オッペンハイマー_(映画)
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そのため、本作について、日本では作品を観賞した上で問題意識や批評するのではなく、二次情報を基に意見を持ち、想像に基づいて発言されることが懸念される」と述べていた[36]

また、広島若者を中心に構成され、核兵器の廃絶に取り組んでいる「核政策を知りたい広島若者有権者の会」(カクワカ広島)の共同代表である高橋悠太も東京新聞の取材に対して、「米国で原爆開発がどのように語られているかは、核兵器をなくし、広島、長崎の体験を普遍化していく上で大切な視点。核兵器廃絶に向けた新たな議論が生まれることが重要だ」として、本作品が日本を含む世界各国にて上映されることを望むコメントを出していた[37]

2023年11月21日のソフト版発売直後、いずれも字幕音声ともに日本語には対応していないが、海外盤輸入代行のオンラインショッピング「Fantasium」の週間売り上げはトップ3を本作が占め、「字幕無しでも視聴したい」という日本人の多さが窺えた[38]。この時点でも日本での公開は発表されておらず、日本語による公式サイトも設けられていない[39][40]。この事について、日本国内でのユニバーサル・ピクチャーズ作品の配給権を保有している東宝東和の関係者は、ブルームバーグの取材に対し、「オッペンハイマーの配給や公開に関する決定権はユニバーサル・ピクチャーズにある」とコメントしたきりであった[31]

その後、当初伝えられた東宝東和ではなくビターズ・エンド配給のもと、正確なリリースの日時は明らかでないものの、2024年に日本での公開が決定したと2023年12月7日に発表された[16]。同社は「本作が扱う題材が、私たち日本人にとって非常に重要かつ特別な意味を持つものであることから、さまざまな議論と検討の末、日本公開を決定した」と慎重さの込められたコメントを出した[41]

ユニバーサル・ピクチャーズ製作であるにもかかわらず、作品の内容が問題となり、東宝東和以外の配給会社で公開された事例としては当初は東宝東和での配給が検討されながらも、日本軍による捕虜虐待描写が問題となり、最終的には東宝東和での配給を断念し、本作と同じビターズ・エンド配給での公開に至った『不屈の男 アンブロークン』(2014年製作、2016年日本で公開)のケースがある[15][42][43]

また、監督のクリストファー・ノーランも2023年12月20日のグローバルオンライン会見において、「この映画にずっと興味を持ち続けていた日本の方々に、ようやく観てもらえる機会が訪れてうれしく思います。同時に、ユニバーサルがこの作品に関しての日本でのセンシティヴな感覚に留意し、注意深いアプローチを試みてくれたことに感謝します。『オッペンハイマー』は日本以外のすべての国で上映されました。その評判を聞いて、日本の人たちも観たいという思いを募らせ、こうして上映が決まったことは正しい判断だと感じます。来年、そのチャンスを受け止めてください」とのコメントを述べた[44]

2024年1月23日、第96回アカデミー賞において、13部門でのノミネートが発表された翌24日、ビターズ・エンドは本作品を同年3月29日に日本で公開することを発表した[1]ナレーションは俳優の渡辺謙が担当する[注 6][45]映画倫理機構(映倫)によるレイディングはR15+指定になった[46]。IMAX版や35ミリフィルム版、Dolby Cinema版についても同時公開となり、全国の対応映画館にて上映される[47][48]

日本での全国公開に先立ち、被爆地である広島市と長崎市で2024年3月中旬に特別試写会並びにトークショーを開催することを同年2月29日にビターズ・エンドが発表した[49]。同年3月12日に開催された広島のトークショーは元広島市長の平岡敬と詩人・絵本作家のアーサー・ビナード、映画監督・作家の森達也[49][50]、同月18日に開催された長崎のトークショーは長崎県被爆者手帳友の会会長の朝長万左男と政治学者の前嶋和弘[49][51]がそれぞれ登壇した。

また、2024年3月25日にはIMAX版、35ミリフィルム版、Dolby Cinema版の特別先行上映「トリプルTOKYOプレミア」を東京都新宿区内にて行うことを同月11日にビターズ・エンドが発表。IMAX版をTOHOシネマズ新宿、35ミリフィルム版を109シネマズプレミアム新宿、DolbyCinema版を新宿バルト9にて同日19時から一斉特別先行上映する予定[48]


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