀で自刃し、妻の遺体に最後の接吻を求めつつ息絶えて、幕。
備考

登場人物中、ヴェルディが最初に惹かれたのは悪役ヤーゴであった。1882年頃までは、作曲中のこのオペラを彼はしばしば『ヤーゴ』Jagoと称している。彼が『オテロ』と呼ぶことに消極的だったもう1つの理由として、
ロッシーニが既に同名の作品を発表していた(1816年)こともある。ヴェルディはロッシーニをオペラ作曲の大先輩として深く敬愛していた。

1887年2月5日、ミラノ・スカラ座での初演はヨーロッパ音楽界を挙げての一大イヴェント化した観があった。観客の中には、イタリアの作曲家フランチェスコ・パオロ・トスティウィーンの著名な音楽評論家エドゥアルト・ハンスリックなどの姿もあった。

初演指揮者は、このオペラ制作に「チョコレート計画」の当初から関与したフランコ・ファッチョ。オテロ役には「スカラ座の遥か遠くまで声が響く」と評されたフランチェスコ・タマーニョ、ヤーゴ役には、フランス人ながらヴェルディのお気に入りで、『シモン・ボッカネグラ(改訂版)』、『ファルスタッフ』でも初演に加わったヴィクトル・モレルが参加した。また、スカラ座の第2チェロ・パートには、当時まだ20歳前のアルトゥーロ・トスカニーニもいた。

音楽・音声外部リンク
『オテロ』序曲
(通常の上演では使用されない)
Verdi: Otello, Preludio
リッカルド・シャイー指揮ミラノ・ジュゼッペ・ヴェルディ交響楽団の演奏、Universal Music提供のYouTubeアートトラック。


オテロ役は傑出したアリアこそないものの、テノール・ドラマティコにとって最大の難役の一つとされる。「オテロ歌い」として著名な歌手にはジョヴァンニ・マルティネッリレナート・ザネッリラモン・ヴィナイマリオ・デル=モナコジョン・ヴィッカーズそしてプラシード・ドミンゴが挙げられる。

ヤーゴ役も、性格俳優的要素の強い難役とされる。ティッタ・ルッフォティート・ゴッビなどが代表的なヤーゴ歌手である。

1887年の時点で、本作には『序曲』が既に書かれていたが、初演時を含め実際の上演で使用されることはなかった。リッカルド・シャイーの指揮による録音が存在する[1]

日本初演は、1953年10月30日 - 11月3日、日比谷で、二期会、指揮グルリット、東響、柴田睦陸・伊藤亘行らであった。

映画

オテロ
Otello
監督
フランコ・ゼフィレッリ
脚本フランコ・ゼフィレッリ
原作ウィリアム・シェイクスピア
ジュゼッペ・ヴェルディ
製作メナヘム・ゴーラン
製作総指揮ヨーラム・グローバス
ジョン・トンプソン
出演者プラシド・ドミンゴ
音楽ジュゼッペ・ヴェルディ
撮影エンニオ・グァルニエリ
編集ピーター・テイラー
製作会社キャノン・フィルムズ
公開 1986年9月12日
1986年10月21日
1988年9月3日
上映時間122分
製作国 イタリア
オランダ
アメリカ合衆国
言語イタリア語
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1987年フランコ・ゼフィレッリ監督、プラシド・ドミンゴ主演で映画化された(Otello)。


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