オセロウ
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あらすじ

ヴェニスの軍人でムーア人であるオセローは、デズデモーナと愛し合い、デズデモーナの父ブラバンショーの反対を押し切って駆け落ちする。オセローを嫌っている旗手イアーゴーは、自分をさしおいて昇進した同輩キャシオーがデズデモーナと密通していると、オセローに讒言する。嘘の真実味を増すために、イアーゴーは、オセローがデズデモーナに贈ったハンカチを盗み、キャシオーの部屋に置く。

イアーゴーの作り話を信じてしまったオセローは嫉妬に苦しみ怒り、イアーゴーにキャシオーを殺すように命じ、自らはデズデモーナを殺してしまう。だが、イアーゴーの妻のエミリアは、ハンカチを盗んだのは夫であることを告白し、イアーゴーはエミリアを刺し殺して逃げる。イアーゴーは捕らえられるが、オセローはデズデモーナに口づけをしながら自殺をする。
原典

『オセロー』のもとは、ツィンツィオ(英語版)の『百物語』(Gli Hecatommithi)第3篇第7話にある。デズデモーナはギリシャ語で「不運な」という意味で、この話の中では、デズデモーナは事故死に見せかけてオセローが殺す。後に錯乱し、イアーゴーを解職したが、オセローはこの罪を問われ追放され、デズデモーナの親戚に殺される。イアーゴーはこのことが知られ、拷問の末に死亡する、という筋で、このほかは非常によく似ている。この話の中で名前で呼ばれているのはデズデモーナのみで、ほかはムーア人、旗手、などと呼ばれている。
作品解説

表題の人物であるオセローは気高いムーア人(北アフリカのムスリム)であり、キプロスの軍隊の指揮官である。オセローはムーア人であるにもかかわらず、同情的に描かれている。これはムーア人のようなムスリムが悪役として描かれることが多かったシェイクスピアの時代のイギリス文学においては珍しいことである。ただしこれは個人的・道徳的に捉えた場合で、オセローに対するイアーゴーの同性愛――あるいは女より男を盲信するホモソーシャリティ――を認識するなら、純粋な背理者、欲望の実行(成功)者はオセローのみとなり、その当時のムーア人社会が男色者達の集団・男色社会として扱われていたことを踏まえると、イングランドはそれを許容しないというテーマ、すなわち悪はオセロー=ムーア人社会だけになる。オセローが黒人であるかアラブ人であるかについては研究者の間でも議論があるが、一般には前者と解釈されている。シェイクスピアは劇中でイスラム教についてほとんど触れていない。
日本語訳

『オセロウ』
岩波文庫菅泰男

『オセロー』新潮文庫福田恆存

『新訳 オセロー』角川文庫河合祥一郎

『オセロー』(シェイクスピア全集 13)ちくま文庫松岡和子

『オセロー』(シェイクスピア全集 27)白水Uブックス、小田島雄志

『オセロー』 (真訳 シェイクスピア 四大悲劇) 河出書房新社、石井美樹子

他に、坪内逍遥木下順二平井正穂三神勲らの訳がある。
映像化作品
映画

オセロ(1922年) -
エミール・ヤニングス主演のサイレント映画

オセロ (1951年) - オーソン・ウェルズ監督・主演。

オセロ(1955年) - セルゲイ・ボンダルチュクイリーナ・スコブツェワ出演。

オセロ(1965年) - ローレンス・オリヴィエマギー・スミス出演。

オセロ(1986年) - ジュゼッペ・ヴェルディオペラオテロ』の映画化。フランコ・ゼッフィレッリ監督、プラシド・ドミンゴ主演。

オセロ(1995年) - ケネス・ブラナーイレーヌ・ジャコブローレンス・フィッシュバーン出演。

O(2001年) - メキ・ファイファージュリア・スタイルズジョシュ・ハートネット出演。舞台は現代のアメリカのハイスクール。

Omkara(2006年) - 舞台は現代のインドムンバイ。アジャイ・デーヴガン、サイフ・アリー・カーン、カリーナ・カプール出演。

テレビドラマ化

未来世紀シェイクスピア(2008年) - AAA(トリプル・エー)主演ドラマ(関西テレビ)。

『オセロー』を元にした音楽作品

オテロ - ヴェルディのオペラ。オテロ(オテッロ、Otello)はオセローのイタリア語名。

オテロ - ジョアキーノ・ロッシーニのオペラ。

序曲「オセロ」 - アントニン・ドヴォルザークの序曲三部作『自然と人生と愛』の第3曲。

威風堂々 - エドワード・エルガー行進曲集。


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