日本以外では、裏面に濃色の斑紋が出現した型が多く見られ、また、雲南省からベトナムにかけての個体群は明色斑が非常に発達する。
雌雄嵌合体も何例か記録されている[4]。 成虫は年に1回だけ6 - 7月に発生し、8月にも生き残った成虫を見かける。クヌギ、コナラ、ニレ、クワ、ヤナギなどの樹液に集まったり、クリ、クサギなどの花で吸蜜する[5]。ときに腐果
北海道産のオオムラサキのオス。明色の斑紋の多くが黄色くなる遺伝型。東日本に多い。
山口県産のオオムラサキのメス。明色の斑紋が黄色くならない遺伝型。西日本に多い。
オス
メス
幼虫
蛹
翅の裏面
生態
雄は樹木の周囲に縄張りを作る。
幼虫の食樹はエノキやエゾエノキ。卵から孵った幼虫は、夏から秋にかけてエノキの葉を食べて成長する。冬は地面に降りて、食樹の根際や空洞内に溜まった落ち葉の中で越冬する。春に休眠から覚めると再び食樹に登って葉を食い、更に成長を続け、蛹になる。蛹の状態でも、体を震わせることができる。
文化
日本の国蝶オオムラサキ 75円切手 (1956年発行)
日本の国蝶は、法律や条例で規定されたものではなく[7]、日本昆虫学会が選んだものである。
国蝶の選出については、1933年ごろより、片山胖、結城次郎、中原和郎、柴谷篤弘、野平安藝雄らが、同好会誌『Zephyrus』で論議していた[8]。オオムラサキは当時から候補種だったが、ミカドアゲハ、ギフチョウ、アゲハチョウといった蝶も検討された。結城 (1935)はオオムラサキに対抗してアゲハチョウを推す理由を詳細に記述している。ただしこの時点では決定がなされずに経過した。
1956年にオオムラサキが75円切手の図案に採用されたことを契機として、日本昆虫学会は1957年の総会でオオムラサキを国蝶に選んだ[9]。 茨城県下妻市のマスコットキャラクター「シモンちゃん」は本種を萌え擬人化したデザインとなっている[10]。なお、女の子のように見えるが、羽の模様はオスのものである。
下妻市
脚注[脚注の使い方]
出典^ William C. Hewitson (1862?1866). ⇒Illustrations of New Species of Exotic Butterflies, Selected Chiefly from the Collections of W. Wilson Saunders and William C. Hewitson. Volume III. John Van Voorst. p. 50. doi:10.5962/bhl.title.12625
^ Frederic Moore (1896). ⇒Lepidoptera Indica. Volume III. Lovell Reeve & Co. Limited. p. 39. doi:10.5962/bhl.title.8763. ⇒http://ia600302.us.archive.org/4/items/lepidopteraindic003moor/lepidopteraindic003moor.pdf
^ “国蝶オオムラサキの生態”. 栗山町. 2021年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月1日閲覧。
^ “左の羽は「雄」、右の羽は「雌」…珍しいオオムラサキを高校生が発見”. 読売新聞 (2021年9月15日). 2021年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年11月5日閲覧。
^ 川副昭人、若林守男『原色日本蝶類図鑑』(全改訂新版)保育社〈保育社の原色図鑑1〉、1976年4月1日、265頁。全国書誌番号:.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}69004898。
^ “オオムラサキ”. 太田川生物誌陸生昆虫. 国土交通省中国地方整備局太田川河川事務所. 2021年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月18日閲覧。
^ 猪又 2008.
^ 片山 1933; 柴谷 1937; 中原 1936; 野平 1938; 結城 1935.
^ 日本蝶類愛好会 1970, pp. 30?31.
^ “下妻市イメージキャラクター「シモンちゃん」とは?”. 下妻市. 2021年9月5日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年11月1日閲覧。
参考文献
猪又敏男「日本のオオムラサキ」『月刊むし』第449号、2008年、27-36頁。
江崎悌三「「國蝶」問題」『Zephyrus』第6巻第3/4号、1936年、382-383頁。
片山胖「第八回懇親会記事」『Zephyrus』第5巻第1号、1933年、49-51頁。
柴谷篤弘「國蝶選定に就いて」『Zephyrus』第7巻第2/3号、1937年、217-221頁。
中原和郎「オホムラサキ國蝶論」『Zephyrus』第6巻第3/4号、1936年、383-384頁。
日本蝶類愛好会 編『日本の蝶・世界の蝶』保育社、1970年。全国書誌番号:69007753。
野平安藝雄「再び國蝶問題に就いて」『Zephyrus』第7巻第4号、1938年、298-301頁。
結城次郎「「國蝶」を如何に選ぶべきか」『Zephyrus』第6巻第1/2号、1935年、146-149頁。