エンタープライズ_(スタートレック)
[Wikipedia|▼Menu]
□記事を途中から表示しています
[最初から表示]

人的被害は最小限であったが艦はそのまま廃艦となり、結果として歴代エンタープライズの中では映像登場時間が最も長い艦であるにもかかわらず、運用期間は最も短命(8年間)なエンタープライズとなった[注 18]

2401年、『スタートレック:ピカード』第29話「声」にて、第1船体が艦隊の誓いに基づきヴェリディアン3号星から回収され、エイサン・プライムの宇宙艦隊ミュージアム館長に就任したジョーディ・ラ=フォージ准将が20年かけて修復、「いずれサプライズにと」ミュージアムの格納庫に保存していたことが明かされる。喪失した第2船体にはU.S.S.シラキュースのものが用いられている。船体には過去の損傷や摩耗等がまだ残っている状態だったものの、フロンティア・デー250周年式典のために地球に集結していた宇宙艦隊と惑星連邦に迫る危機[注 19]を打開するため、唯一単独で航行可能な艦としてジャン=リュック・ピカード提督らかつての当艦の主要クルーたちが乗り込む。最終話「ラスト・ジェネレーション」では巧みな戦術と操艦によって木星に潜むボーグ・キューブ内部への侵入を果たし、再び惑星連邦を救う。1年後、艦隊ミュージアムに正式に展示され眠りにつく。

ブリッジのセットは劇場版第7作のものではなく、テレビシリーズのものが再現された(ライカー大佐は「ブリッジが縮んでないか?」とこぼしている)。制作には3ヵ月もの期間がかけられ、一部のLCARSコンソールは旧来のバックライト式アクリルガラスではなく、大型の液晶画面にLCARSレイアウトが表示された「本当に動く」ものに換装された。
性能

全長641m、質量500万トン、デッキ数42、総容積350万?という24世紀の惑星連邦艦の中では最大規模の船体を誇り、1,012名もの人々が乗船している。宇宙艦隊士官だけでなくその家族や民間人も乗艦できる。LF-41型のワープエンジンを搭載し、最高でワープ9.6もの速度で12時間航行可能、7年間無補給で活動できる。作中ですべて確認はできないが、3つの医療室と20の転送設備、100以上の科学ラボ、16のホロデッキ、その他ジム、美容室、テンフォワードと呼ばれるバーラウンジ、子供用の学校を有する。

武器は23世紀のものと比較して格段に大威力となったタイプ10フェイザーを12基装備し、3基の魚雷ランチャーを有する。250基搭載する光子魚雷も内部の反物質パケットが増設され23世紀より破壊力がより増強されている。防御シールド(吹き替えでは「防御スクリーン」)も単純な重力子壁から多位相シールド(マルチフェイズシールド)となったことで、船体密着型ではなく船体周囲を卵の殻状に覆う形となり、より強固に船体を保護する。初代エンタープライズやA型艦に見られた防御シールドはあくまで船体強度を強化しているに過ぎず、被弾した箇所は防御シールドがあっても黒く焦げ損傷するが、マルチフェイズシールドは正常に稼働している限り船体にダメージは通らない。コンピュータシステムは超光速演算が可能なアイソリニアオプティカルコンピュータで、莫大な情報量を「LCARS(エルカース / Library Computer Access and Retrieval System)」と呼ばれる新たなOSで管理している。さらにコンピュータは「会話認識」が可能となり(23世紀は「音声認識」)、ユーザーは会話するようにコンピュータに複雑な命令をすることができる。

23世紀になかった装備として、ホロデッキとレプリケーターが挙げられる。ホロデッキは光子とフォースフィールドを使った高度なバーチャルリアリティーシミュレーションであり、任務のシミュレーションから娯楽のホロノベルまで多様に利用される。レプリケーターは転送技術の高度な応用で、高分子化合物を原料にエネルギーを使って物質を作り出す技術である。このレプリケーターによって機械部品、医療薬品、食料や空気などの資材を非常に簡単かつ自由自在に作り出すことができるようになった。

さらに当艦は高度な船体分離・合体機能を備えており、第1船体と第2船体をそれぞれ別の艦として機能させたのち、自力で合体復元することが可能である(これ以前のエンタープライズは分離はできても自力で合体復元することはできない)。そのため当艦には第1船体、第2船体の両方にインパルスエンジンとスラスターを備え、第2船体に「戦闘ブリッジ」と呼ばれる第2の艦橋を持つ。船体分離はワープコアに爆発の危険が迫る緊急事態、および敵対種族との交戦時における戦術のひとつとして用いられる。主要パワーを生み出すワープコアを有する第2船体が機動力、火力、防御力に優れる一方で、第1船体は推進機構がインパルスエンジンのみであるためにワープ推進能力はなく(ワープフィールド維持装置はあるためワープ中の船体分離は可能)、武器もフェイザーのみである。そのためギャラクシー級宇宙艦の基本的な船体分離戦術としては、「民間人などの非戦闘員を第1船体に残し攻撃力の高い第2船体で敵を攻撃する」もしくは「第2船体を放棄する場合の救命ボートとして第1船体を利用する」の2種類である。ウィリアム・T・ライカー艦長(ピカード艦長の不在により副長から一時的に昇格)は、ボーグに改造されてしまったピカード艦長が指揮するボーグキューブとの戦闘時に、船体分離の際、ピカード艦長は機動力と攻撃力の弱い第1船体を無視するだろうと推測し、裏をかいて見事な戦術を披露した。しかしながら船体分離はそれが必然となる状況が限定的でエピソードに取り入れづらく、脚本家には不評であった。

また脚本家のロナルド・D・ムーアはD型艦の多数の民間人や家族を積極的にモブキャラとして乗船させる設定は失敗であったと語っており、以降の作品に登場する艦ではそういった設定は見られなくなった。子供の乗艦に関しては作中の登場人物の間でも賛否が分かれており、カウンセラー・トロイが好意的にとらえている一方、ピカード艦長は明確に反対している。
デザイン

デザインはアンドリュー・プロバートが手掛けた『スタートレック:フェイズII』のためのコンセプト画を元に、ハーマン・ジマーマンとリチャード・ジェームスの手を得て完成した。第1船体が正円ではなく横長の楕円形をしており、第2船体も正円筒型ではなく偏平な形状をしている。デフレクター盤も横幅の長い楕円形をしており、いわば長さよりも幅を強調したデザインとなっている。パイロンは船体に対し水平に伸びた後に滑らかに垂直方向へ湾曲し、扁平な円筒型のワープナセルに接続される。当艦は2基のワープナセルの力強い青い発光をほとんどの角度から同時に目視することができ、視覚的にパワーを感じさせるデザインとなっている。また、全長が抑えられた当艦はテレビ画面の縦横比にもっとも合致するデザインバランスとなっているため、歴代エンタープライズの中では最もテレビドラマにおける画面効果が高い艦である。当艦は楕円形の第1船体が正円に見えるアングルが最も美しいとされ、その優雅な姿から「銀河の白鳥」とも呼ばれている。

撮影用模型については、最初に近接撮影用の6フィートモデルと遠景撮影用の2フィートモデルがILM社によって制作され、このうち6フィートモデルだけが船体分離が可能である。


次ページ
記事の検索
おまかせリスト
▼オプションを表示
ブックマーク登録
mixiチェック!
Twitterに投稿
オプション/リンク一覧
話題のニュース
列車運行情報
暇つぶしWikipedia

Size:200 KB
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
担当:undef