エレベーター
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エレベータの防犯装置として、防犯カメラ、警報装置、各階強制停止装置、利用者・利用階検知システムなどがある[14]

防犯のため、エレベーターのかご内の状況が外部から見えるよう、ドア(通称 : 防犯窓)を装着し、あるいはかご内に監視カメラが設置され、内部の映像を乗り場のところに設置したモニターに映し出しているエレベーターもある。この形式のエレベーターの場合、外部からかご内の様子が見えることで犯罪いたずらを未然に防ぎ、安心してエレベーターを利用できるといった長所がある。

窓付きドアのエレベーターは、主にマンション団地などの集合住宅鉄道駅、一部の商業施設などで見かける。防犯カメラのついたものは、集合住宅や一部のオフィスビルで見受けられる。

また、深夜になると各階へ昇降する際、途中階全てに停止するエレベーターもある。たとえば1階から5階へ向かう際、2階・3階・4階で停止しドアを開ける手順を経過することになるので防犯の効果は高くなる。その反面、昇降に時間がかかり効率を悪化させるという欠点がある。
バリアフリー構造

本項目では、バリアフリー構造について紹介する。

かごの奥側の側面には鏡が設置されていることがある。これはエレベーター利用者が車いすを使用している場合、前を向いたまま室内に入ることになるため、狭い室内では車いすに乗りながら転回することができないことを考え、後ろ向きのままエレベータから降りられるように考慮して設置されているものである[16]


車椅子などで乗り込んだ際、降りるときも前進で降りられるように出入り口をかごの前後に配置した形式がある[17]。これを「ウォークスルー式」または貫通2方向型という。貫通2方向型の機種は、大規模病院や事業所などでストレッチャーや貨物搬送の都合から採用することがある。

建物の構造上、貫通2方向型が設置できない場合などのために、前面と側面の2方向にドアが配置された直角2方向型の機種もある[17]。駅舎やペデストリアンデッキのエレベーターに多い。乗客には降り口が判別し難い場合があるので、目的階に到着すると「後ろのドアが開きます」や「こちらのドアが開きます」などの音声によって降り口が案内される。

他には手摺を付けて車椅子で移動しやすくしている場合がある。
駆動方式油圧式エレベーターの底部
トラクション式昇降路の直上や昇降路内に設置された巻上機を用い、ロープで接続されたカゴとバランスウェイトをガイドレールに沿って上下させる。従来のものは巻上機が昇降路上部にあるものが多いが、近年設置されるマシンルームレスと呼ばれるものは部品の小型化が貢献し巻上機が昇降路横に設置されている。これにより機械室のスペースが不要となった。トラクション式の派生として、かごが2階建てになっているダブルデッキエレベーターもある。カゴは建物の2階分に相当する単位で昇降し、下部は奇数階・上部は偶数階に停止する仕組みになっている。昇降路あたりの輸送力が向上し、建物のフロア面積を効率的に利用できるというメリットがある一方で、奇数・偶数階間の移動ができない、一方の階の利用者が他方の階の利用者の乗降を待つ必要があるといったデメリットもある。日本では六本木ヒルズ森タワー虎ノ門ヒルズ森タワー東京ガーデンテラス紀尾井町オークラプレステージタワーミッドランドスクエア大阪大林ビルディングのみに導入されている。なお、森タワー・東京ガーデンテラス紀尾井町のものは建物の階高の違いを吸収するためにカゴの上下階の間隔が可変になっている。
巻胴式4人乗りなどの小型エレベーターでは、さらなる省スペースのためにバランスウェイトを設置しないことがある。この場合はカゴと乗員の負荷全てを巻上機が負担することになる。速度がかなり遅いなどの欠点がある。
油圧式乗用では機械室を設けるスペースがない、荷物用ではより大きな出力が必要などの理由で設置される。油圧式には2種類あり、カゴにジャッキを繋げる直接式とバランスウェイトをジャッキで押し上げる間接式がある。直接式はロープやバランスウェイトが不要である。マシンルームレスの登場や巻上機の改善により、近年では減少傾向にある。
水圧式水圧式は油圧式の亜種であり、量産機種ではOTIS社のスペックエコのみで採用されている。直接油圧式と同じ仕組みをとり、油の代わりに水を使用して臭いを解消した。
スクリュー式かごに取り付けられたナットを高速回転させて昇降路に取り付けられたボルトを利用し昇降する。量産機種では日本エレベーター製造のSC309のみ採用している。
リニアモーター式ガイドレールと共にリニアモーターを取り付け、その動力でカゴを上下させるもの。摩擦の影響を受けないため高速運転に向くなどの利点があるが、設置コストが非常に高いためほぼ採用されていない。
空圧式2000年にアルゼンチンで発明された方式で[18]、空気圧を利用した独特の構造になっている。主に家庭用の小型エレベーターに使用されている。
制御方式
制御方式の歴史

昭和40年代頃までは半導体技術が現在のように発展していなかったために、エレベーターの制御回路にはリレーシーケンス制御が採用されていた。今では到底考えられないが、速度制御、ドア開閉制御、呼び出し制御、混雑回避制御などありとあらゆる制御回路が数百個から数千個にも及ぶ大量のリレー群とタイマーリレー、その他機械式接点によって構成されていた。リレー式回路は主に手作業で制御回路を構築するので、回路設計、回路変更に多大な費用と労力が掛かるものが多かった。さらに接点の接触不良や焼き付きなどの動作不良も多く、メンテナンスマンを大いに悩ませたが、交換パーツの調達性は今日でも良好である。

昭和50年代に入ると半導体産業やコンピューターテクノロジーが隆盛し、エレベーターの制御回路にもマイコン方式が取り入れられた。これによって機器設置、回路設計の負担が減り、高品質で多彩な運転制御が可能になった。特にモーター制御では加減速制御の品質が一段と飛躍した。巻上げ電動機には1980年代前半まで、高速のものには直流電動機が、低速のものには誘導電動機が用いられ、速度制御方式はそれぞれワードレオナード方式極数切替法、次いでパワーエレクトロニクスの発展によりサイリスタなどによる電動機入力電圧制御に移り変わった。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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