オウム真理教
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麻原自身は釈迦の教えを忠実に復元したとしていたものの[10]、実際のところ麻原にとって都合の良いものとなっていた。その後、一般社会との関わりにおいて麻原を初めとした教団幹部らが自身にとって都合の良い解釈を繰り返し、次第にテロ組織に変わっていった[注釈 3]

当初はヨーガを学ぶ和気藹々としたサークルに過ぎなかったが、次第に常軌を逸した行動が見え始め、出家信者に全財産をお布施させたり、麻原の頭髪や血、麻原の入った風呂の残り湯などの奇怪な商品を高額販売するなどして、多額の金品を得て教団を拡大させた。内部では奇怪な商品の売付けや過激な修行で懐疑的になり逃走を図った信者を拘束したり殺害するなどして、1988年から1994年の6年間に脱会の意向を示した信者のうち、判明しているだけでも5名が殺害され、死者・行方不明者は30名以上に及び、恐怖政治で教祖への絶対服従を強いていた。

「出家」や高額の布施を要求し信者の親族その支援者と揉め事が多く、当初より奇抜、不審な行動が目立ったため、信者の親などで構成される「オウム真理教被害者の会」(のちに「オウム真理教家族の会」に改称)により、司法行政警察など関係官庁に対する訴えが繰り返されたが、取り上げられることなく、その結果坂本弁護士一家殺害事件をはじめ松本サリン事件地下鉄サリン事件などのテロを含む多くの反社会的活動(詳細は「オウム真理教事件」を参照)を起こした[11][12]ほか、自動小銃化学兵器生物兵器麻薬爆弾類といった教団の兵器や違法薬物の生産を行っていた[3]

第39回衆議院議員総選挙での真理党の惨敗もあり、最終的には一般社会と敵対するようになり、麻原に帰依しない部外者を「ポア」により「救済」するとして、国家転覆計画すらも実行するようになった。その到達点と言える1995年3月20日の地下鉄サリン事件は、宗教団体が平時の大都市を狙い複数箇所を強力な化学兵器同時多発テロを起こすという過去に類のない事件であり、サリンにはナチスですら使用を躊躇った歴史があることや、比較的治安の良い戦後日本で起きたことも含めて、日本国内だけでなく、世界にも大きな衝撃を与えた(海外ではTokyo Sarin Attack[13]等と称された)。

1996年平成8年)1月に宗教法人としての法人格を失ったが活動を継続。2000年(平成12年)2月には破産に伴い「オウム真理教」としては消滅した(2009年に破産手続きが終了した)。同時に、新たな宗教団体「アレフ」が設立され、教義信者の一部が引き継がれた。アレフは後に「Aleph」と改称され、また2007年(平成19年)5月に上祐史浩を中心とした別の仏教哲学サークルひかりの輪」が、2014年(平成26年)?2015年(平成27年)頃にAleph金沢支部の山田美砂子(ヴィサーカー師)を中心とした「山田らの集団」と呼ばれる分派(自称ではない)が結成された。また、既に目立った活動はなく崩壊したと見られているが、北澤優子により「ケロヨンクラブ」なる組織が分派して結成されていた時期もある。

2018年には麻原をはじめとした幹部達の死刑が執行されたが、Alephを中心に未だに麻原信仰は根強く、後継組織の施設周辺は抗議の看板が掲示されるなどしている。2020年現在も日本の公安調査庁団体規制法により後継団体の動向を監視している。公安調査庁の調査では、米国政府、欧州連合(EU)、オーストラリア政府、カザフスタンアスタナ市裁判所、ロシア連邦最高裁判所からテロリストの認定を受け、各国で活動を禁止されている[6]
名称

「オウム(AUM)」とは、サンスクリット語またはパーリ語の呪文「?」でもあり、「ア・ウ・ム」の3文字に分解できる。Aは創造、Uは維持、Mは破壊を表しており、三文字の意味は「無常[14]、すなわちすべては変化するものであるということを表している。

また麻原自身の解説によれば「真理」の意味は、釈迦イエス・キリストが人間が実践しなければならないものはこうであるという教えを説いたものであるが、その教えの根本であるものを「真理」と呼ぶ。特にチベット仏教原始仏教の要素をアピールしたため仏教系とされることも多いが、あえて仏教を名乗らなかった理由は、「仏教」という言葉自体が釈迦死後に創作されたものであるからとしている。また真理と密接に関係のあるものが科学である[15][16]

しかし、実は命名には京都の私立探偵目川重治が関わっていたという。目川は「松本智津夫」から天理教の全容の調査を依頼され、その調査結果を松本に手渡した。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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