エレクトロニカ
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元々シューゲイザーはリズムの比重が弱かったことから(シューゲイザー全盛期からカーヴのようにリズムを打ち込みにするバンドが存在していた)、シューゲイザーの正当な後継者と見られている[4]

電子音系

現在も王道的な電子音のみでサウンドを形成するエレクトロニカも多く存在する。

オウテカマウス・オン・マーズ、トゥ・ロココ・ロット、ボラといったアーティストや、n5MDやU-Cover、Skamといったレーベルが挙げられる。日本人の人気アーティストツジコノリコボーカルは使用しているが、この範疇に入ると考えられる。一時期異常に複雑化したプログラミングへの反動か、クラークのように逆にシンプルでダンサブルな方向性や、アイ・アム・ロボット・アンド・プラウドのようにポップな方向性を示し人気になるケースもある。

クリック全盛時代と同じようなアプローチを続けるアーティストも多い。この方面のアーティストにはノイズ・ミュージックアンビエント・ミュージックとも取れるようなサウンドも存在する。池田亮司やピタ、アルヴァ・ノト、SndといったアーティストやTouch、エディションズ・メゴ、ラスター・ノートンといったレーベルが挙げられる。池田亮司やピタはClicks & Cuts以前からこの様なアプローチをしており、シーンに大きな影響を与えた。また、よりノイズに近づいたアプローチはマウリツィオ・ビアンキの提唱した概念であるテクノイズtechnoiseと称されることがある[5][6]

2001年頃から注目されたのはマイクロスコピック・サウンドあるいはロウワーケース・サウンド[7]という手法である。クリックグリッチサイン波ドローンを分散的に配し限りなく少数の音で空間を形成するサウンドは、必ずしも大きなシーンにはならなかったが、一定の影響力を保ちつつある。この方向ではリチャード・シャルティエ、キム・カスコーン、Sachiko M、ジョン・ヒュダックといったアーティストや12kとそのサブレーベルのLINE、日本のSpekkといったレーベルが有名である。アンビエント・ミュージックのアーティストとして知られるウィリアム・バシンスキーやテイラー・デュプリーもこのシーンと密接な関係にある。

ヒップホップ系

エレクトロニカはヒップホップとの融合も図られた。これは既にエレクトロニカでは重鎮と見なされていたオウテカがアメリカツアーの際にマイアミにも訪れ、その時に生まれた交友関係が元だと言われ[8]、「マイアミシーン」と称されることもある。オウテカ自身もDJミックスでヒップホップを掛けるなどこの方面からの影響がある。また、元よりトリップ・ホップというテクノとヒップホップの派生系のようなシーンがあったり、プロディジーやボム・ザ・ベースといったアーティストがデトロイト・テクノと前後して活動していたこともあり、比較的この方面へのエレクトロニカの導入はスムーズだった(更に言うなら、デトロイト・テクノ自体がヒップホップの原型であるエレクトロの派生とも言える)。

レーベルはメアク・レコーズ、スキマティックが代表的であった。注目されるアーティストはマシーンドラム、ダブリー (Dabrye)、ファンクステルング、プレフューズ73フライング・ロータスといったところである。ただしメアク・レコーズ自体は純粋なIDM(プロエム)からポストロック(チキ・オブマー)までリリースする幅広いレーベルであった。またヒップホップレーベルアンチコンは前述したモール・ミュージックと関係があることでも知られる。

ダンスミュージック系

以下に挙げるサウンドはどちらかというと(狭義の)エレクトロニカ以前のダンスミュージックであるテクノドラムンベーストリップ・ホップなどとの関連性が高い。しかしエレクトロニカと同時期に発展したこともあって、同列に挙げられることが多く、アーティストやレーベル間でも交流があったり、同じアーティストでも非ダンス/ダンスミュージック両面のアプローチをすることもある。

クリック・ハウス(もしくはクリック・テクノ)は前述のように最も流行した手法である。ダンスミュージックにこの手法が適用された例で注目されるのは、ミル・プラトーでクリックハウスというよりカットアップ・ハウスとでも呼ぶべき手法でDeck The Houseというスマッシュヒットを飛ばしたアクフェン、チリ出身、ベルリンでリッチー・ホウティンと共に活動をするリカルド・ヴィラロボス、ユーモラスなコラージュハウスを得意とするハーバートといったアーティストである。

ブレイクコアドラムンベースドリルンベース及びガバの派生系と見られており、μ-Ziqのレーベルプラネット・ミューが有名。ヴェネチアン・スネアズが主要アーティストとして挙げられる。ブレイクコアの中には一部のガバ(アタリ・ティーンエイジ・ライオットなど)やグラインドコアの影響を受けて、インダストリアルに近い方向性を示すアーティストもいる。

ダブを取り入れたテクノとしてベーシック・チャンネル一派のミニマル・ダブがあり、~Scapeといったレーベルやポール、ヴラディスラヴ・ディレイ、ヤン・イェリネックモノレイク、デッドビートといったアーティストが挙げられる。基本的にはエレクトロニカ以前より勃興しておりテクノハウスの直系であるが、彼らが多用するレコードノイズがグリッチの一種とされたり、非ダンスのアプローチが多いこともあって、狭義のエレクトロニカとの関連も深い。またこのシーンより影響を受けて、アロヴェインのように「オウテカ・ミーツ・チェイン・リアクション」[9]と呼ばれるようなサウンドを展開するアーティストもいる。また、下記のダブステップ勃興以降はダブステップへと移行する、あるいはダブステップのシーンと深い関わりを持つアーティストも多い。

また、ダブ、グライム、エレクトロニカ、トリップ・ホップドラムンベースブレイクコア2ステップなど幅広い影響を受けた、フロア向けサウンドの総決算とも言えるダブステップと呼ばれるジャンルも誕生した。ダブステップの代表格ブリアル2006年にリリースしたファーストアルバムburialは、00年代最大の事件と評されることがある[10]ラガ色、ヒップホップ色の強い物から、ほとんど純然たるエレクトロニカと聞き分けがつかないようなものまで、幅広いサウンドが近年ダブステップと呼ばれるようになっている。詳しくはダブステップの項を参照。

さらに、近年ポストダブステップとしてブロステップ(Brostep)と呼ばれる特徴的なサウンドが注目されている。一般的にはベースに極端なLFOを掛けてダブ色を薄くし、レイヴ色・トランス色を増したコマーシャルなサウンドがそう呼ばれているが、まだ勃興したばかりのジャンル故に明確な定義をするのは難しい[11][12]。大手レーベルのコンピレーションなどでは、伝統的なダブステップよりブロステップに近似したサウンドが、ダブステップとして紹介されている例もある[注 3](同様のことが、伝統的なドラムンベースとリキッドファンクの関係にも言える)。


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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)
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