1789年に天文学者ウィリアム・ハーシェルによって発見された[18]。その後、1847年にギリシア神話のギガース族の1人エンケラドスにちなみ、息子のジョン・ハーシェルが命名・発表した。
概要エンケラドゥスの間欠泉。
直径は平均500キロメートルほどだが、熱源を持ち、土星の衛星としては6番目に大きい[19]。反射率が極めて高く、太陽系の中で最も白い星とされる[20]。表面は比較的新しい氷で覆われている。
2005年3月ごろ、エンケラドゥスに接近したNASA/ESAの無人土星探査機カッシーニが、エンケラドゥスに極めて微量の大気を発見した。大気の成分は水蒸気と見られている。火山か間欠泉などの大気の安定した供給源があるものとみられる。しかし、エンケラドゥスは重力が小さく、大気はすぐに宇宙に逃げてしまう。同じく木星の衛星のイオや、海王星の衛星トリトンには火山噴出物による微量な大気が観測されている。 エンケラドゥスは1789年8月28日にウィリアム・ハーシェルによって発見された。観測には彼の 1.2 メートル口径の望遠鏡が用いられており、これは当時としては世界最大の望遠鏡であった[21]。エンケラドゥスは見かけの明るさが暗く、また土星とその環に近いため、小さい望遠鏡では地球から観測するのが難しい。ボイジャーによる接近観測が行われるまでは、点としての画像しか捉えられておらず、その詳細な性質はよく分かっていなかった。質量、密度、アルベドは推測値に過ぎず、軌道特性が判明しているのみであった。 エンケラドゥスの名称を提案したのは、ウィリアム・ハーシェルの息子で天文学者のジョン・ハーシェルである。エンケラドゥスを含む既に発見されていた7つの衛星に対して、1847年に発表した『Results of Astronomical Observations made at the Cape of Good Hope』の中で命名した[22]。 エンケラドゥスの地形の名称は、国際天文学連合によって千夜一夜物語のリチャード・フランシス・バートンによる翻訳版に登場する人物と地名から命名されている[23]。衝突クレーターは登場人物から命名されており、その他の地形は登場する場所や地名から命名されている。 エンケラドゥスは、ディオネ、テティス、ミマスと並ぶ、土星の主要な衛星であり、ミマスとテティスの間を公転している。 エンケラドゥスは現在ディオネと 2:1 の平均運動共鳴を起こしており、ディオネが土星の周りを一周周る間にエンケラドゥスは二周公転する。この共鳴によってエンケラドゥスの軌道離心率は 0.0047 に保たれている。このように別の天体からの影響によって決まる離心率は forced eccentricity と呼ばれている。離心率がゼロではないため、エンケラドゥスは公転に伴って潮汐力による変形を起こす。変形によって天体内部でのエネルギー散逸が発生し、これが現在のエンケラドゥスの地質学的活動を引き起こす熱源になっている[3]。エンケラドゥスはE環の最も濃い部分を公転しており、この環の物質の主要な供給源になっている[24]。
発見と命名
発見
命名
軌道と自転土星の北極側から見たエンケラドゥスの軌道 (赤線)