エレクトーン
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これに伴い、ヤマハ音楽教室の在籍生を主な対象するヤマハ音楽能力検定(ヤマハグレード)の実施が始まる。

1970年に「宇宙船」と称された斬新なデザインのステージモデルEX-42を経て、1975年にエレクトーンとして発売されたポリフォニック・シンセサイザー GX-1は、プロユースとして世界的なアーティストによる楽曲制作に活かされた。YAMAHA Electone D-700 (1980年発売)

各地の結婚式場にも、結婚式における結婚行進曲をはじめとするBGM余興でのカラオケ伴奏や即興曲の演奏用途として導入され、そこで場を盛り上げる臨機応変な演奏が奏者の稼業となっていた(ただし近年は通信カラオケによる音源再生が台頭しつつある)。

エレクトーンの機能を活かした作曲アレンジや演奏テクニックを極めた「エレクトーン プレイヤー」と言われるプロミュージシャンも数多く登場し、音楽大学や音楽系専門学校各種学校の一部に於いてはエレクトーンを用いる専攻課程が置かれている。

エレクトーンは、ピアノ等の高額楽器と同様に「ヤマハ特約店」となっている各地の楽器店等での販売に基本的に限定され、ポータトーン(電子キーボード)やクラビノーバといった他種のヤマハ電子楽器のように家電量販店では売られていない。中古品の売買・流通に関してはこの限りではないが、本体の製造番号部分が毀損されるなどして確認できないと修理受付対象外となる。

現在日本における電子オルガンはエレクトーンの他にローランドミュージックアトリエという名称で販売しており、各社毎に音楽教室を擁してそれぞれ楽器の普及に努めている。

現行機種は2014年発売の「ELS-02シリーズ」および2016年発売の「ELB-02」「ELC-02」である。2019年にD-1の発売から60年を迎え、エレクトーンは2019年までに累計約500万台が販売された[1]
構造

エレクトーンは上鍵盤、下鍵盤、ペダル鍵盤、エクスプレッションペダル、セカンドエクスプレッションペダルを備えている。1980年代前半までの機種ではアナログ音源(→アナログシンセサイザー)であり、音色の選択は現物の楽器音(音色:トーン / ボイス)を擬似的に再現した波形をトーンレバーという上げ下げ式のレバーに一つずつ割り当て、演奏時に任意の音色となるように調節する形態であった。1969年-1970年に発売された上級機種よりリズム機能(→ドラムマシン)が装備されることで、演奏者一人で伴奏も組む事が可能となり、更に和音に沿ってリズムとベースを刻むオート・ベース・コード等の登場で伴奏面が強化された。
鍵盤数

鍵盤は基本的に上鍵盤+下鍵盤+ペダル鍵盤であり、現行モデルの「Electone STAGEA」では、ベーシックモデル、カジュアルモデル、スタンダードモデル・カスタムモデルで上鍵盤49鍵+下鍵盤49鍵+ペダル鍵盤20鍵、プロフェッショナルモデルでは上鍵盤61鍵+下鍵盤61鍵+ペダル鍵盤25鍵になっている。1970 - 80年代のEX-42, GX-1, D-90, D-800, EX-1, FX-1, FX-20, FX-3, FS-70など、当時の一部モデルに上鍵盤のさらに上に小型のソロ鍵盤も装備された4段鍵盤のものがあった。Hシリーズ以降、ソロ鍵盤を装備したモデルは発売されていない。
運搬

ELシリーズまでの機種は分解・組立ができないために本体重量が80~110kg程度と大型冷蔵庫並みでなおかつ精密機械であるため、設置や輸送には楽器搬送の専門業者に依頼して慎重な取扱を実践する必要があった。

ELS-01シリーズで分解・組立が出来、ユーザによる持ち運びも可能なユニット構造が採用されたが、分解後の一番重いキーボードユニットが38kg前後(カスタムモデル)と、大人2人でやっと持ち運べる重さであったため、演奏者自身が楽器を会場に持込み演奏する場合は、メインユニットが20kgを切るD-DECKやSTAGEA D-DECK PACKAGEが使われる事が多かった。

ELS-02シリーズではユーザによる分解・組立が再びできなくなり[2]、コンパクトで持ち運びもできるカジュアルなエレクトーンとしてELC-02が発売され、ELSが基本的に据置型、ELCが可搬型という位置付けとなった。
機種
STAGEA

エレクトーン ステージア (Electone STAGEA) は、2004年3月以降に展開された現行シリーズの商標である。「STAGEA」の名前の由来は、演奏する場としての「ステージ(stage)」と、勇気を与えてくれる女神「ガイア(gaea)」との造語になっており、いろいろな場で活躍し演奏者に勇気を与える楽器になるように名前をつけられている。メインシリーズは型番が「ELS」で始まることから、先代のELシリーズと同様に「ELSシリーズ」と呼ばれることもある。ELSシリーズは、現行モデルの「ELS-02シリーズ」と、旧モデルの「ELS-01シリーズ」に分けられる。

メインの外部記憶装置に関しては、ELS-01シリーズ発売当初はスマートメディアであり、曲集対応のプロテクトデータはスマートメディアに保存するようになっていた。しかし、2005年3月7日、スマートメディアの主な製造メーカーであった東芝がスマートメディアの生産・供給から撤退することを発表したことなどから、外部記憶装置はスマートメディアからUSBメモリへと移行した。また、2009年より発売された「typeU」シリーズではスマートメディアドライブが廃止され、代わりにUSBメモリの着脱を容易にするための専用アダプターが取り付けられた。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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