エーテル_(物理)
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注釈^ エーテルの語源はギリシア語アイテール (αιθ?ρ) であり、ラテン語を経由して英語になった。アイテールの原義は「燃やす」または「輝く」であり、古代ギリシア以来、天空を満たす物質を指して用いられた。英語では「イーサー」のように読まれる。
^ 例えば、惑星はその渦に乗って動いていると考えた[1]
^ それら考察は1665年『微細物誌』(Micrographia)の中で述べられた。ただし、フックの考察は体系だってはいなかった[3]
^ 1675年にオーレ・レーマーが木星の衛星の食の観測から光の速さの有限性を結論していたところだった。
^ なお、ホイヘンスは、ニュートンよりも前に、光はエーテル中を伝播する縦波であるとの仮説を唱えたが、ニュートンはこの考えを否定した。もし光が縦波であるならば、その進行方向以外に特別な方向を持つことができず、偏光のような現象は考えられない。従って、偏光の向きによって屈折の具合が変わる複屈折などの現象を説明することができない。この点について、ニュートンは光の粒子は球形ではなく、その「側面」の向きの違いによって複屈折が起こると考えた。ニュートンが光は波ではないと考えた理由は他にもあった。もしエーテルが空間中に充満していて、エーテル同士の相互作用により光が伝わるならば、エーテルが巨大な物体、すなわち惑星彗星の運動に影響を与えないと考えることは困難である。しかし現実にはそのような影響は観測されていないから、エーテルは存在しないと考えた。
^ ニュートンは光の実体は多数の微粒子であると考えた。これは、光が直進することや物体表面で反射されるという事実に基づく仮定である。しかし、光が粒子であると仮定すると、屈折回折を説明することが難しいという問題があった。屈折を説明するために、ニュートンは『光学』(1704年)で「エーテル様の媒質 (aethereal medium)」が光よりも「速い」振動を伝えており、追いこされた光は「反射の発作」や「透過の発作」の状態になり、結果として屈折や回折が生じると述べた。この発作とは、ニュートン環などで見られる干渉縞を説明するための仮説である。屈折面を通過した光の粒子は過渡的な状態になり、「反射の発作」の状態と「透過の発作」の状態を一定の間隔で遷移する。そして次の屈折面を通過する際に、その粒子が「反射の発作」の状態であれば反射され、「透過の発作」の状態にあれば透過する[5]
^ しかしこの説にも問題が残る。当時の物理学では、光の波が伝播するためには、水面の波や音の波と同様に何らかの媒質が必要であると考えられており、ガス状のエーテルが空間に充満している、というホイヘンスの考えが支持されていたが、光をこのような媒質中の横波と考えるのは困難である。横波を伝えるためには、エーテルの個々の粒子は強く結合して紐のようなものになっていなければならず、流体状のエーテルでは縦波しか伝えることができないからである。この強固な結合を持つ紐状のエーテルが普通の物質と相互作用しないと考えるのは奇妙であり、ニュートンやホイヘンスが縦波にこだわったのは、このためである。
^ 光行差は、ジェームズ・ブラッドリーによって年周視差の測定の際に発見された(1728年)。ブラッドリーは、これをニュートンの理論に沿って解釈した。つまり、光の微粒子が飛んで来る見かけ上の方向は、地球の運動の向きと速さに依存すると考えることで測定結果を合理的に説明でき、さらに、地球の運動の速度と光行差から光の速さを知ることができた。これは、鉛直に落下する雨粒が、高速で移動する電車の中からは斜めに降っているように見える、という現象と同様の解釈である。一方、光がエーテルの振動であると考える場合には、光行差を説明することは困難だった。地球がエーテル中を運動しているにもかかわらず、地球の周りのエーテルは掻き乱されずに静止している、つまり地球とエーテルは殆ど相互作用をしないということになるからである。ニュートンは、この考えを受け入れなかった。
^ なお、今日の特殊相対性理論の観点では、マクスウェル方程式はどの慣性座標系でも成立するとされ、ガリレイ変換を含むニュートン力学の方が不正確だと考えられている。
^ こうした状況を、マクスウェルはブリタニカ百科事典に次のように書いた。(Maxwell, James Clerk (1878), "Ether", Encyclopadia Britannica Ninth Edition 8: 568?572)

Aethers were invented for the planets to swim in, to constitute electric atmospheres and magnetic affluvia, to convey sensations from one part of our bodies to another, and so on, until all space had been filled three or four times over with aethers.... The only aether which has survived is that which was invented by Huygens to explain the propagation of light.

(参考訳)

エーテルは、惑星の泳動、電磁気の振る舞い、そして我々の日常に起こる様々な事象を説明するために発明された。しかし、辻褄を合わせるためには、エーテルの理論は三重にも四重にも変更され、複雑怪奇なるものとなった。...結局のところ、ホイヘンスが光の伝播を説明するために発明したもの以上に納得できる理論は、残らなかった。



出典^ 『屈折光学』, ルネ・デカルト『増補版デカルト著作集』 1巻、青木靖三水野和久訳、白水社、1991年。 
^ 広重(1960) p.24
^ 広重(1960) p.31
^ C.Huygens(1690) "Traite de la lumiere"(光についての論考)
^ 広重(1968)
^ 広重(1960) p.43
^ 広重(1960) p.63
^ R. J. Kennedy; R. E. Thorndike (1932). “Experimental Establishment of the Relativity of Time”. Phys. Rev. 42 (3): 400-418. 


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