1883年、同じくロンドンのルイス・ウォーターマン (Lewis Waterman) がアネクセイションの盤面をチェッカー盤(チェスボードと同じ8×8の正方形)に改良してリバーシ (Reversi) を開発した[18][32][33]。リバーシは、1886年にロンドンのサタデー・レビュー紙に掲載され、世に知られることになった[34]。ウォーターマンは、1888年にリバーシを商品化し、ジャック・アンド・サン(現・ジャック・オブ・ロンドン)から発売した[35]。なお、リバーシ発売後にF・H・エアーズがアネクセイションの改良版として「Annex a Game of Reverses」という名前でリバーシとほぼ同一のゲームを販売したため、商標をめぐって訴訟となったが、「リバーシ」は「裏返す」という意味の単語「Reverse」に由来し、16世紀からフランスでプレイされていた伝統的トランプゲームのリバーシス(ハーツの原型)の別名でもあることから商標権は認められず、両者はともにこのゲームを販売できることになった[18]。
商品化から2年後の1890年にウォーターマンが承認したリバーシの解説書[26]によると、当時のリバーシと現在のオセロとのルール上の違いは、以下の2点のみである[36]。
初期配置オリジナル・ルール
初期のリバーシでは、盤面に石を置かずにゲームを開始していた。初手から4手目まで交互に中央4マスのうち好きな位置に石を打ち込むことで、初期配置を決めた(なお、初期配置を決めるための4手は相手の石を挟まなくて良かった)。
着手回数32手制限ルール
初期のリバーシでは、両対局者はそれぞれ最大32回しか石を打つことができなかった。つまり、ゲーム開始時に各々の手元に32個の石が配布され、相手のパスによって自分が連続して着手した結果手元の32個の石を使い果たしてしまった場合は、それ以降の自分の手番がすべてパスになった。
同書によると当時のリバーシの石の色は黒と白 (black and white) であり、現在のオセロと同様である[37]。もっとも、ジャック・アンド・サンから発売されたオリジナルのリバーシは、チェッカーと同様に黒白[38]、黒赤[39]、赤白[40]という少なくとも3通りのバージョンが存在していたことがボードゲーム収集家のリチャード・バラムのコレクションで確認できる。 リバーシが考案されてから20年ほどの間にルールの変遷があった。まず、着手回数32手制限ルールはすぐに廃止され、相手がパスした場合には相手の手元の石を使ってもよいことになった[36]。1900年頃のF・H・エアーズのリバーシに添付されたルール説明書には、「彼が打つことができないでいる限り、対戦相手は彼の石を使用して打つ」と明記されている[41]。また、初期配置に関しては、簡便のために最初から中央4マスに石を置いてからゲームを開始するのが主流となった[36]。この結果、20世紀初頭には、現在のオセロとのルール上の違いはほぼなくなっており[36]、1907年に編纂された『世界遊戯法大全』[27]では現在のオセロと完全に同一のルールが定められている[36]。 リバーシの初期配置
20世紀のリバーシ