エーリヒ・ケストナー
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ケストナーは父方を通じてユダヤ人の血を引いていたが、「自分はドイツ人である」という誇りから、亡命を拒み続けて偽名で脚本などを書き続け、スイスの出版社から出版した。ナチス政権によって自分の著作が焚書の対象となった際にはわざわざ自分の著書が焼かれるところを見物しにいったという大胆なエピソードがある。ナチスもケストナーを苦々しく思っていたが、拘束などの強硬な手段を取るにはケストナーに人気があり過ぎ、逆に民衆の反発を買う恐れがあったため、ケストナーの著書を焚書にした際、子供たちに配慮して児童文学だけは見逃したり、変名でケストナーが脚本を書いた映画『ほら男爵の冒険』を制作したりしている。一方でベンヤミンを含む、マルキシズムの立場からは、政治的に立脚点が無く、その理想は、プチブルジョアのための慰めでしかない、という批判を受ける。

戦後は初代西ドイツペンクラブ会長としてドイツ文壇の中心的人物になった。ちなみにドレスデンにいたケストナーの母親とは戦後の東西ドイツ分断で離れ離れになってしまったが、東ドイツ政府もケストナーが反ナチを貫いた事を高く評価、母親を手厚く保護したという。1960年、『わたしが子どもだったころ』で優れた子供の本に贈られる第3回国際アンデルセン賞を受賞した。

長年ルイーゼロッテ・エンダーレという女性と生涯ともに暮らしていたが、内縁関係のままで生涯結婚する事はなかった。ちなみに『ふたりのロッテ』の主人公である双子の姉妹(ルイーゼとロッテ)は、この内縁の妻の名を分けて名付けたことで知られている。

ケストナーは1974年7月29日に死去し、ルイーゼロッテとともにボーゲンハウゼン墓地に埋葬されている。

ノーベル文学賞の候補者が公表されている1971年以前に6度(7人から)ノミネートされていた(一方自身が他の文学者を推薦したことも3度ある)[1]
主要作品
子供向け

エーミールと探偵たち(1929年) - ドイツを中心に何度も映画化されている。

点子ちゃんとアントン(1931年) - ドイツで1953年と1999年の2度映画化されている。

五月三十五日(1932年) - 木馬座が子供向け人形劇として上演していた。

飛ぶ教室(1933年) - ドイツで4回映画化されている。

エーミールと三人のふたご(1935年) - 「エーミールと探偵たち」の後日譚。

ふたりのロッテ(1949年) - ドイツを中心に何度も映画化されている。劇団四季が子供向けのミュージカルとして上演している。後に『わたしとわたし ふたりのロッテ』としてアニメ化。

動物会議[注釈 1](1949年) - 光吉夏弥訳では「どうぶつ――」と改題。『SOSこちら地球』として日本でアニメ映画化、『アドベンチャー・イン・アフリカ』(別題:どうぶつ会議)としてドイツで映画化。

わたしが子どもだったころ(1957年) - 自伝。池田香代子訳では「ぼくが――」と改題。

サーカスの小びと(1963年)

サーカスの小人とおじょうさん(1967年) - 「サーカスの小びと」の後日譚。

大人向け

ファビアン あるモラリストの物語(1931年) - 2021年に『
さよなら、ベルリン またはファビアンの選択について』として映画化。

雪の中の三人男(1934年)

消え失せた密画(1935年)

一杯の珈琲から(1938年)

ケストナーの「ほら吹き男爵」 - 1943年ウーファによって『ほら男爵の冒険』として映画化。キャプションでは偽名で登場し、@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}ゲッベルスの怒りを買ったと言われている。[要出典]

詩集

腰の上の心臓(1928年)

鏡の中の騒音(1929年)

ある男が通告する(1930年)

椅子の間の唱歌(1932年)

簡潔に

日々の雑貨

人生処方詩集

自著一覧

脚注[脚注の使い方]
注釈^ 2022年12月にNHK Eテレで取り上げられた[2]

出典^ Erich Kastner - Nomination archive(ノーベル財団、英語)2023年2月7日閲覧。
^ “子どもたちのために(マジ時々笑)”. NHK (2022年12月17日). 2022年12月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月16日閲覧。

参考文献

クラウス・コルドン 著、那須田淳,木本栄 訳『ケストナー―ナチスに抵抗し続けた作家』偕成社、1999年。.mw-parser-output cite.citation{font-style:inherit;word-wrap:break-word}.mw-parser-output .citation q{quotes:"\"""\"""'""'"}.mw-parser-output .citation.cs-ja1 q,.mw-parser-output .citation.cs-ja2 q{quotes:"「""」""『""』"}.mw-parser-output .citation:target{background-color:rgba(0,127,255,0.133)}.mw-parser-output .id-lock-free a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-free a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/6/65/Lock-green.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-limited a,.mw-parser-output .id-lock-registration a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-limited a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-registration a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d6/Lock-gray-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .id-lock-subscription a,.mw-parser-output .citation .cs1-lock-subscription a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/a/aa/Lock-red-alt-2.svg")right 0.1em center/9px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-ws-icon a{background:url("//upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/4c/Wikisource-logo.svg")right 0.1em center/12px no-repeat}.mw-parser-output .cs1-code{color:inherit;background:inherit;border:none;padding:inherit}.mw-parser-output .cs1-hidden-error{display:none;color:#d33}.mw-parser-output .cs1-visible-error{color:#d33}.mw-parser-output .cs1-maint{display:none;color:#3a3;margin-left:0.3em}.mw-parser-output .cs1-format{font-size:95%}.mw-parser-output .cs1-kern-left{padding-left:0.2em}.mw-parser-output .cs1-kern-right{padding-right:0.2em}.mw-parser-output .citation .mw-selflink{font-weight:inherit}ISBN 4038142000。 

高橋健二『ケストナーの生涯―ドレースデンの抵抗作家』福武書店福武文庫〉、1992年。ISBN 4828832394。 

スヴェン・ハヌシェク 著、藤川芳朗 訳『エーリヒ・ケストナー 謎を秘めた啓蒙家の生涯』白水社、2010年。ISBN 978-4560080955。 

松本侑子『ヨーロッパ物語紀行』幻冬舎 2005年 (ISBN 4-344-01075-2)、(ケストナーについては pp.181-247)。

岡田朝雄・リンケ珠子『ドイツ文学案内』 朝日出版社 1979年、増補改訂 2000年 (ISBN 4-255-00040-9)、(ケストナーについては pp.124-125)。

外部リンク

ケストナー 單行本書目 ( ⇒稀覯本の世界

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